新潟市中央区田町にある内科・循環器内科・在宅療養支援診療所のクリニック

おかむら内科下町クリニック

新潟市中央区田町1-3239-1

(旧済生会病院、旧済生会新潟内科診療所)

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 最近の治療について

最近の治療

「チョコレートが糖尿病に効く? 

 
以前、テレビやインターネットの記事で、「糖尿病に期待できる食べ物」と題して、チョコレートが挙げられていたようです。僕自身はテレビ番組は見ていませんが、そのようなテレビ放送がなされたようです。そして、実際、そのようにチョコレートを食べてきた患者さんが複数いました。というより、ある時期、複数の患者さんのHbA1cの値が急激に悪化したため、「どうしたの?何か食べましたか?甘いものとか・・・。」と聞いたところ、「以前、テレビで糖尿病にはチョコレートがいいと言っていたので、いっぱい食べました」とのことでした。みんな同じテレビを見て、チョコレートを食べたようでした。
そのため、僕もちょっと調べてみたところ、ダークチョコレートがインスリン抵抗性を改善するという記事を見つけました。また、カカオ豆が食物繊維が豊富で、糖質の吸収を穏やかにする等の論文もあるようです。しかし、多くの患者さんが食べたのは「普通のチョコレート」です。ダークチョコではありませんでした。
また、ダークチョコレートといっても、カロリーが相当ありますので本当にどの程度、効果があるのかは不明です。また、ダークチョコレートの定義も曖昧なようです。明治さんのHPをみると、カカオマス40%以上のチョコレートでカカオマス、ココアバター、砂糖、レシチンや香料で作られたチョコレートで、乳原料が少量入ってもダークチョコレートとよばれると記載されています。また、他のものでは、カカオマス40-60%で乳原料が含まれないとm書いてあったり、カカオマス70%以上と書いてあるものもあります。つまり、定まった定義はないようです。
とある記事ではカカオマス70%以上のチョコレートを1日25gまでなら大丈夫と言う記事もあるようです。これも本当かどうか検証がなされてはいないようです。しかし、それでも25gとありますので、実際のカロリーは150kcal程度までと言うことになるのだと思います。
 
そのテレビを見てチョコレートを食べた患者さん全員が大幅に悪化していることを考えると、テレビの構成も患者さんたちが理解できるような構成にはなっていなかったようです。
糖尿病患者さんで、これを食べたら糖尿病にいいというテレビを見た場合、まずは主治医に相談ください。間違っても、自己判断でいいと言われるものを大量に食べるのはやめてください。
今回のテレビを見た患者さんの糖尿病の悪化を見る限り、糖尿病にチョコレートがいいと言う言葉は間違いだと思います。というか、間違いです。
 
もしかしたら、カカオマス85%以上のチョコレートであれば、砂糖の量が極端に減りますので、多少食べてもさほど影響はないのかもしれませんが、そもそもほぼ甘くないので、チョコレートを食べたいという欲求を満たせるチョコレートではないようにも思います。
 

 

最近の治療

「若い時から血圧が高い、コレステロールが高いから大丈夫? 

 
最近、健康診断後の方がいらっしゃいます。その際、高血圧、高脂血症を指摘され精密検査を要するということで来院されます。その際、色々と問診をさせてもらいますが、少なくないからから、「若い時から高いんですよ」という言葉を聞きます。これは高血圧、高コレステロール血症、いずれの時も聞く言葉です。多分、患者さんたちの意図としては、「若い時から高いから、今に始まった事ではないから大丈夫。今まで高くて何も起きなかったんだから、治療なんてしなくてもこれからも大丈夫でしょう」ということを言いたいのだろうと思います。
確かに、30歳の時から、高血圧があり、高脂血症があり、60歳まで同じできたけどなんともなかったというのは事実だと思います。ただ、だからと言って、これからも大丈夫であるという保証はありません。それどころか、30歳から60歳まで高かったんだから、すでに血管はボロボロになっている可能性がある、動脈硬化が大きく進んでいる可能性があると判断する方が妥当であろうと思います。
例え話になりますが、下水管があります。30年間使い続けた下水管があり、そこを流れる汚水のなかに、下水管を詰まらせる成分が多く含まれる場合と、成分が少なかった場合を考えます。当然ですが、詰まらせる成分が多い方が、下水管壁に付着し、大きくなり、下水管の中は細くなっている可能性が高いと言えます。これを血管に例えると、悪玉コレステロールが血管を詰まらせる成分の一つであるため、悪玉コレステロールが30歳から高かった人は60歳の時点ですでに細くなっている可能性が高いということが言えると思います。そのため、悪玉コレステロールが30年間高かった人と、60歳になって初めて高くなった人、どちらが危ないでしょうか?と考えれば、60歳になって初めて、コレステロールが高いと指摘された人の方が安全と言えます。また、その上、血圧が高いということは、下水管の内側からの圧力が高いということですから、当然、下水管の痛み方も血圧が高い方が早くなります。
 
このように若い時から、コレステロールが高い、血圧が高いから大丈夫という発想は危険です。若い時から高かったのなら、そろそろしっかりと治療をしないと、血管が詰まる可能性が高くなると言えると思います。そして、この場合の血管が詰まるとは、「脳梗塞」「心筋梗塞」などを指します。また、場合によっては、下肢の動脈閉塞をきたす場合もあります。
 
若い時から、血圧が高い、コレステロールが高いという人は、ある一定の年齢になったら、早めに治療を開始する方が将来のリスクを減らせ減らせとると考えた方がいいと思います。
 

 

最近の治療

「点滴について 

 
今年の夏は暑くて、食欲がなくて・・・といって点滴を希望される患者さんが多かった印象があります。また、点滴をすると元気になるから点滴をしてほしいという希望をおっしゃる高齢者の方も見られました。ただし、実は点滴もリスクのある治療であるということをあまり理解されずに希望されている患者さんが多かった気がします。特に高齢者の方では、リスクが高いと考えています。
というのも、一般的に体重の1/13が血液であると言われています。これは体重が40kgのおばあちゃんの場合、その1/13が血液になります。体内には、約3L程度血液があるということになります。そして、一般的に点滴は500mlです。投与する時間は2時間程度です。つまり、もともと3Lの血液を2時間で3.5Lに薄めることになります。約20%程度の量を2時間で増加させることにつながります。もちろん、その間に尿として処理される部分もありますので、単純に20%にはなりません。しかし、少なくない量の水分が一気に補充されます。
明らかに脱水がある場合、これは受診時点で水分が足りないので、仮に500ml点滴をしても、あまり問題になることはないと思います(心不全などの場合は除きます)。体調不良で、食事が食べられないし、水分摂取もできない場合などが該当しますし、炎天下の中で汗だくで動いて、水分が取れず脱水症になった場合なども該当します。そういう患者さんであれば、ある程度安全に点滴は可能であろうと思います。しかし、水分がしっかりと取れている患者さんの場合、すでに水分が十分足りているにもかかわらず、さらに水分を投与することになり、結果、「心不全」を引き起こす場合があります。そのため、「安易」な点滴は避けるべきであろうと考えています。
実際、ある田舎の病院に勤務していた時、夏になると開業医の先生から何度か「点滴後にちょっと具合が悪い感じがするので診てもらえないか」という連絡がありました。そして、診察をすると、点滴による心不全ということがありました。話を聞くと、患者さんは「点滴をすると元気になる感じがするから、点滴をしてもらった」と言っていました。つまり、脱水がないのに点滴をしてもらい、逆に心不全になってしまっているということです。またその際、心機能などは一切調べていませんでした。重度の弁膜症のある患者さんにも、それらを考慮されずに点滴がなされていたケースもありました。
点滴も必要な人には非常に即効性のある治療になりますが、不要な人に投与をした場合は、心不全を悪化させかねない危険な治療になります。
点滴をすれば元気になるというのは、「脱水」などがあるケースに限られ、水分が十分取れているケースで外来の点滴で元気になるというのはあまりありません。
安易な点滴希望は避けた方が無難だと思います。まずは、経口で水分をしっかりと取ることが安全になります。どうしても経口で水分が取れない場合は、主治医の先生とよく相談して点滴をすることを決定してください。また、心臓が悪い患者さんでは、心臓の評価をしたのちに点滴をすることが望ましいと考えます。
 
当院では水分がしっかりと取れている患者さんについては、点滴をしてほしいという希望があってもお断りをする場合があります。それは安全を考慮しての判断になります。「元気になる気がする」というおまじない的、気分的な安心のために心不全になったら意味がありません。その時の状況をしっかりと聞いて判断することになります。
 

 

最近の治療

「夏場の降圧剤・利尿剤 

今年は梅雨がほとんど感じられないまま、夏に突入した感じですが、最近、高血圧で薬を飲んでいるんだけど、血圧が低くなってといって来院される患者さんが増えています。血圧は冬場より、夏場のほうが下がる傾向がありますので、冬に調整した薬の量を夏も飲んでいると、下がりすぎる場合があり得ます。もちろん、あまり変化のない方もいますが、特に高齢者などでは、夏場下がりすぎる場合があります。降圧剤として、また、むくみとりや心不全の治療として利尿剤などを飲んでいる場合も同様です。高齢者の場合、立ちくらみの悪化等で最悪の場合、意識がなくなってしまい転倒するリスクもあります。降圧剤や利尿剤を飲んでいて、どうも最近血圧が低い、立ちくらみが悪化しているなどがありましたら、主治医に相談してください。時々、当院初診で来院され、「降圧剤は3ヶ月分もらっているので、次に主治医のところに受診するのは9月半ばです」という患者さんもいますが、これだと夏場の血圧の変動が起こる時期にチェックが入らずに、結果、下がりすぎてしまう可能性も否定はできません。もし、症状が強い場合は、予約がまだ先であっても、途中で主治医の診察を受けて薬を調整してもらうことも検討ください。
 

 

最近の治療

「風邪について

 
最近、気温差もあり、風邪患者さんが少なくありません。冬場に比べれば少ないですが、この時期としては、それなりに患者さんが受診されています。高熱が出る患者さんもいますが、だらだらと咳や痰が続いていて、体がだるくてという患者さんも少なくありません。また、なかなか治らないと言って受診される方がいらっしゃいます。
ただ、なかなか治らない患者さんに共通しているのが、「休めない」という点です。それが職場であったり、学校(特に部活)であったりします。「どうしても仕事が休めずに仕事に行って、夜まで働いている。自分が休むと仕事が回らない」という方もいらっしゃいますし、「来週の日曜日に大会があるからどうしても部活が休めない」という中学生も来ます。ただ、いずれの場合も、「薬はあくまでもサポートであり、風邪を治す基本は自分の免疫です」と説明をさせていただいています。抗生剤を飲んだから、治るわけではないということです。風邪の際の細菌感染時の抗生剤は、あくまでサポートにはなるケースもありますが、基本治すのは自分の免疫です。免疫力が低下した状態では、風邪はなかなか治りません。風邪をひいているのに、寝不足になりながら仕事をしたり、風邪をひいているのに毎日走り込みをしていたら、やはり風邪は治りません。風邪をひいた際には、しっかりと休養をとることが最も早く治る方法であると考えられます。当院を受診された方にお願いしているのは、仕事や部活も大事なのはわかりますが、だらだら長くつらいおもいをするなら、2-3日しっかりと休養をして休んで、それから働いた方が効率的ですので、休んでくださいということをお伝えしています。ストレスも免疫に影響を与えますので、具合が悪いのに、頑張りすぎるとストレスは溜まりますから、なおさら風邪は治りません。
風邪をひいたら、まずはしっかりと休養をとることをお勧めします。受診をしていただき、状況により抗生剤等を処方させていただきます。
 

 

最近の治療

「アニサキスについて

 
最近、釣りをしている方の家族が、家族が釣って来た魚を刺身で食べて、夜になったら胃痛が始まったと言って、 来院されるケースが増えています。今年特に多くなてている印象があります。当院が海に近いところにあり、釣りをされる方が大勢いらっしゃるということも無関係ではないと思いますが、胃痛の原因がアニサキスであることが少なくありません。
胃痛の程度も冷や汗をかいて我慢できなくてこられるケースもあれば、 まあ、痛いけど、我慢できるくらいという方もいらっしゃいます。しかしいずれのケースでも、周期的に痛みが襲ってくるという点では一致しています。
 
症状がある場合は、早めに受診し相談ください。基本的には、胃カメラを行い、虫体を確認し、除去することが治療になります。治療自体は、3割負担で1万円を少し超える程度の金額になります。
 
なお、予防としては、生食を避けること、あるいは加熱後に食べる(60℃で1分以上)ことが確実な予防法です。または、-20℃で24時間凍らせるとアニサキスは感染性を失うと言われています。あとは、これ以外では、新鮮なうちに魚介類の内臓を摘出することも感染予防にはなると言われています。内臓に寄生する虫体が魚が死んだ後、筋肉に移行することもあります。なお、醤油、わさび、酢で締める程度では、虫体は死なないと言われています。十分に注意をしてください。

 

最近の治療

「利尿剤について

 
利尿剤についての質問を受けることが多々あります。その一つは「飲み続けても大丈夫でしょうか?」というものです。そして、もう一つは「利尿剤を飲んだのに全然、むくみが取れない(効かない)んですけど」というものです。
 
まず一つ目の「飲み続けてもいいんでしょうか?」という質問に対しては、「必要なら飲み続ける必要がありますし、必要ない状態になればやめることも可能です」と説明をしています。利尿剤自体、様々な理由で飲んでもらうことがあります。心不全があるから、むくみがひどくなるから等が挙げられます。
心不全の原因として心筋梗塞や拡張型心筋症で心機能が非常に低下している場合、薬を減量・中止するリスクが大きくなると判断されるケースにおいては、症状が安定していても、内服を続けてもらうことが多いと言えると思います。絶対ではありませんが、飲み続けてもらうことが多くあります。一方で、軽度心不全がベースにあるけど、なんらかの理由(風邪等)により、一時的に悪化した場合などは、利尿剤を強く(増量)し対応しますが、改善が得られた時点で中止をすることもあります。
また、 本当は飲み続けて欲しいけど、利尿剤による副作用が出た場合などは、減量・中止する場合もあります。腎機能の悪化や電解質異常などが該当します。
そのため、飲み続けてもいいか?というよりは「副作用のリスクを押してまで飲まなければならないのか?」ということに対する回答になります。理由もなく飲むということは絶対にありませんが、元々持っている持病とそれに伴うリスクと薬の持っている副作用の兼ね合いによって飲み続けざるを得ないということになります。
細かいところは主治医にしっかりと聞くことが望ましいと思います。通常は、診察、心臓の超音波検査、心電図、採血などをして心不全や腎不全の状態を確認して継続、減量、中止を判断することになります。
 
もう一つの「利尿剤を飲んだのに全然、むくみが取れない(効かない)んですけど」については、むくみには原因があります。心不全、腎不全、塩分の取りすぎ等々が挙げられます。
当院では心不全患者さんの割合が多い為、心臓が悪い為に浮腫むケースが多いのですが、特に高齢者で多いのは、塩分の制限ができていない場合に起こりやすいと考えています。もともと毎食味噌汁と漬物を食べているようなケースでは、利尿剤を飲んでも効果が得られないケースが多々あります。尿から水分と塩分排出をすることにより、体内の塩分を減らし、むくみを取りますが、薬が排出できる塩分以上に塩分を取れば(塩分が多いと水分も多く取るので)、当然ですがむくみは改善しません。そのため、多くのケースでは、味噌汁、漬物禁止(もしくは減量)等の指示+利尿剤ということになります。
塩分摂取を全く控えずに利尿剤だけで改善というのは、特に高齢者では効果が得られないケースがあると考えています。もし、利尿剤を飲んでむくみが全然取れない場合は、日頃の塩分摂取を減らしてください。それでもむくみが改善しないケースでは、むしろ別の原因(深部静脈血栓症、リンパ浮腫)も考えられてきますので、主治医とよく相談してください。

 

最近の治療

「冬場の高血圧症

 
今年は雪も多く、寒い日が多くなっています。そのためか、1月の中頃から、血圧が急に上がって来たといって来院される患者さんがいます。実際に、受診された時の血圧は160〜180mmHg前後になっています。
健康診断等では、今までこんなに高くなったことはないという患者さんが大半です。そのため、心配になり来院されているのだと思います。
寒くなると、末梢血管が収縮して体温を逃しにくくするため、血圧が上がる傾向になります。生理的反応であり、異常なことではありませんが、その血圧の上昇の程度が大きければ、治療を要するかどうか検討が必要になります。
受診の際に、受診する数日前から、朝晩の血圧をつけて持って来ていただけると、治療方針が決め易くなり非常に助かります。内服する薬やそのタイミングを見つけやすくなるからです。
また、冬場、血圧が上がることは心配だけど、薬を飲み続けるのは嫌だといって、受診しない患者さんもいますが、統計を取ると、冬場の脳出血は10月〜3月までが多く、4月〜9月まで少ないというデータもあります。6,7,8月と11,12,1月を比較すると、冬場の方が1.5倍くらい発症数が増えているというデータもあります。その一人にならないためには、まずは薬で対応することが望ましいと考えています。
全員ではありませんが、夏場は薬をやめられる患者さんも存在します。冬場のみ血圧の薬を飲むという患者さんもいますので、安全を考え、冬場の血圧だけが高い場合も、まずは医療機関を受診し、相談していただければと思います。自分の血圧は冬場だけしか高くないから大丈夫と考えずに、高い時期だけは下げておこうかと考えて行動していただければと思います。

 

最近の治療

「認知症と水分摂取と心不全について

 
先日のテレビ番組で水分を1500ml摂取すると、認知症は寄り付かないというニュアンスのテレビをやっていました。真実のほどは僕には肯定も否定もできる材料はありません。そのため、水分摂取と認知症についてのコメントは避けますが、もしこれが効果があると考えたご家族がいた場合、すぐに実践するのではなく、まずは主治医に相談してください。身長体重にもよりますし、また、持病で心臓や腎臓が悪い場合、病状を悪化させる可能性が否定できません。病状悪化により、入院した場合、もともと認知症がある場合は、入院により大幅に認知症を進行させてしまう可能性もあり、水を飲ませたことにより帰って悪くしてしまったということになりかねません。
テレビ番組ですので、細かい患者さんの持病についてまで、コメントはありません。水分を取ること自体を否定はしませんが、テレビが毎回100%正しいわけではありません。そのため、まずは主治医に自分や家族の病状から、水分をもうちょっと増やして飲んでもいいかどうか、確認してから行ってください。
 その方がはるかに安全です。

 

最近の治療

「抗生剤の適正使用について

 
抗生剤の使用が多く、最近になり、国が積極的に抗生剤の適正使用についてアナウンスをしています。実際、抗生剤の使用量が多く、耐性菌(抗生剤が効かなくなった菌)が増えているのは事実で、これは世界的に問題になっています。
当院でも、風邪で受診された患者さんの中に「抗生剤をください」と言われる患者さんがいますが、抗生剤は「細菌感染」に対してのみ有効であり、ウイルスに対しては無効です。そして、ウイルス感染の患者さんに抗生剤をだすことは、有害ですらあります。そのため、患者さんの症状を見ながら、抗生剤が必要なのか、不要なのか判断することになります。 厚生労働省健康局結核感染症課が出している抗微生物薬適正使用の手引きの中の一部を抜粋すると、
1)感冒に対しては、「抗菌薬投与を行わないことを推奨する」となっています。
 
2)急性副鼻腔炎についても、「・成人では、軽症(※1)の急性鼻副鼻腔炎に対しては、抗菌薬投与を行わない ことを推奨する。・成人では、中等症又は重症(※1)の急性鼻副鼻腔炎に対してのみ、以下の抗 菌薬投与を検討することを推奨する。(成人における基本)アモキシシリン水和物内服 5~7 日間 投与」となっていて、鼻水が少し出る程度では抗生剤は不要ということになっています。
 
3)急性咽頭炎 については、「・迅速抗原検査又は培養検査で A 群β溶血性連鎖球菌(GAS)が検出されてい ない急性咽頭炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。・迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬 を投与する場合には、以下の抗菌薬投与を検討することを推奨する。(成人・小児における基本)アモキシシリン水和物内服 10 日間 」となっています。これも簡単には抗生剤は使用しません。
 
4)急性気管支炎 については、「・慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない成人の急性気管支炎(百日咳 を除く)に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。」となっています。
 
以上のように、抗生剤は簡単には使わない方向になっています。先ほども書きましたが、これは世界的な流れといえ、抗生剤を使用することにより、尿や便から抗生剤が出てしまうため、下水には流れ込みますので、これも耐性菌の原因となり得ると考えられています。もっともこれは人間だけではなく、家畜等にも抗生剤が使われていることも問題ではあります。
 
あと重要なことは、勝手に飲み方を変えないと言うことです。抗生剤については、しっかりと原因菌を殺すということが望まれます。そのため、十分な量の抗生剤を短期間しっかりと内服することが必要です。そのため勝手に飲み方を変えて、だらだらと少量の抗生剤を飲むことは、特定の病気を除き「害」でしかありません。処方された抗生剤は決められた通りにしっかりと飲むことが必要です。
 
ただし、患者さんの持っている病気、バックグラウンドによっては、抗生剤を出すこともあり、抗生剤をだすから間違っていると言うことではありません。慢性閉塞性肺疾患を持っていたり、他の疾患、癌を持っていたり、また、HIVなどがある場合は、必ずしもこの限りではありません。しかし、普通の元気な患者さんでは、上記のような抗生剤の使用が過剰にならないようにする必要はあると考えています。
 
抗微生物薬適正使用の手引き
 

 

最近の治療

「減塩について

 

最近のテレビにて減塩についてやっていました。しかし、その番組内での発言については、かなりいい加減なものが多いと言えます。その一つに減塩は意味がないというものです。しかし、実際には、1日分の塩分量を6.35g未満に減塩した心臓病患者としなかった心臓病患者では、減塩した方が死亡率が高かったというデータなのですが、さらにその中では、心臓病患者の重症度についても言及されているのです。元論文では心臓病といっても「NYHA分類II/III」という条件があります。これはどういうものかというと、
 
NYHA II:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの;安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
NYHA III:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの;
安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。

 
という分類です。つまり、普通の一般の高血圧患者さんには該当しない状態を指しています。この条件をもってして、減塩は意味がないという結論を導きだすのは無理があります。また、塩分量6.35gという数字です。極端な減塩はホームページの中でも述べていますが、心不全患者さんでは利尿剤が入っていることが多いため、低Na血症のリスクを増やしますので、あまりいいとは思えませんが、一般の高血圧患者さんが減塩をしても問題にはなりません。まして、日本人で6.35g/日以下の減塩はほぼ不可能です。つまり、6.35gまでの減塩がそもそもできないくらいの減塩であるにも関わらず、それを元に減塩は意味がないという結論に結びつけるのは無理があるのです。
 
テレビという公共放送が発言する内容としては非常にお粗末と言えると考えます。
仮にこれで減塩をやめて、脳出血等を起こしても、テレビは責任をとってはくれません。間違ったテレビの情報に惑わされずに、主治医と話をして、治療方針は決めてください。
 

最近の治療

「睡眠時無呼吸2

 

最近、睡眠時無呼吸症候群の検査にて重症と判定される患者さんが増えています。特になかなか高血圧が治らない、糖尿病がよくならないという場合は、睡眠時無呼吸症候群により、それらの病状が悪化しているケースがあります。特に朝の血圧が高く、朝起きると頭痛がするという場合などは、注意が必要です。
当院で検査をされた患者さんには以下のような検査結果をお渡ししております。これによりCPAPを導入するかどうかを検討することになります。
正常例

 重症例

 

最近の治療

「2017-18年インフルエンザについて

 

2017-18年度、インフルエンザは始まっています。東京では、すでに学級閉鎖が発生しています。また、新潟でもインフルエンザ感染が始まっています。流行する勢いではありませんが、単発的に出てきています。現在、南半球ではインフルエンザが流行している地区がありますので、そこを訪れた人たちからの感染の可能性もあります。
沖縄などでは7月でもインフルエンザは発生していますので、高熱等が続く場合は、9月であっても医療機関における検査も検討ください。
 
なお、今年度は10月末くらいからインフルエンザワクチン接種を検討しております。
 
 

最近の治療

熱中症:気温と湿度の関係

 

新潟市内も最近は暑い日も続き、また湿度も上がってきています。そんな中、軽度熱中症と考えられる患者さんも受診されています。気温が30度にも満たないので熱中症は大丈夫だろうと考えていると、決してそんなことはありません。熱中症は気温と相対湿度によって影響されます。湿度が高ければ低い気温でも熱中症のリスクは上がります。
 

ヒートインデックス(HI) 
   気温(℃)
相対
湿度(%) 
   27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43
 40 27  28 29 30 31 32 34 35 37 39 41 43 46 48 51 54 57
45 27  28 29 30 32 33 35  37 39 41 43 46 49 51 54 57  
50  27 28 30 31 33 35 37 39 41 43 46 49 52 55 58    
 55 28  29 30 32 34 36 38 40 43 46 48 52 55 59      
60  28 29 31 33 35 37 40 42 45 48 51 55 59        
65 28  30 32 34 36 39 41 44 48 51 55 59          
70 29  31 33 35 38 40 43 47 50 54 58            
75 29  31 34 36 39 42 46 49 52 57              
 80 30 32 35 38 41 44 48 52 57                
85 30 33 36 39 43 47 51 55                  
90  31 34 37 41 45 49 54                    
95 31  35 38 42 47 51 57                    
 100 32  36 40 44 49 54                      
                                     
        注意                        
        要注意                        
        危険                        
        超危険                        
*Natioal Weather Service Heat Safetyから℃に換算して引用

上記表に示された通り、 気温が高くて湿度が高ければ熱中症のリスクは当然が上がりますし、気温が低くて湿度も低ければ、熱中症のリスクは下がります。しかし、気温が30℃にとどかなくても、湿度が高い場合は、リスクが高くなります。
 
初期症状は、めまい、立ちくらみなどがあります。その後、頭痛、体のだるさなどが出る場合があります。そして、筋肉痙攣、嘔気、嘔吐などに移行します。そして、さらに悪化すれば、意識障害等に発展し、最悪死亡する場合があります。
外仕事の多い人では、水分摂取を職場の管理者が強く求めるため、水分はしっかりと取っている場合が多いですが、空調のない室内で作業をする場合、直射日光が当たらないため、大丈夫と思っていると、上記表からもわかるように、気温と湿度が同時に上がるため、注意が必要です。外の場合は風があるため、実は汗が気化しやすいというメリットがある場合もありますが、室内の場合は、風がないため、気化しにくくなりますので、よりリスクが高いとも言えます。
空調のないところで作業をされる方達は、めまい、立ちくらみ、頭痛などがで始めたら、すぐにその場から涼しいところに移動し、水分を摂取し、休んでください。無理をすると、非常に危なくなります。
 
また、高齢者の場合も、室内で熱中症になることは少なくありません。
当院でも、高齢者の方には、できる限り1日中、エアコンを28℃でいいので、付けっ放しにしてくださいとお願いをしています。
 
10月くらいまでは熱中症のリスクがありますので、十分注意をして生活をしてください。
 
 
 

最近の治療

単純疱疹、帯状疱疹

 

ここ数日は雨が降っていますが、その前までは非常に暑い日が続きました。そして、暑い日が続いている最中、単純疱疹、帯状疱疹の患者さんが複数、受診されました。患者さんは黒々と日に焼け、健康そうに見えるのですが、単純疱疹、帯状疱疹が来られました。
今までも、免疫力が低下すると発症しやすいというのは説明をして来ましたが、調べてみると、強い紫外線による日焼けによっても、単純疱疹、帯状疱疹になりやすいという記述があります。特に、口唇などのヘルペスは、日焼けが大敵のようです。
 
釣りや趣味で農園などをされている人が多くいらっしゃいますが、紫外線対策をあまりせずに朝から日に焼けて頑張っていると、単純疱疹、帯状疱疹のリスクが高くなる可能性がありますので、紫外線対策をしっかりとして、日焼けに気をつけて生活をしてください。特に70歳前後の男性に多い気がします。体力は年々落ちますので、気持ちは若くても、肉体は老化しますので、くれぐれも過信せず、日焼け対策は十分にしてください。

追加
現在、帯状疱疹を繰り返す患者さんへの水痘ワクチン接種をしております。50歳以上で任意接種となりますが、帯状疱疹を繰り返す場合は、帯状疱疹が収まっている時に、ワクチン接種をすることにより、帯状疱疹の回数を減らせるというデータもあります。当院でも、数人行なっていますが、帯状疱疹の再発の回数は減らせているケースが多いです。もし、帯状疱疹を繰り返す場合、水痘ワクチン接種を希望される場合は、ご相談ください。
 
 
 

最近の治療

「夏場の利尿剤

 

最近、非常に暑い日が続いています。そして、利尿剤を内服している患者さんから、夏場の利尿剤について質問を受ける場合があります。
夏場は、汗をかき、脱水に気をつけるように言われ、水分をとるように言われる一方で、利尿剤は飲むということに違和感を感じる患者さん・家族がいらっしゃるということだと思います。
利尿剤を飲む理由にもよりますので、基本は主治医とよく相談をしてもらうことが必要になりますが、私が診察をしている患者さんから質問をされた際は、基本は継続をして飲んでくださいと説明をしています。
その理由としては、当院で利尿剤を飲む患者さんの多くは高齢者であり、日中外に出て、汗をダラダラとかくようなことをしていない患者さんが大半を占めます。そして、利尿剤にてバランスが取れている状態を崩すことの方がリスクが大きいと判断される場合が多いため、結果として、継続をしてもらうケースが増えます。
ただし、脱水傾向にある場合、電解質が異常を来たし始めているケースなどでは、利尿剤を減量・中止する場合もあります。その判断は主治医の考え方、また病態によるため、利尿剤を飲んでいる疾患で、一概に決められるものではありません。利尿剤を飲むと具合が悪い等、気になる場合は、利尿剤を自己中断せずに、早めに主治医に相談をすることをお勧めします。
テレビ番組等で様々な情報が流れますが、多くの場合、元気な人を対象に番組が作られています。もしくは特定の疾患をメインで作られていますが、高齢になると様々な病気を持ち合わせているケースが多いため、テレビ番組の情報が当てはまらないケースが少なくありません。
全身状態を把握している主治医に相談することがもっとも安全な方法だと思います。
 

最近の治療

「睡眠時無呼吸症候群

 

最近、睡眠時無呼吸症候群を疑う患者さんが増えています。朝の血圧が高血圧の薬を飲んでも良くならないと理由で受診され、問診をすると、睡眠時無呼吸症候群を疑うような夜間のいびきや呼吸停止を家族から指摘されているケースが散見されます。特に、朝起きると頭が痛い、朝の血圧が異常に高い、朝起きると喉がカラカラに乾いていて、疲れが取れないなどの症状が疑う症状と言えると思います。
また、日中の眠気が強く、昼間に車を運転していると強い睡魔に襲われる等ありましたら、遠慮せずにご相談ください。機器を貸し出します。そして、自宅に持って帰ってもらい、夜寝る前に鼻のところの空気の流れを見るチューブをつけ、その後、指先に酸素飽和度を測る機器をつけて寝てもらいます。翌日外して持ってきてもらうだけです。持ってきていただくと、約10-15分程度で結果がでて説明が可能です。
費用は、新患の患者さんで検査のみなら、1割負担の患者さんなら、1,180円、3割負担の患者さんなら、3,540円になります。
 
 
治療方法などは様々なありますが、いびきをおこしにくくする体位を取るようにして寝るという方法もあります。また、CPAPという機器を使ったり、マウスピースを使うなどの方法もあります。体位を変えて寝る方法がもっとも簡単ですので、その日の夜からできる方法になります。詳しくは、結果を見てから、重症度等を判断して説明します。
 

最近の治療

「胸部の違和感(胸痛、動悸、圧迫感)

 

4月に入ってから、胸部症状を主訴に受診される患者さんが多くなっています。主な症状は、「胸痛」「動悸」「胸部圧迫感」「胸部違和感」です。ただ、すべての患者さんで確定診断ができるわけではありません。診察時に、症状がある場合は、診断までたどり着けるケースもありますが、診察時に症状がない場合は、診断までたどり着けないケースもあります。
 
可能であれば、症状が出ている時に受診をされることをお勧めします。ただ、症状が一瞬である場合や、数分で改善してしまう場合は仕方がありませんので、普通に受診してください。
 
胸痛がある場合、考えられる診断は、「狭心症」「異型狭心症」「心筋梗塞」などが考えられますが、人によっては、「不整脈」でも「胸痛」を自覚する場合があります。なので、胸痛=狭心症という判断にはなりません。あくまで、狭心症は、原因疾患の一候補ということになります。
逆に動悸を訴えてきたケースであっても、実は動悸の原因が狭心症にあった場合もあります。特に異型狭心症では、発作が出るタイミングで不整脈も出てしまう、胸痛もあるが動悸の方を強く感じるというケースもあります。なので、動悸だから狭心症はないということにもなりえません。
 
胸部症状は複雑であり、判断に迷うものも多くあります。症状だけで確定診断を得ることは、個人的にはかなり難しいと考えています。必要な検査をした上で、リスクを判断し、その後、さらに病院レベルの検査を依頼するか、クリニックレベルで治療が可能かを判断します。この判断は、循環器を専門にしているDrの方がはるかに安全です(当たり前ですが)。心臓を疑った場合は、循環器専門医の受診を強くお勧めします。
 
 

最近の治療

「怒りやすくなったおじいちゃん

 

最近、おじいちゃんが怒りやすくなったという訴えをきく回数が増えました。僕自身は、おじいちゃんを見ていない場合でも、受診にきたおばあちゃんからそういう訴えを聞くことがありますし、おばあちゃんではなく、娘さん、お嫁さんからもそういうことを聴くこともあります。そして、最近、そういう訴えを聞く回数が増えている印象があります。
 その際、ご家族がいう言葉は、「じいちゃん、ぼけてきたのかしら?」です。確かに、認知症になって怒りやすさ(易怒性)が上がる場合は多々あります。しかし、認知症になる=易怒性が亢進するではないと僕は思っています。認知症になると、怒りたくなる状況(場面)が増えるからだと思っています。
ちょっとわかりにくいと思いますが、なぜ人が怒るのか?と考えた時に、自分の主張が通らない時、自分の考えが理解されない時、自分の考えを否定された時、などなど様々なケースがありますが、いずれも自分自身(もしくは自分の意見が)が否定されたと感じる時に多く見られます。自分の主張がそのまま受け入れられ怒ることはあまりありません。自分の意見が受け入れられ怒る場合は、またちょっとちがった病気を疑いたくなります。
 
以下に僕が見ているおじいちゃんが怒りやすくなったといって、相談にきたケースを提示してみます。
 
ケース1
 
僕が見ている夫婦の場合ですが、おじいちゃんが話をしようとすると、話の途中なのに、おばあちゃんが話をかぶせてきて、おじいちゃんが言いたいことを言う前に、自分が全てを話し、おばあちゃんの意見のはずがおじちゃんの意見になってしまう場合や、そもそもおじいちゃんに話をさせないケースなどがあります。明らかにおじいちゃんが不機嫌になるのがわかります。こういうケースでは、おばあちゃんは「おじいちゃんが話をしてもわかりにくいだろうし、自分が説明したほうが医師にもわかりやすいだろうから、代わりに説明をしてあげるんだ」という感覚だと思います。それについてはこちらもその通りと思うこともありますが、おじいちゃんからすると、「余計な御世話」であり、おじいちゃん自身を否定されたと感じることがあります。そのため、僕は、おばあちゃんの話を遮り、おじいちゃんに最後まで話をしてもらうこともあります。また、おじいちゃんが話をしていると、おばあちゃんが「違うでしょう」といって介入してくるケースもありますが、その際も「まずはおじいちゃんの話を聞いてください」といって、介入しないでもらいます。そうすると、おじいちゃんは自分の意見を最後までいって伝られたことに満足をするケースが見られます。おばあちゃんがいない時におじいちゃんと話をすると「あいつがいると俺が言おうとしていることを遮って、何も話せないんだ!!」って怒っていました。気持ちもわからなくはありません。
つまり、おじいちゃんが怒りたくなる場面をおばあちゃんが作ってしまっていたケースです。そういう場合は、おばあちゃんが変わらないと、おじいちゃんの怒りやすさは変わりません。もちろん、おばあちゃんにも言い分はあって、「話が長い」「同じことを何度も言うからいらいらする」など、理解できることは理解できるのですが、お互いに妥協点を見つけないといつまでたってもおじいちゃんの怒りやすさは変わりません。そのため、おばあちゃんに協力をお願いするケースがあります。
 
ケース2
 
これはおじいちゃんが認知症である場合です。
これもおじいちゃんの意見を言う前におばあちゃんが話をしてしまうケースもありますが、それ以上に多いのが、おじいちゃんが何度も同じことを言うから、イライラしてしまい、おばあちゃんが怒ってしまうケースです。そしておばあちゃんが怒るからおじいちゃんも怒ってしまうのだと思います。
おじいちゃんからすると、認知症もあり、さっき話したことを忘れてしまいます。つまり、おじいちゃんにとっては、その前に何度話しをしていても、1回目の会話ということになります。しかし、おばあちゃんに認知症がないと「その話し何度も聞いたよ!!」ていう思いがあるため、おばあちゃんが「さっき聞いたら、もういいから!」っておじいちゃんの話しを遮ってしまいます。すると、おじいちゃんからすると「話しを聞いてもらえない上に、怒られる」となってしまい、そのまま話しをしなくなるおじいちゃんと、怒りに変わるおじいちゃんがいます。それは元々持っている性格によるのかもしれません。
この場合も、認知症のあるおじいちゃんに改善方法はありません。薬を飲めば多少改善する可能性も否定はしませんが、同じことを繰り返し言うことを0にすることは不可能であると思います。となると、おじいちゃんは変えられないので、周りが変わるしかありません。おじいちゃんが同じことを何度言ってきても「そうだね〜。」と言って聞いてあげる姿勢を周り(おばあちゃん)が持てるかどうかに、おじいちゃんが怒りやすくなるかどうかがかかっているといっても過言ではないかもしれません。
そして、何度もおじいちゃんが同じことを短時間で聞いてきた場合などは、やさしく「さっきも同じ話しを聞いたよ。心配ないから大丈夫だよ」と言ってあげれば、おじいちゃんは基本怒りません。また同じ話しをしてくるとは思いますが、その都度同じ対応をしてあげればおじいちゃんの「怒り」は避けられます。
ただ、この話しをとあるおばあちゃんにしたところ、「そんなことしていたら、こっちがストレスで倒れてしまう!!!」って怒られました(笑)。そうなると、二人で怒り続けるか、おじいちゃんを施設に預けるか、日中は毎日デイサービスに預けるか、薬を強く効かせてわけわからない感じにするかしかありません。
 
そのほかにもいろいろなケースがありますが、上記2つが最も多いケースだと思います。
ただいずれの場合も、おばあちゃんに我慢をしてもらうことは間違いありません。
一方で、おじいちゃんも好きで怒っているわけではありません。その気持ちを理解してあげ、周りがおばあちゃんも含めサポートしてあげ、高齢になってまで毎日怒っていたおじいちゃんではなく、笑顔で楽しそうに過ごしていたおじいちゃんという思い出を持てるようにしてほしいと思います。
 
もちろん、場合によっては、多少薬を使用する場合もあります。それは患者さんそれぞれの環境にもより、ケースバイケースであり、患者さん一人一人の環境まで考えた治療になります。
 
もし、おじいちゃんが怒りやすくなって困っている場合などは、かかりつけ医に相談してみると、家族だけで考えるより、いい解決法であったり、なんらかのちょっとした解決の糸口を見つけることができるかもしれません。
 
 

最近の治療

「認知症患者さんの熱中症対策

 

これから暑くなる季節になります。その際、家族の中に認知症患者さんがいる場合、困ることがあります。それは、エアコンは嫌だと言ってスイッチを切る、扇風機の風が嫌いだと言って扇風機もつけない、窓を開けて空気が通るとそれが嫌だと言って窓を閉め切る。外気温が30度を超えていても、窓を閉めきり、扇風機もエアコンもつけずにその部屋にとどまり、その結果、熱中症になる場合があります。実際、病院で救急外来をやっていた時は、夏場、少なくない人数の高齢者が、救急車で運ばれてきました。そして、それはほぼ自宅の自分の部屋で熱中症になっていました。家族は仕事があるから、朝から仕事に行き、夜帰ってきてみると、部屋の電気が消えていて、おばあちゃんの部屋を覗いたら、倒れていて意識もなかったので搬送されてきたという患者さんが、何人もいました。家族に話を聞くと、おばあちゃんがエアコン嫌いで・・・というケースが殆どです。家族は、なんとか熱中症を防ごうとするのに、おばあちゃんが理解できず、かつ、エアコンを消すという作業は上手にできてしまうために、結果、熱中症になってしまっています。
 
実際、当院にも、高齢者と一緒に暮らしているご家族から、「おばあちゃんがエアコン嫌いで、エアコンを切ってしまって暑い中にずっといる」などと相談される場合もあります。そのため、できるアドバイスとしては、「エアコンをつけっぱなしにして、リモコンを隠しておばあちゃんがエアコンをいじられないようにしておくしかないと思います」と説明しています。エアコンの多くは、天井近くから電源をとっていますので、おばあちゃんがなかなか手の届かないところになりますし、リモコンがないと電源が落とせないからです。
 
多くのおばあちゃんは、それが嫌で違う部屋に移ったりしますが、そちらの部屋も対策を立てておけば、問題ありません。なにも25度に設定する必要は全くなく、28~9度で問題ないと思っています。28度設定にしておけば、涼しくなれば、今のエアコンは自動的に休止しますので、そこまで電気代もかからないと思います。
 
おばあちゃんが倒れて、救急車で運んで・・・という手間を考えれば、エアコンの電気代くらいは安いと僕は考えているので、患者さん家族にはそのように説明しています。
 
高齢者を日中、一人にしておく場合は、家のエアコンを全部28度か29度に設定して、暑くなればエアコンが入るようにしておくのも、高齢者の熱中症を防ぐ方法になると思います。
 
ただし、これのみで完璧に熱中症を防げるわけではありません。そのほか水分摂取ができる環境等も整えてあげてください。
 

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「胸が痛い

 

春先から胸が痛い、胸が痛いような違和感があるという患者さんが来られています。他院にて、心電図をとったけど、なんともないと言われたけど、やっぱり痛みが続いているといって来られる患者さんもいらっしゃいました。実際、胸の痛みがあり、24時間心電図(ホルター心電図)をしたところ、原因は不整脈でした。「不整脈=ドキドキする」という認識をお持ちの患者さんもいますが、不整脈でも「胸が痛い」と訴える患者さんはいらっしゃいます。また、話を聞いて胸ではなく、胃の痛みを疑い、胃カメラをしたら、胃潰瘍だったという患者さんもいます。いずれも主訴は「胸が痛い」でした。
 
胸が痛いというと心臓をすぐに思い浮かべたくなりますが、胸に痛みが来る原因は様々です。胸が痛いという言葉は、様々な疾患を疑う自覚症状とも言えます。
 
胸が痛いと感じることがあれば、まずは、緊急性を考え、心臓の重篤な疾患を除外する必要があります。心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、不整脈などがあげられます。これらは心電図からわかる場合もありますが、心電図のみではわからない場合もあります。必要に応じて別の検査を追加する必要がある場合もあります。可能であれば、循環器専門医のところでの検査をお勧めをします。循環器専門医は、胸が痛いという症例を多く経験していますので、医師それぞれに診断をする際のポイントのようなものを持っている場合があり、「なんか変」「何か違和感がある」「なにか引っかかる」など、そういう心電図からでははっきりしないけど、「違和感を感じる」というそのちょっとしたところが重要だったりします。なので、まずは循環器専門医の受診をお勧めします。
 
また、何かをきっかけに痛みが出るような場合、例えば心窩部を押すとどうも痛い、違和感が強くなる、空腹時に胸が痛くなる、逆に食べ過ぎると痛くなるなどの場合は、消化器内科の疾患(胃潰瘍、逆流性食道炎)などを疑いますので、そういう場合は消化器内科専門医を受診される方が早く解決できる場合もあります。特に、みぞおちから胸に痛みがあり、かつ最近、便が黒っぽいという場合は、早めに消化器専門医へ受診をした方がいいと思われます。
 
他に胸が痛くなる原因として、肋間神経痛、帯状疱疹、肋骨骨折疑いなどの患者さんもいらっしゃいます。
 
近くに専門医がいないなどの場合は、とりあえずかかりつけ医や近くの診療所を受診されても、よろしいかと思います。
あまり我慢せずに、早めに受診した方がいい場合もありますので、遠慮せずに受診をしてください。

最近の治療

最近、おじいちゃんの元気がない

 

最近、かかりつけのおじいちゃんが定期受診より早く受診しました。主訴はなんとなくぼーっとして、元気がなく、食欲もない。でも話しかければ、答えはちゃんとしてくれ、変なことも言わない。でも、なんとなく元気がない。寝てばかりいる。とのことでした。この患者さんは当院かかりつけの患者さんでもともと心不全があり、「利尿剤」を使っていました。これは余分な水分を尿として排出するための薬です。正確にはナトリウムを尿の中にいれて排出する薬なのです。むくみや心臓が悪かったりすると処方する薬です。これをもう数年内服していました。また、心不全があるため、塩分をなるべく多く取らないようにも説明しました。
 
診察にて、思い浮かんだんのは、低ナトリウム血症でした。今までも注意をしてきたつもりではいたのですが、年齢を重ね、かつ食事量が落ちてきている場合、摂取するナトリウム量が減ります。摂取量が減っているのに利尿剤のナトリウムを出す力が同じだとすると、血中のナトリウムが減ってしまうということがあるのです。
そして、採血をすると案の定、低ナトリウム血症でした。幸い、家族も早めに連れてきてくれたこともあり、利尿剤をやめて、塩分制限を緩くしたのみで、すぐに回復してくれましたが、改めて高齢者の低ナトリウム血症には注意をしなければと思いました。
 
同じ薬をずっと飲んでいるから、薬の副作用は出ないと考えるのは間違いで、年齢を重ねれば、代謝も持ちますし、食事の摂取量も変わります。
このおじいちゃんには申し訳ないことをしましたが、もっと食事摂取量などを詳しく聴取し、また、具合の悪い時の薬の内服についてももう少し詳しく説明しておけばよかったなと反省しました。
 
もし、おじいちゃん、おばあちゃんなど、高齢者(老人)が最近どうもぼーっとしていて・・・という場合、早めに主治医にご相談ください。薬が変わっていなくても薬の副作用が出ることはありますので、主治医とよく相談することをお勧めします。低ナトリウム血症は採血をすればすぐにわかります。重度の低ナトリウム血症は命に関わることがありますので、注意が必要です。

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「心電図異常:完全右脚ブロックと完全左脚ブロック

 

昨年行った健康診断にて、D判定をうけたが、症状もないので放置していたが、会社に医師の診断を受けた診断書を出さないといけないので、書いて欲しいという患者さんが時々受診されます。高脂血症、高血圧、その他、様々な疾患で受診される患者さんがいらっしゃいます。そんな中、心電図異常で受診をされる患者さんが少なからずいます。ほぼ全員自覚症状はありません。そして、完全右脚ブロックという診断にて来院される患者さんと、完全左脚ブロックで来院される患者さんがいます。一見すると「右」と「左」の差でしかありません。しかし、意味合いは大きく違います。
 
最初に右脚ブロックから説明します。心臓のHis束という太い一本の索となって、心室中隔から下方に伸びて、前乳頭筋の基始部にて3本に枝分かれします。これを聞いてもなんのことかさっぱりわからない???という人が普通です。この辺りは、あまり気にされなくて結構です。そして、循環器内科医の場合、右脚ブロックの心電図を見ると、普通すぐに診断がつきます。そして、基本的に「大丈夫」と思います。というのも、他に異常がなければ、病的な意味合いはないと言われているからです。しかし、「基本的に」「他に異常がなければ」という点で、しっかりと問診が必要になりますし、その結果に応じて検査を要する場合があります。時々、高血圧や心筋梗塞などの他の合併症がある場合もあります。そのため当院では右脚ブロックの患者さんでも必要に応じて、検査をする場合があります。ただし、問診等にて全く異常がない場合、心電図にて、右脚ブロックのみの場合など、様々な場合がありますので、一概にどういう検査をします!ということはできません。
 
一方、左脚ブロックについてはどうでしょうか?
これも一応、説明しますが、左脚は、His束から別れて、心室中隔を横切り、左室中隔の心内膜下を左室全体に広がります。やはりこれも何を言っているかさっぱりわからないと思います。
ただし、左脚ブロックの場合、右脚ブロックとは異なり、それがあれば何かしらの病的な心臓を意味するといわれています。狭心症、心筋梗塞、高血圧等々。なので、検査が必須となります。通常は心臓超音波検査にて器質的な疾患がないことを確認します。それでもはっきりと原因がわからない場合があります。その時点ではわからなくても、後々何かしらの症状や所見が出てくる場合もあります。そのため、半年〜1年に一回程度の検査をお勧めすることがあります。また何か、普段と違った自覚症状があれば、受診してもらい、必要に応じて、さらに検査を必要とする場合があります。
心電図異常で自覚症状がないから、そのまま放置という考えはせずに、一度受診し、しっかりと精査を受けることをお勧めします。

最近の治療

「便秘と逆流性食道炎」「便秘と不整脈」

 

以前、便秘については述べていますので、下段をごらんください(もしくは左の内容から便秘を選択してください)。
最近、便秘の方が増えてきて、便秘と共に様々な症状を感じている方がいらっしゃいます。高度便秘と合併したのは、逆流性食道炎です。正確には、逆流性食道炎がどうしても良くならない、いくら、薬を飲んでも、治らないということで来院されました。話をよく聞くと、その患者さんは非常に強い便秘があり、1週間くらいでないのは当たり前ということでした。診察・検査をしてみると、便が大量にあることがわかり、話を聞く上で、便秘の状況と逆流性食道炎の症状に相関があるようでした。ご本人は全く関係ないと考えていたようですが、話を進めるうちに、そういえば・・・となんとなく、相関があるような気がすると気がつきました。そのため、逆流性食道炎の薬は、そのまま継続してもらい、便秘の改善をメインに治療を開始しました。すると、便秘の解消と共に、逆流性食道炎の症状は改善。全く症状が消失とはいかないまでも、胸焼けの回数は減りました。
あとは、便秘と不整脈を訴える患者さんも来ることがあります。この場合、便秘だから不整脈になっているのか、それとも、不整脈が出るような自律神経機能の異常があるために、結果、便秘も併発をしているのかわからない場合もあります。自律神経機能の異常にて、便秘となる場合があります。
通常、副交感神経の低下が起こると、便秘になると言われています。これは相対的に交感神経が優位になっているとの言えます。そうなると、不整脈が起こりやすい状況になる場合があります。そのため、便秘になると不整脈がでると感じる方がいらっしゃいますが、実は、同時に起こっている可能性もあります。たまたま、副交感神経の活動低下が、結果的に便秘と不整脈を同時に作り出しているということになります。そのため、自律神経系の治療をされると改善する場合がありますが、自律神経系の治療はなかなか難しく、薬を飲んだら、すぐに治りますとはなりません。生活の中のストレスや様々な生活習慣の改善を要する場合もあります。
 
もし、これらの症状で困っている場合は相談ください。

最近の治療

「便秘」

 

以前、便秘については述べていますので、下段をごらんください(もしくは左の内容から便秘を選択してください)。
今回は追記となります。便秘にて受診された患者さんの中に、便秘が一度解消されると、そのまま何もせずに様子を見る患者さんがいらっしゃいます。もちろん、一過性の便秘であれば、それで全然問題ないのですが、習慣性便秘であるにもかかわらず、良くなると治療を中止、そして、また、「すごく悪く」なると受診という患者さんがいらっしゃいます。確かに、薬という点では、悪い時に飲んで、良くなったらやめるというのは、理にかなっているともいえますが、実際には、腸内環境、細菌が同じままで、同じ生活をしていれば、ほぼ100%また慢性便秘は再発します。そのため、できることなら、しばらく便秘の薬を継続し、徐々に薬を減量していったほうが、便秘の再発を防げるケースが散見されています。全員ではありませんし、減量したらまた悪化するケースもあります。下剤を使いながら、同時に、乳酸菌などを含む薬を用いて、腸内環境を整えつつ、便秘の薬を減量ということもあります。便秘にて治療を受けている患者さんで、良くなったら通院を中止してしまうとまた、すぐに、もしくはしばらくすると再発する場合、一度、主治医と相談して、腸内環境を整えるようにすることをお勧めします。当院での話になりますが、便秘でこられた患者さんには2週間単位で薬の調整を行い、薬を飲まなくても良くなる場合、約2-3ヶ月ほどかかるケースが多いです。ただし、慢性便秘の場合、結果的に、乳酸菌製剤やマグミットなどの腸内の水分を多くする薬のを内服を継続する場合が多いです。
もし、便秘でお困りの方がいらっしゃれば、ご相談ください。

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「心の疲労」

 

最近、暑さもありますが、体力的にも疲れ、心も疲れている患者さんをしばしば見かけます。「普段、風邪なんて引かないのに、体がだるくて、そして、どうもやる気が出ない。」という患者さん。でも、話を聞くと、皆さん、頑張って働いている人たちが多いです。なので、体力的な疲れと同時に、心も疲れてきているのかもしれません。土日もなく働いていますという人もいます。早朝から夜まで働いて・・・とか、朝は普通だけど、夜中まで働きづめで・・・という人もいます。そして、眠られないので、睡眠薬が欲しいですという患者さんも増えています。
正直、内科では、心の疲労を回復させることは難しいと感じることが多くあります。睡眠薬については、一般的な薬であれば処方はできますので、通常は2週間分程度処方して様子を見てもらうことになります。眠られると、心の疲労が回復する人も少なくありませんが、全員が回復するわけではありません。なので、改善が得られずに2回目の受診の時に、「ゆっくり休んでくださいね」と伝えると、ほぼ全員が笑います。そして、「それができればいいんですけどね~」と。皆さん、自分をかなり追い詰めて仕事をされているような印象を受けます。日本人の有給休暇取得率は、50%前後と言われています。これは大企業の取得率がいいことが原因で、中小企業であ、40-45%程度と言われています。建設業などの人手不足のところなどでは、40%程度と言われています。使いきれていない有給休暇を上手に使いながら、心の健康も保って欲しいと思います。心の疲労が体の何らかの症状として出てしまうケースも多々有ります。もし、気になることがあれば、かかりつけの医師や主治医に相談してみてください。もしかしたらかかりつけ医や主治医がちょっと嫌な顔をされるケースもあるかもしれません。しかし、かかりつけの医師ですので、何かしらの方向性を示してくれると思います。もしかしたら、心療内科を勧められるかもしれません。しかし、それはそれで一つの改善のための方法ですので、一人で我慢せず、早めにかかりつけ医や主治医に相談してみてください。

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「高齢者の脱水・熱中症」

 

新潟市内も暑い日が続いています。往診先などで、高齢者が一人で部屋にいるところへお邪魔すると、入った瞬間に「モワッ」とした空気を感じることが少なくありません。体感温度で28-30度くらいの部屋にいることが多いです。長袖を着ているケースもあります。そして、「暑くないの?」ときくと「寒くて」と答える患者さんもいます。今までの経験上、寒いと感じていることは事実だと思いますが、それはあくまで「脳が感じる感覚」の問題であり、実際には、体自体は「暑い」という反応を示していることが多いです。一見すると汗もかいていないし、大丈夫かな?と思うことがありますが、危険な場合もあります。それはもう汗も出ない状態になっているという可能性が否定できないのです。年をとると、寒さには非常に弱くなりますが、暑いことに対してはあまり感じなくなります。その結果、暑い部屋にいても、寒いと感じ、長袖のシャツを着て、じっとしている。そして、暑くないから、水分もとらない。結果、脱水になるというケースが少なくありません。なので、本人が寒いからという言葉をそのまま信じてしまうと、じわじわ脱水が進み、数日かけて脱水になり、朝起きたら具合が悪いというケースもあります。
以前、病院で救急外来をやっていた時、夕方6時頃、80歳代のおばあちゃんが心肺停止にて緊急搬送されてきました。その際、息子さんも一緒でしたが、朝出かける時、母親は部屋にいて、部屋を閉め切っていたので、エアコンをつけて仕事に出たけど、帰ってきたら、母親が部屋で倒れていたため、救急車で搬送したと言っていました。ただ、帰ってきた時、部屋の窓は全部締まり、カーテンも締まり、エアコンも切られていて、ものすごい暑さの部屋だったと言っていました。残念ながら、搬送された時点ですでに心肺停止でしたので、そのまま死亡確認となってしまいました。その際、息子さんは「あんなに暑い部屋に居て、暑いって気がつかないんですか?40度を超えるような部屋ですよ?」と言っていました。40度を超える部屋にいながらも、自ら、エアコンを切って、暑い部屋に居ようとする。そして、よく話を聞くと、実はそれ以前にも同じことはあったようでした。部屋のエアコンをつけると、すぐに切る、じゃあ、エアコンが嫌いなら、と窓を開けると、すぐに締める。それなら扇風機で風をとつけるとすぐに消してしまう。こういうことが、実際に、高齢者ではみられます。認知症があるからという場合もありますが、一見、そんな認知症っぽく見えない場合でも起こります。
高齢者ではこのようにして脱水になり自宅で倒れるケースが決して少なくありません。高齢者がいる場合、本人がちょうどいい温度だからと言って、暑い部屋のままにしておくと、徐々に脱水が始まり、その後、熱中症となり、死に至るケースも稀ではありません。ご家族がこまめに部屋の温度をチェックするか、それができない場合は、エアコンを切れないようにしてあげることが必要です。寒いと感じていますので、エアコンが切れない場合、本人は洋服をきます。なので、寒くて寒くてと言っても、実際にトラブルになるケースは決して多くはありません。なるべく、部屋の温度は下げてあげ、寒いと感じるようなら、着るもので調整をしてもらうことをお勧めします。あとは、脱水になると、汗も出なくなり、体温調整も難しくなる場合もありますので、水分もこまめに取るように高齢者には促してください。多少、水分が多くても、相当程度心臓が悪くなければ、すぐに心不全になるわけではありませんが、脱水はちょっとしたことでなります。心不全があれば、主治医とよく相談して、水分摂取量を決めてもらい、その量までは摂取するようにしましょう。

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「薬の副作用」

 

最近、よく質問を受けます。それは薬の副作用についてです。当院かかりつけの患者さんの場合もありますし、他院かかりつけで、そちらの先生に話をしたら、「薬の副作用ではない!」と断言されて、納得できずに当院を受診したという患者さんまでいます。
具体的にどのような薬で副作用の訴えが多いのか?というと、1)認知症の薬 2)高脂血症の薬 3)高血圧の薬 4)貧血の薬 5)胃薬の順番でしょうか。まだいくつかあるのですが、とりあえず、私が質問を受けるトップ5について述べてみたいと思います。
まずは、もっとも確率が多い認知症に薬についてです。使用される頻度が多い、アリセプトという薬についてです。この薬でもっとも多いのは、「食欲不振」だと思います。これまでにも食欲不振が原因で中止せざるを得なかった患者さんがいます。飲み始めてすぐに食欲不振がでる場合もありますが、導入する場合、通常1~2週間は3mgという少量から開始し、その後5mgという量まで増量します。そのため、最初はなんともなかったのに、途中から、食欲不振がでる場合もあります。そのため、患者さんや家族があまり気がつかない場合もあります。飲んですぐに食欲不振がでると、「薬じゃないかな?」と疑いますが、飲んで、しばらくしてからでると、薬は関係なく、別の病気じゃないかと考える場合がありますが、実際には、飲んでしばらくしたら副作用がでる患者さんも多くいます。そのため、認知症の薬を飲んでいて、食欲不振がでる場合は、薬の副作用も原因の候補として上がります。そのほかに副作用としては、興奮してしまって、攻撃的になってきた、筋肉がピクピク痙攣するなどの場合もあります。攻撃的になることもやはり薬を増量してから起こる場合があります。また、筋肉の痙攣も同様に、増量後しばらくしてから起こる場合もあります。別の認知症の薬で、「メマリー」という薬もあります。この薬は、どちらかというと、認知症の周辺症状を抑えるために使用されるケースが多いように感じますが、この薬もやはり副作用があります。この薬の場合、傾眠といって眠くて、夜飲んでも日中までずっと寝ているというケース、また、筋肉が痙攣する、食欲がなくなるという場合もあります。アリセプトでは、攻撃的、メマリーでは傾眠という印象がありますが、逆の場合もありますので、注意は必要です。
次に、高脂血症の薬です。これの副作用の多いものとしては、主として「筋肉痛」です。受診時に筋肉が痛い、こわばる、なんか違和感があるなどの訴えをする場合があります。飲んですぐにでる場合もありますが、この薬も飲んでしばらくしたのちに副作用がでる場合もあります。なので、高脂血症の薬を飲んでいて、筋肉痛がある場合は、中止も検討されますので、主治医の先生とよく相談が必要です。また、筋肉は様々な場所にあり、舌の筋肉がしびれるという訴えの場合もありますし、下肢のみ、上腕のみという場合もあります。ただし、これらの場合も、筋肉痛=副作用とは限りませんので、一度休薬などして、薬をやめると、症状も消失するなどの確認が必要です。また、非常に高脂血症が悪い場合などは、勝手に中止せずに、主治医とよく相談の上、薬の中止、減量などを検討ください。
高血圧の薬については、様々なものがあります。ふらつき、頭痛、筋肉に力がないらないなど、多岐に渡ります。血圧の薬も、作用機序が異なった薬が多くありますので、副作用も当然薬によって違います。血圧が下がるため、立ちくらみなどはよく患者さんから聞かれる副作用となります。特に急に立ち上がった時は目の前が真っ白になるなどという訴えになる場合もあります。これは頭に血液がうまくいかなくなったことによる症状です。カルシウム拮抗薬などでよく聞かれる訴えですが、他の、ACE阻害薬、ARB、βブロッカー、利尿剤などでも起こる症状となります。頭痛はカルシウム拮抗薬で聞くことが多くなります。頻度としては決して多いとは思いませんが、高血圧の際に処方される可能性が多いので、どうしても副作用を感じる患者さんは多くなります。通常、頭が重い程度であれば、2-3日で慣れて、症状は感じなくなるケースが多いですが、内服後、すぐに拍動性の強い頭痛がでる場合は、カルシウム拮抗薬は使用できないケースが多いです。また、カルシウム拮抗薬でも、種類により頭痛が起きやすかったり起きにくかったりします。薬内服後に頭痛を生じるケースでは主治医と相談をしてください。また、歯肉腫脹という副作用が起こる場合もあります。どうも最近、歯茎が腫れるなどの場合も、主治医と相談が必要となります。ACE阻害薬では、「空咳」が多く聞かれます。薬を飲んだら、咳がよく出るようになったと感じる場合があります。この薬も空咳が割とよく見られる薬となりますので、空咳がでて辛い場合は主治医と相談が必要になります。βブロッカーでは、「脈がゆっくりで気持ち悪い」という訴えの場合があります。βブロッカーは脈を遅くし、心臓の収縮力も低下させますので、脈がゆっくりになることは、想定の範囲内なのですが、患者さんにとっては「なんとなく気持ちが悪い」という感じになる場合があります。その場合も主治医とよく相談をしてください。利尿剤ではおしっこが出すぎる!と感じる場合がありますが、利尿剤のため、それを狙った薬となりますので、日常生活に支障をきたす場合は、主治医とよく相談してください。
貧血の薬については、圧倒的に「嘔気・嘔吐」です。飲んですぐに気持ちが悪いと感じるケースが多いです。この場合、あまりなれる人は多くないように感じます。そのため、中止し、鉄剤の注射に切り替えて、鉄剤の投与をする場合が多くなります。当院でも、内服ができず、しかし、貧血も強く、鉄剤の注射を週1回~月1回くらいまで、程度に応じて、注射をしている患者さんがいらっしゃいます。いずれも、内服すると嘔吐していまい飲めないという患者さんたちです。そのほかに、便が黒くなるということもあります。これは仕方がない現象ですが、便秘などにならなければ様子を見てもらって問題ありません。
最後に胃薬ですが、胃薬の中でも胃酸を抑える薬では、「便秘」が多くなります。胃酸の量が少なくなるため、どうしても便に含まれる水分が減ってしまい、便秘となります。また、PPIと呼ばれる逆流性食道炎などで使用される薬では、胃酸を強力に抑えるので、便秘になることがあるのですが、それとは別に薬の副作用で、下痢となります。時々、或る日突然、水様性の下痢が続くと言って受診されるケースがあります。話を聞くと、当院からPPIが処方されていたり、また、他院からPPIが処方されているケースもあります。そのため、お腹も痛くないし、特に変わったことがないんだけど、突然下痢が始まり、PPI(タケプロンなど)を飲んでいる場合は、主治医に相談をして、中止もしくは薬の変更を検討してもらってください。また、PPIでは、服用後に強い胃痛を感じる副作用もあります。飲んでしばらくするといいんだけど、飲んだ直後に胃痛がするというケースもあります。そういう場合も主治医とよく相談してください。
以上が、最近、薬の副作用で相談を受けた内容となります。何か気になる点がありましたら、主治医とよく相談してください。

最近の治療

「認知症」

 

最近、当院の周辺も高齢化が進み、また、夫婦二人世帯も多く、認知症患者さんが大勢受診されます。通常、専門の病院・診療所へ紹介して診てもらうのですが、認知症が進んでから受診されると、専門の病院への受診を拒否されます。家族もなんとか頑張って当院まで連れてきており、さらに頑張って専門の病院や診療所に連れて行くことができないケースもあります。そういう場合は、とりあえず当院で認知症の薬を始めるケースもあります。主に使われるのは、「アリセプト」「メマリー」「レミニール」「メマリー」という薬になります。食欲不振などが強く出る場合もあり、その場合は、貼付剤があり、こちらを使う場合もあります。効果の現れ方は、患者さんにより多様です。飲み始めてすぐ効果がでる人もいますが、効果が出ない人もいます。ただし、「効果」というのは実は、認知症の本質ではなく、認知症に伴う随伴症状の改善を指すことがあります。認知症自体は、「記憶障害と見当識障害」という中核症状があります。つまり、物忘れが強くなったり、自分が今どこにいるのかわからなくなるなどの症状を指します。一方、周辺症状(BPSD)は患者さんによって出たり出なかったりする症状となります。そして、実はこちらの方が家族にとっては問題になるケースが多く、認知症の中核症状で困るというよりは、周辺症状で困るというケースが多くあります。
周辺症状の主なものは、「幻覚」「妄想」「睡眠障害(昼夜逆転)」「意欲の低下」「暴力・暴言」「徘徊」などがあります。認知症の薬により、中核症状は改善する場合がありますが、著名に改善するということは多くはないかもしれません。どちらかというと、中核症状の進行を食い止めるというイメージでしょうか。一方で、周辺症状については、大きく変わる場合もあります。特に幻覚が消える、幻聴が消える、夜眠るようになるということもありますし、意欲の低下が改善する、暴言、暴力が減るという場合もあります。また、これらの症状のうち、認知症の薬だけで改善が得られない場合は、認知症とは別の精神科系の薬を使うことにより、改善する場合もあります。薬が効く場合、飲んだ翌日から改善が見られるケースもありますが、飲んでも全く効果がないというケースもあります。しかし、通常、認知症の薬は、少量から初めて、規定量まで増量する場合が多い為、規定量までは効果がなくても続けてもらうことが多くなります。規定量まで増やしたところで、周辺症状が改善したというケースもあります。これは薬によって異なり、1週間ごとに増量~1ヶ月ごとに増量など様々な薬があります。そのため、処方してもらった薬を飲んだけど、全然効果がないから、薬をやめる!ということはせずに、主治医と相談をして欲しいと思います。
また、一度薬で落ち着くと、専門医への受診を面倒に感じるご家族もいらっしゃいますが、専門医の診断を受けた方がいいケースが多いため、もし患者さんが落ち着き、専門病院や診療所を受診できる場合は、紹介状を書きますので、受診していただければと思います。その後、問題なければ、また当院にて薬を出すことも可能です。
追記
最近、経験した患者さんではアリセプトを飲んでから、食欲不振が強く、半年間で15kg体重が減ってきた患者さんがいました。80歳代の男性です。家族からは、お酒が好きだったのに、お酒も飲めなくなって、どんどん痩せていって。何か原因があると思うので、検査してほしいと言われました。その際、よく体重が減り始めた頃からの話を聞くと、アリセプトを飲み始めた時期と同じであることがわかり、食欲がなくなると同時に、寝たきりのように活動性もなくなったという患者さんでした。そのため、アリセプトを中止し、貼付剤に切り替えたところすぐに食欲が改善し、食事も取れるようになりました。薬1つでこのくらい副作用が出る場合もあります。また、別の患者さんでは、メマリーを内服し、当初は何も副作用がなく、興奮なども改善し、家族も喜んでいまいしたが、内服後半年くらいしてから、ふらつきや傾眠などがでてきたケースもあります。当初、原因がはっきりしませんでしたが、高齢であったため、メマリーの副作用を考え、中止をしたところ、ふらつきや傾眠傾向が消失したケースもあります。若干、周辺症状が出てきたため、再度、少量から開始し、通常量より少ない量にて現在は安定しています。このように、認知症の薬では、副作用が出る場合があり、飲み始めから出るケースや、時間が経過してから出るケースもあります。そのため、ご家族が見ていて、どうも最近、食欲がない、元気がない、寝てばかりいる、ふらついている、ぼーっとしているなど、気になることがあり、認知症の薬を飲んでいる場合は、主治医と相談してみることをお勧めします。ただし、別の原因でも同じようなことは起こりますので、認知症の薬だけが原因とは限りません。デパスなんかでも同じようなことは起こりますので、主治医に相談して方向を決めることをお勧めします。

最近の治療

「ストレスと高血圧」

 

最近、4月末になり、新入社員も入ってきて、仕事でかなり疲れている患者さんがいらっしゃいます。中でも高血圧の患者さんのコントロールが若干悪化している印象があります。話を聞くと、「ストレスが多くて・・・」と言っています。最近、患者さんから、「なんでストレスが多いと、なぜ血圧が上がるのでしょうか?」との質問を受けました。そのため、ストレスと高血圧について、ちょっと説明してみようと思います。
ストレスの暴露と高血圧については、昔から研究がなされています。ストレスに繰り返し暴露されると、ストレスのない人に比べ高血圧を発症しやすいことが報告されています。4000人以上の航空管制官と8000人以上のアマチュアパイロットの高血圧について比較検討したデータでは、強い心理的ストレスのかかる航空管制官がアマチュアパイロットにくらべ4倍、高血圧の頻度が高く、1年間の新たな高血圧発症は5.6倍、高血圧発症年齢は、航空管制官は平均41歳、アマチュアパイロットは48歳という報告があります。
なぜストレスがかかると血圧が上がるのか?一つはストレスがかかると、交感神経活動が上昇し、尿中ナトリウム排泄が著明に減少するというデータがあります。これは、体液が貯留することを意味します。つまり、塩分を多く取った状態と同じことが起こり得ます。そして、ストレスがかかると、これも交感神経活動の上昇により心収縮性がアップします。これにより、心拍出量の増加が起こります。また、機能的な血管の収縮、構造的血管肥厚なども起こり、末梢血管抵抗の増加などもみられます。これらによりストレスがかかる=交感神経活動の亢進により血圧が上昇し、高血圧が悪化します。
まとめると、ストレスがかかると、体の中の水分量が増加(血管内の血液量も増加)しているにもかかわらず、心臓の収縮性のアップによりより強く血液を押し出し、また、一方で、血液の入れ物であり血管が収縮するため、血液を送り出しにくくなり、なおさら血圧が上昇するという環境を作り出します。
このようにストレスがかかる状況が長く続くと、高血圧の発症リスクが高くなり、また、もともと高血圧の人はさらに血圧のコントロールが悪くなるということがあります。これらの状況を踏まえた、薬の選択なども必要になりますので、血圧が高い患者さんで、どうも最近、家で測定する血圧が高いな~という人は、ぜひ主治医に相談してみてください。また、今まで血圧が高くなかったのに、最近、血圧が高いな~という患者さんも近くの循環器内科で相談してみてください。状況に応じて、様々な薬を選択することができます。

最近の治療

「貧血」

 

年度末に近くなり、健康診断にて異常値を指摘され、その精査のため来院される患者さんが増えています。その中で、特に女性に「貧血」を指摘されている患者さんが多く見られます。通常ヘモグロビン(Hb)値は12-14g/dlという値の中にありますが、それ以下を指摘され来院される患者さんが多くいます。貧血になると、「息切れ」「動悸」「ふらつき」「疲れやすさ」などを訴えることが多くなります。実際、健康診断で貧血を指摘された患者さんに質問をすると「息切れ」を自覚しているケースが多いです。しかし、息切れというのは通常、体を動かしたときにしか感じませんので、皆さん、息切れがしない程度に運動を制限して生活をしているため、あまり息切れを自覚せずに生活をしています。しかし、よく話を聞くと実は息切れを自覚しているケースが多くあります。通常、貧血の治療は「鉄剤」と呼ばれる薬の内服をしてもらいます。朝晩内服で3-4ヶ月ほどしてもらうケースが多いです。治療開始後、食生活などを改善してもらい、鉄分を多く含む食事も摂取してもらいます。そして、一度、鉄剤を中止し、一定期間をおいて、再度検査をして貧血が進んでいないかどうかを評価します。中にはずっと内服が必要となるケースもあります。また、鉄剤が飲めないという患者さんも実は大勢います。嘔気、嘔吐、胃部不快感などがあり、鉄剤を飲むと具合が悪くなるというケースです。その場合は、毎週~2週間に1回ほど、注射による鉄剤の投与をさせてもらいます。毎週通院してもらう方が早く改善します。ただこの場合は、ある程度の量を入れることが必要ですが毎週、もしくは隔週のため、注射を受ける期間は長くなります。しかし、貧血で受診された患者さんで、治療をうけ貧血が改善された患者さんのほとんどは、「とても楽になった」とおっしゃいます。特に、忙しくなってきたときに疲れ方が全然違うと言います。もし、健康診断などで貧血を指摘され、疲れやすいなと感じている患者さんがいましたら、貧血の治療をお勧めします。

最近の治療

「ふらつき」

 

最近、様々な相談を受けることが多くなっています。その中でも多くなっている印象がある症状が、「ふらつく」という症状です。当初、頭(脳)が原因ではないかと神経内科などでMRIをしてもらったが異常はないと言われ、その後、当院をHPなどで調べてくださり、「ふらつき」の原因を心臓ではないかと考え受診される患者さんもいらっしゃいます。しかし、調べても心臓もふらつきの原因となりそうな所見がないことが多いです。通常、心臓が原因で「ふらつき」を自覚される場合、不整脈による「徐脈」を疑います。心拍の間が、10秒以上空けば、「失神」となって現れます。意識消失をしてしまいます。しかし、数秒程度の場合、意識は無くならないけど、「ふらつく」という症状になります。まずはこれを調べる必要があり、「心臓超音波検査」「心電図」などを行い、必要応じて、「ホルター心電図(24時間心電図)」を行います。これらにて、原因がわかる場合もあります。原因がわかれば、必要応じて、ペースメーカーの植え込みを病院へ依頼します。
これは以前、の不整脈のところでも 少し述べられていますが、実際に、そういう不整脈があることは実はあまり多くはありません。いないわけではなく、当院でも不整脈が見つかり、ペースメーカーの植え込みを依頼したりしています。しかし、特に高齢者の場合、不整脈が原因ではなく「薬の副作用」としての「ふらつき」が多くなっています。年齢を重ねると、「不眠症」などの症状が出る場合があります。そして、徐々に薬の用量が増えたり、または薬の種類が増えたりします。もちろん、処方する医師も副作用を考えて処方していますでの、薬を飲んですぐに副作用が出れば中止をしたり、用量調整をしてくれます。しかし、内服当初は副作用がない場合も多くあります。そして、その薬を1年、3年、5年と継続されている患者さんも多くいます。そして、年齢を重ねて、ある時、突然、「ふらつき」を自覚する場合があります。当院に受診される「ふらつき」を訴える患者さんの多くは、「睡眠薬」もしくは「安定剤」と呼ばれる薬が処方されていることが多いです。当院にこられ、診察をして、どういうときにめまいが多く発生するか、どういう環境でめまいが発生するか、いつからめまいが発生するか、など様々な質問をさせていただきます。その際、薬による副作用が出る患者さんの多くは、「夜中トイレに目が覚めた時」「朝起きてから、お昼くらいまで」などということが多くなります。つまり、薬の作用が残ってしまっている可能性が高い時間帯となります。このような時間帯に発生する「ふらつき」の場合、薬について詳しく話を聞きます。すると多くの場合、「睡眠薬」「安定剤」と呼ばれる薬があり、これを調整させてもらいます。他院から処方されている場合は、主治医の先生と良く相談してもらっています。
その際、よく患者さんから言われる言葉があります。それは「この薬はずっと前から飲んでいるから違うと思うんですけど・・・」という言葉です。この言葉、確かに間違ってはいませんし、お薬手帳などからももう何年も飲んでいることがわかる場合もあります。なので、患者さんは、薬が原因だとはちょっと理解できないことが多くあります。薬はずっと前から、変わっていません。これは事実です。しかし、一つだけ「変わっていること」があります。それは、患者さん自身が年をとることです。これは厳然とした事実です。患者さん自身が年をとるのです。年齢を重ねても、「気持ち」は若いままという方が多いです。しかし、気持ちが若いことは素晴らしいことだと思いますが、それに乖離して、肉体は老化します。すると、何が起こるかというと、「薬を代謝する能力が落ちる」ということです。そのため、70歳の時にちょうど良かった「睡眠薬」や「安定剤」の量が、75歳になったときにも「適正」かどうかはわかりません。個人差がありますので、75歳になっても問題無い人もいますが、75歳になった時点では「多すぎる」人もいます。その「多すぎる」人にとっては、副作用としての「ふらつき」が出てしまう場合もあります。事実、睡眠薬と呼ばれる薬の注意書きには、以下のようなことが書かれていることが多いです。
高齢者への投与少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。[高齢者では運動失調等の副作用が発現しやすい。]
もし、ふらつきを夜中・朝・午前中に自覚し、どうも調子が悪いという人で、睡眠薬・安定剤を内服している人がいましたら、ぜひ主治医とお話をしてみてください。薬を減らすと眠られないかもしれないと不安に感じる人もいるとは思いますが、ふらつきがあると転倒して骨折、寝たきりなどというリスクもあります。主治医の先生と良く相談して、「ふらつき」を自覚しないが、「なんとか眠られる」という薬の量を見つけてください。

最近の治療

「高脂血症(高コレステロール血症)」

 

健康診断を行うと、「コレステロールが高いです」という指摘を受ける人が多いとおもいます。当院でも「特定健診」を行っていますが、全体の3割以上に高脂血症が認められています。そして、その中の一部の人は、そのまま内服治療となっています。その際、血圧のところでも書きましたが、「この薬、一回飲んだらやめられないんですか?」と聞かれることがあります。個人的感想としては、食事の影響を強く受ける高脂血症のほうが食事習慣の改善によって薬をやめられる人が多い印象があります。しかし、決して全員ではありません。
また、薬の内服以前の問題で、そもそもなぜ高脂血症にて治療が必要なんだろうか?というところを疑問に持つ方もいらっしゃると思います。実際、当院でも、健康診断にて高脂血症が見つかり、薬を勧めると、「本当に飲まないといけないんですか?私なんにも症状がないんですけど」と言われることがあります。
となると、高脂血症に伴うリスクは何があるのか?ということから話をしなければなりません。具体的なリスクは「脳梗塞」「心筋梗塞」に代表される、血管が原因となる病気です。特にLDLコレステロールが高い場合はリスクが高いと言われています。また、当然ですが、「高血圧」「糖尿病」「喫煙」などがあれば、リスクはさらに上がります。そのため、高脂血症があっても、絶対に薬を飲んだほうがいいという患者さんもいれば、まずは生活習慣を変えて、それでもダメなら薬を検討しましょうという患者さんもいますし、もちろん、もう少し様子を見てもいいでしょうという患者さんもいます。その理由は、高脂血症といっても、LDLコレステロールが高いのか、中性脂肪が高いのか、HDLコレステロールが高いのかで多少対応は変わってきますし、合併症があるかどうかでも当然変わってきます。そのため、この値なら絶対に薬を開始しましょうということにはなりません。ただ、LDLコレステロールが200を超えるようであれば、個人的には内服治療をお勧めしています。仮に高血圧、糖尿病などがなかったとしてもです。ただし、薬は飲みたくないという場合などは、まずは1ヶ月間、しっかりと食事・運動管理をしてもらい、1ヶ月後に再検査を行い、改善していれば、内服をせずい定期的にフォローをしていく場合もあります。一番怖いのは、自己判断にて「症状がないから治療はいらないや」と判断することです。様々な条件から、リスクを勘案して薬をお勧めしたり、様子を見たりします。また、患者さんの希望も十分把握した上で治療をしますので、診察をうけると絶対に薬を飲まなければならない!と考えずに、まずは相談していただければと思います。

最近の治療

「下肢静脈瘤」

 

これは、「下肢」つまり「足」の表面に静脈の「瘤」つまり「こぶ」ができます。足の表面にボコボコとして静脈が目立つようになる病気です。見た目に静脈がボコボコとなっていても症状のない人もいます。一般的に症状としては「足がだるい」「足が痛い」「足がかゆい」「色素沈着」「潰瘍」「むくみ」「こむら返り」「出血」などがあります。当院にも月に何人か受診されますが、多くの場合、「見た目が悪い」「だるい感じがする」という患者さんが多いです。出血、潰瘍などの重傷例はほとんどいません。原因としては、静脈内にある弁不全、静脈壁の脆弱化、深部静脈血栓症の後遺症などが挙げられます。原因を聞いても、多分、それらを予防することは不可能です。なので、原因によらず、治療をするかどうかが問題となります。ただ、関連因子としては、次のものが挙げられます。「高齢」「立ち仕事」「妊娠・出産」「家族歴」「女性」「肥満」などが挙げられます。これらに当てはまり、かつ足の静脈がボコボコとなっている場合は、下肢静脈瘤の可能性が高いと考えます。また、皆さんが心配なさるのは、「エコノミークラス症候群」になるのではないか?という心配です。エコノミークラス症候群の場合は、表在ではなく深部の静脈に血栓ができるため、表在の静脈の問題である下肢静脈瘤ではほとんど問題はありません。ただし、もともと静脈に問題がある場合もあり、深部静脈に異常があったりする場合もありますので、絶対に安全というわけではありません。その辺りは問診等、必要に応じて、超音波検査にて確認をすることになります。そして、次にある質問は「このまま放置してもいいのか?」という点です。症状が許容範囲内であり、深部静脈血栓症のリスクが高くないと判断された場合は、圧迫のための「ストッキング」を履いてもらって、経過観察となる場合もあります。しかし、症状が強い場合などは治療が必要となります。しかしそれでも改善が得られない場合などは、「ストリッピング手術」「硬化療法」「弁形成術」「レーザー治療」などがありますが、基本は圧迫療法です。
もし、ストッキングではダメな場合は、当院ではそれ以上の治療は不可能となりますので、専門の病院等へ紹介をさせていただいています。足の静脈瘤が気になる場合は、相談ください。

最近の治療

「季節と高血圧」

 

最近、血圧が高くなってきたとの訴えで受診される患者さんが増えております。その理由としては寒くなってきたということが挙げられます。昨年まではなんともなかったのに、今年になって突然、血圧が高くなったという方もいらっしゃいます。実際に、ご家庭での血圧も140-150、中には180という方もいます。そして診察室で測定すると、さらに上がっているという患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんとお話をすると、どうしても「薬」の話になります。そうすると多くの患者さんは「血圧の薬は一生、飲み続けなければいけないんですよね?」という質問をされます。そして、多くの場合、「そういう方が多いです」という返事をします。ただし、「全員ではありません」とも付け加えています。
なぜ「全員ではありません」となるのか?それは、血圧が上昇している原因が何か別にある場合もあります。全員が全員、同じ理由で血圧が上がるわけではありません。一時的に上がっている患者さんもいれば、遺伝的に高くなってしまっている患者さんもいます。また、夏場は血圧は下がっているけど、寒くなると上がるという患者さんもいます。しょっぱいものを食べると上がる人もいます。ストレスで上がる人もいます。つまり、「高血圧」ひとつとっても、実は色々なパターンがあります。そのため、薬は一生飲まなければならないということに必ずしもなりません。生活習慣を改善することにより薬を減らしたり、やめたりすることができるケースも、多くはありませんが、あります。また、一時、非常に高かった血圧、180-200mmHgという患者さんも薬を使い、確実に下げてコントロールをして、しばらくすると、薬を減量しても上がらないという患者さんもいます。まったく飲まなくていいとはなりませんが、かなり薬を減らせるケースもあります。受診したら、薬を出されるから受診しない!ではなく、一度受診して「相談」してみるという気持ちで受診されることをお勧めします。無理やり薬を出すことはありません。

最近の治療

「動悸・不整脈」

 

5月頃から、脈の不整、動悸、胸部違和感を自覚され受診される患者さんが多くいらっしゃいます。高齢者若年者、男性女性問わず来院されております。お話を聞くと、4月頃から職場環境が変わり、忙しくなった患者さんや、そもそも新しい職場に移った患者さん、その他、家庭環境が変わった患者さんなど、様々な環境の変化のあった患者さんがいらっしゃいます。そして、8月に入り、暑くなって来て再び動悸・胸部違和感・胸部不快感の患者さんが増えています。不整脈は、ストレスがかかると、出やすくなることがあります。実は僕も・・・。時々不整脈が出ます。そして、それはストレスが強いときほど出る傾向があるようです。ただ、いつも出るわけではありませんが、一発不整脈が出ると非常に不快です。しかし90%近い人は実は、一日のうちに1発以上、何らかの不整脈が出ています。統計を取ったわけではありませんが、今まで相当数の24時間心電図を判読して来て、そのうち、一日1発も不整脈が出ていない人のほうが圧倒的に少ないのです。一日10万回以上、心臓は鼓動をしているわけで、そのうち1発も出ていない人の方がやはり少ないのです。しかし、動悸を自覚される患者さんはさほど多くはありません。つまり、感じていないと言う事になります。しかし、感じる方は非常に強く感じます(僕もその1人です)。なので、もし、動悸がして辛いと言う場合は、相談してみるほうが良いです。不整脈の中でも、危ない不整脈~全く危なくない不整脈まで様々です。そして、治療が必要な不整脈~治療が不要な不整脈(ただし症状が強ければ治療する場合もあります)まで様々です。しかし、症状と危険度は一致しませんので、動悸の症状が軽いから大丈夫ということには必ずしもなりません。動悸を感じている場合は、受診し、24時間心電図(ホルター心電図)などで、しっかりと確定診断を受けた後、方針を決める事をお勧めします。その結果を持って,薬を検討します。不整脈の種類がわかっていないのに薬を内服する事はリスクを伴いますので、しっかりとした診断をもって、薬を開始される事をお勧めします。特に抗不整脈薬は副作用もあり、薬剤生QT延長症候群となり、命に関わる事もあり得ます。その場合は薬の中止が必須となります。不整脈の薬に関しては、専門の知識を持つ病院・クリニックでの治療をお勧めします。

最近の治療

「便秘」

 

最近、便秘の患者さんが大勢来ています。若年~高齢者まで様々な年齢層の患者さんが受診されています。そのため、私自身も便秘について、また便秘の治療について、調べてみました。すると、便秘と言っても様々なタイプがあり、そのタイプを見極め、いかに適切な薬を選択するかということが重要か、またそれがどれほど難しいかと言う事もわかってきました。その一つの理由は、食生活、運動、生活のリズムは患者さん毎に全く違うと言う事です。「野菜は嫌いなので食べません」「お肉は嫌いなので食べません」「運動は嫌いなのでしません」などなど。確かに、食の好みは人それぞれです。運動好きの人もいれば、運動嫌いの人もいます。そうなると、どこまで「便秘に良いと考えられる生活スタイル」を受け入れてもらえるか?と言う事が重要になります。便秘の解消のために生活面の改善が必須の場合、それをしない限り、完全に便秘を解消する事は難しいかもしれません。しかし、「生活スタイルを変えないから、あきらめて」と言ってしまえば、医者はいらなくなってしまいます。そこで、どこまで便秘に良い生活スタイルを受けいれてもらえるかを相談した上で、便秘解消に到達しない分を薬で補助する事になります。もちろん、生活スタイルは絶対に変えられない!!!という患者さんには、お薬で症状を改善させられるかどうかを考えますが、効果が不十分と言う事もあり得ます。言い方を変えると、生活スタイルを変えると、それプラスちょっとの薬で便秘の改善が得らる場合があります。そのため、問診をした上で、生活スタイルを聞き、ベストと考えられる生活と治療方法を考えたいと思います。ちなみに、当院に来られていた患者さんでは、便秘にて薬を使用した後、リズムが良くなり、その後薬をほとんど飲まなくても排便コントロールがついたという患者さんもいらっしゃいます。何かのきっかけで良くなると、その後薬なしでも便秘にならないという患者さんもいらっしゃいます。便秘で悩んでいる方はご相談ください。ただし、必要があれば大腸内視鏡を勧める場合もあります。当院では大腸内視鏡が不可能であるため、他院にお願いする場合もあります。あらかじめご了承ください。