新潟市中央区田町にある内科・循環器内科・訪問診療のクリニック

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コロナウイルス感染症の後遺症について

8月は当院にも多くのコロナウイルス感染症の患者さんが来院されました。多くの患者さんは風邪症状で終わっていますが、その中でもやはり後遺症が強く出てしまう患者さんは存在しています。
一番多い症状は「咳が止まらない」というものです。これは大体2ヶ月以内に自然軽快している方が多いですが、一部、慢性気管支炎的な症状になってしまう方がいらっしゃいます。
次に「倦怠感が続く」です。他の症状はほぼなくなったけど、倦怠感が続いてだるくて如何しようも無いという方です。全体で見れば5%にも満たないかもしれませんが、咳よりもより深刻な感じになっています。中には仕事に行けないくらい辛いという方もいらっしゃいます。そこまで強くはないけど、仕事に行って帰ってくると疲れてもう何もできないという方もいらっしゃいます。
そしてこの倦怠感は正直なかなか良くならない印象が強いです。1ヶ月程度は普通に続きますし、また患者さんによっては、療養期間5日は全然普通になんともなかったのに、療養開けてから、感染後、7-10日くらい目から悪化してきているという方もいらっしゃいます。ウイルス感染症なので、珍しいわけではないと思うのですが、そのような患者さんもいらっしゃいます。このような場合は、漢方薬等を使いながら、無理をしない状態を続けてもらい、徐々に改善を得られるように治療を継続していくことが多いです。
そしてこれも多くはないですが、頭痛が取れないという方もいらっしゃいます。ただどちらかというと、倦怠感+頭痛で、より倦怠感より頭痛が辛いという方です。ただこの場合、解熱鎮痛剤が効果がある場合も多いので、解熱鎮痛剤で対応をすることが多くなります。頭痛については2週間くらいでかなり改善している印象があります。
あとは以前言われていたブレインフォグという脳に靄がかかった状態みたいだと訴える方も1%未満ですが存在します。
そのほかには下痢が続くという人もいますが、多くはありませんし、割と回復が早い感じがしています。
 
コロナウイルス感染症後に様々な後遺症で困る方もいます。もし困っている場合はかかりつけの医師に相談することをお勧めします。決定的な解決策・治療法がないことも多々あるのですが、少しでも改善の兆しが出てくると、いい方向に進む方もいらっしゃいます。困っている患者さんは医療機関でご相談ください。

スポーツ飲料摂取と心不全の悪化について

新潟市もまだまだ暑い日が続いています。あと1週間くらいで夜間の気温も下がってくると思いますが、日中はまだ30度近い日が続きます。そのため、テレビ、新聞等々で塩分を摂りましょうということを言われていることがあります。確かに炎天下で外仕事をする方には塩分は必要になりますが、基本家から出ず、エアコンの中で生活をする高齢者においては、塩分の増量は不要だと考えられます。当院でも、テレビ、新聞等で塩分をしっかりと摂取するように報道されたので、スポーツドリンクをちゃんと飲まれていた方が複数います。そして当院は心不全患者さんも多くいるため、スポーツドリンクの摂取により心不全が悪化したというケースが見られています。多いとまではいませんが、少なくありません。7月8月で見ても15人以上の心不全患者さんでスポーツドリンクによる心不全の悪化が見られています。
当院では心不全があり、一定以上悪化した患者さんには「味噌汁は飲まないでください」とお願いをしています。実際、味噌汁1杯あたり、約1gの塩分が入っています。その1gを減らすことで、心不全をある程度コントロールできることが多くあります。つまり1gの塩分をどうやって減らすかが重要になるとも言えます。
一方、スポーツドリンクにはどのくらい塩分が入っているかというと、500mlあたり0.5-0.6g入っています。つまり、これらを1本毎日飲むと、1gの減塩でコントロールできていた心不全が悪化してしまいます。2本飲んだらもうコントロールはできません。そのほか、梅干し食べていた、夏だから塩分が必要だと思って味噌汁を再度飲み始めた等々ありますが、もともと塩分摂取が多いために味噌汁を減らして管理していても、汗もほとんどかかないのに、味噌汁を再開すれば当然心不全は悪化します。
当院ではNT-proBNPという心不全を表す採血データを用いて判断することが多いですが、正常値が125までで、600-900くらいで管理できていた患者さんたちが、スポーツ飲料や味噌汁再開で3500-5000くらいまで上がった患者さんが10人以上います。つまり、1ヶ月近く1g程度の塩分を多く摂るだけで、心不全の値はここまで変わってきます。そして元に戻すにはまた塩分の摂取をより控えるしかありませんし、場合によっては入院して対応をお願いせざるを得ないケースもあります。
もし、自分は夏場に塩分を追加で摂取した方がいいのかどうかわからない場合は、まずは主治医に相談してください。主治医が「多めに摂取した方がいい」と言われた場合は摂取していいと思いますし、主治医が「追加で摂取しなくてもいい」といった場合は、摂取しないほうがいいと考えます。
この夏は特に暑かったので、スポーツドリンク摂取による心不全の悪化が昨年・一昨年より多く見られています。
心不全と診断され、利尿剤等を内服している場合は、テレビや新聞に惑わされず、まずは主治医に相談ください。その方が安全です。

最近のコロナの状況と夜間の熱中症について

新潟市内のコロナ患者はさらに増えている印象です。新潟まつりもあり、今週はさらに増加する可能性が高いと考えています。そして、最近の発熱等で来院される患者さんの傾向として  「周りに誰もコロナの人はいません」という人が増えています。つまり、どこで感染したのかわからないという方が多くなっています。
多くの方が喉、咳、痰、倦怠感、発熱のいずれかの症状があります。そして多くの場合、38度以上の発熱が見られています。ただし、喉の痛み、頭痛等で解熱鎮痛剤を飲んでしまうと、熱が出ない状態になってしまう方もいます。
自覚症状は非常に重たい方から軽い方までいます。そのため、症状が軽いから大丈夫とも言えない状況です。
当院への受診を希望する場合は必ず家から電話をお願いします。駐車場に来られてから電話をしてもらっても、待ち時間が長くなる事が多々あります。必ず家もしくは職場から電話をお願いします。
 
また、朝から発熱、倦怠感で来院される方もいますが、正直、熱中症とコロナとの見分けはつかない場合があります。朝から発熱の場合、実際には感染していても抗原検査をしても陰性のことは多々あります。そのため、熱中症の可能性が高いと考えても、一般患者さんとの分離ができないため、点滴もしてあげられない可能性もあります。この先1週間の天気予報では雨の予報はなく、最高気温も34-37度、最低気温も27-28度と夜中でも気温が下がらないことが予想されています。夜間は必ずエアコンをつけて寝てください。
当院のかかりつけ患者さんの中にも朝具合が悪いと言って脱水用のような症状で来院されるかたがいますが、ほぼ全員が全員がエアコンを寝る時、もしくは寝ている途中でタイマーで消しています。その数時間で脱水症になっています。
必ず寝ている最中もエアコンをつけて寝てください。寒いと感じたら布団をかけて寝てください。

発熱時の受診タイミングについて

新潟市内のコロナ患者も大きく増えている印象があります。当院にも発熱をした、風邪症状があるということで受診を希望される患者さんが増えています。薬だけ欲しいという場合であれば、電話をいただき、時間を指定して受診をしてもらうことで問題ありませんが、コロナかどうか、会社や学校に行くためにも検査が必要という方もいらっしゃいます。当院では半分以上の方が検査を希望されます。
当院での現状という話になりますが、朝発熱した患者さんでは、お昼頃検査をしてもコロナの抗原検査は陰性になることがほとんどです。家族内にコロナ患者がいても、発熱後すぐ〜数時間では抗原検査は陰性になることが多いという印象です。実際、翌日再検査をして陽性というケースが多くあります。
現在、コロナに関する診察・検査は保険適応ではありますが、1割もしくは3割の負担が生じますし、痛い思いもしなければなりません。そのため、もし手持ちに解熱剤があり、体調がさほど悪くない場合は、発熱後18-24時間ほど経過したのち、検査をすることをお勧めしています。朝発熱した場合、翌日の検査をお勧めすることもあります。それにより検査回数ならびに自己負担分の金額も安くすみますし、痛い思いも1回ですみます。
発熱してすぐに医療機関で診察をという気持ちはわかりますが、検査が不要であればそれで全然構いませんが、コロナかどうかの判断が必要という場合は、時間をおいてからの検査をお勧めしています。
当院では、受診希望の場合、電話をいただき、看護師が状況を聞き、受診ならびに検査のタイミングについて説明をし、必要に応じて予約を取ります。
また早く検査をすれば早く出社や通学ができるわけではありません。発熱日を0日として、その後5日間を自宅療養となりますので、発熱日に検査をしても翌日に検査をしても自宅療養期間は変わりません。 
発熱した場合、焦らず電話をして受診・処方・検査のタイミングについて説明しますので、必ずお電話にて事前に連絡をお願い足します。

寝ている最中の熱中症について

新潟市内も暑くなってきて熱中症のリスクが高まっています。高齢者では熱中症のリスクが上がっています。特に夜、エアコンをつけずに寝ていて、朝起きた時点で熱中症・脱水というケースが散見されています。先週くらいからそのような人が増えています。特に暑い日には増えます。
みなさん口を揃えて言うのが、「夜は涼しい」「風が入ってくる」「エアコンは嫌い」等ですが、実際、朝の熱中症・脱水で来院されるリスクが増えます。特に朝起きた時はまだ元気で、10時11時からなんか具合が悪いと言って来院されるケースも多くあります。そして、その大多数が75歳以上の高齢者です。
特に心臓や腎臓に疾患を抱える患者さんでは命取りになりかねません。
心臓が悪い人で、熱中症・脱水を起こすと容易に心不全を起こします。そして以下のような状態になっていきます。
①脱水になる②心拍数が上がる③だんだん心臓が疲れてきてちゃんと収縮できなくなる④体が必要とする血液量を拍出できなくなる⑤肺に水がたまるということがおきます。
③の段階で気がつけばまだなんとかなりますが、⑤の状態になれば入院を擁するケースが増えます。入院して治療をする際、脱水のため、点滴で水を入れたいけど、入れると心臓の運動量が増えて、なおさら心臓が疲れてしまうという状態になり、治療が非常に難しいことがあります。そのため、脱水心不全は命取りになりかねません。
75歳以上の方は夜も一晩中エアコンをつけ、27-28度設定でつけたまま寝てください。そして寒いと感じたら、布団をかけて寝てください。部屋の温度は27度にして寝ていただければ熱中症のリスクはかなり下げられます。
当院心臓が専門のため心不全患者さんが多く、その方達が夜中の熱中症・脱水からの心不全でこられると入院するケースが少なくありません。それを防ぐためにも夜中のエアコンをつけ続けてもらうことが重要になります。
お金がもったいないという方もいますが、入院すれば時間も費用も取られますし、家族の方もそれに伴い付き添いや説明を聞きに行くなどの手間も増えます。そう考えると多少電気代がかかっても、夜中もエアコンをつけて寝ることをお勧めします。

最近の発熱外来の傾向について2

6月中旬からインフルエンザの方はほぼいなくなっていますが、コロナをはじめとした感染症の方は増えています。家族内にコロナに罹患した方がいる場合、検査にてコロナ陽性になるケースが増えています。家族内感染はいまだに起こっています。
また、経路不明という周囲に全くコロナ感染者はいないけど、感染・発症したという方は増えています。特に大人の場合、飲み会による感染が多い印象があります。最近の傾向としては、金曜日・土曜日に飲み会をして、日曜日、月曜日から発熱し受診され、陽性と判明という方が増えています。ただ飲み会が多く増えているので、感染率が高いかどうかはわかりません。しかし、飲み会後2日くらいしてから発熱や風邪症状の場合、コロナ感染を疑う事は必要かもしれません。ただ当院で見ている限り、重症化する人はほぼいません。新潟市の重症化の割合も増えてはいないようです。そのため、必要以上に心配する必要はないと考えますが、飲み会の後、発熱するようであれば、市販されている抗原検査キットで検査をしてもいいと思いますし、医療機関にて検査を受けてもいいと思います。
なお、その場合、医療機関に連絡をしてから受診をすることをお勧めします。
当院でも連絡なく来られると発熱外来用診察室が2つとも埋まっていることがあり、一度帰宅していただくもしくは30分程度、車で待ってもらうことがあります。そのため、受診希望の際には事前に連絡をお願いします。
また、また、最近の傾向として発熱直後に検査をしても偽陰性の方が多い印象です。もし発熱した場合、手持ちの解熱剤を内服し、発熱後24時間程度してから検査をした方がより精度が上がるようです。医療機関での検査では、検査料、診察料共に以前の公費負担から自己負担になっているため、余計な負担増になりかねません。
現在発熱翌日から5日経過後、出社等可能になりますので、1日自宅で過ごしたのち受診されても、出社等出来るまでの期間は変わりません。

最近の発熱外来の傾向について

GW後、発熱・風邪症状にて診察を希望される方が増えています。5類になって以降、検査を希望されない方も多くいらっしゃるので、確実なことは言えませんが、38度以上の発熱がある場合、コロナもしくはインフルエンザAに罹患している確率が高いような印象があります。また、37℃前半の発熱があり検査をした場合、インフルエンザはほぼ陰性ですが、コロナ陽性の患者さんはいます。
あくまで印象になりますが、コロナは37度前半の発熱でも否定はできない印象ですし、インフルエンザは多くのケースで、一度は38度台の発熱がある印象です。
過去にコロナに罹患したケースであっても、3ヶ月以上前の場合は、コロナの再罹患の可能性があると考えています。その理由は当院で複数回感染した患者さんで3ヶ月前に罹患したことのある患者さんがいるからです。
 
発熱、風邪症状があるけど、検査した方がいいかどうか迷っている場合はご相談ください。まずは電話をいただければ看護師が対応します。 検査の有無、検査するタイミングも含め、対応させていただきます。

最近の風邪の傾向と発熱の際の受診の仕方

最近、風邪患者さんがまた増えつつあります。傾向としては普通の風邪が最も多く、ついでインフルエンザ、そしてコロナ感染症の順番かと思います。ただ、皆さん、コロナが出始めてから、発熱があるとすぐに来院されることがあり、結果として、ウイルス量が少ない状態で検査をしてしまっていることがあげられるかもしれません。
インフルエンザは発熱48時間以内に2回までしか検査は認められていませんし、コロナの検査は基本1回となっています。
そのため、発熱後すぐに来院された場合、どちらも陰性であることがあります。しかし、その後、陽性になるケースも散見されます。そのため、発熱後12時間以上経過してからの検査がより正確なものが出ると考えています。朝8時から発熱している場合、多分、すぐにやっても出ないため、夕方まで待ってもらうこともあります。周囲にインフルエンザやコロナの方がいたり、濃厚接触である場合は陽性になることもあるので検査をしますが、周囲にインフルエンザもコロナ患者もいない場合は、発熱後すぐの検査では陰性になることが多いです。
そのため、まずは医療機関に電話をして指示を仰ぐことをお勧めしています。当院では朝の発熱は夕方に予約をしてもらい検査をすることが多くなります。前日夜寝るまでの間に発熱があった場合は、午前中に、その後であれば午後からの予約で来院してもらうことにしています。もしその間、発熱等で具合が悪い場合は、手持ちの解熱剤を使っていただいても構いません。
当院受診を希望される場合は、まずは電話にてご相談ください。 

コロナワクチン5回目

当院は1月からコロナワクチン接種(2価)を開始しますが、最近、患者さんから「5回目は打った方がいいのでしょうか?」という質問をよく受けます。そして「ワクチンはいつまで打ち続ければいいんでしょうか?」という質問もよく受けます。
 
まず5回目を接種した方がいいのかどうか?という点について言えば、リスクが高い人は接種した方がいいと僕は考えています。抗体価が下がってくると言われている以上、ある一定の間隔で接種をして抗体価をキープすることには意味があると考えます。また罹患時の症状についても、ワクチン接種を1回も受けていない人と、3回、4回と受けた人では、あくまで印象ですが、接種歴がある人の方が軽いように見受けられます。だったら5回目はいらないんじゃないか?という考え方もあるかもしれませんが、罹患時の症状については4回目接種後半年程度経過した時点ではという条件付きのため、今後さらに時間が経過しても4回目まで接種していれば大丈夫ですとは言えません。
ただ「もう打ちたくありません」という患者さんもいらっしゃいます。その際、無理に接種を勧めることはしていません。4回接種しているのであれば、重症化リスクが低いのであれば経過を見るという方法も否定はできないと考えます。そして、状況を見つつ、やはり打ちたいと考えた際に、接種をするという方針でもいいのかなとは思います。ただ「接種する」「接種しない」どちらの選択を取っても「自己責任」ということになります。あとは自己責任において、どうしたいかを選択してもらうほかありません。
 
また、いつまで撃ち続けなければならないのか?という質問については、使いやすく、かつ、効果がしっかりと期待できる薬ができればどこかの時点で予防接種は不要になるかもしれません。ただインフルエザンと同様に薬があっても、ある一定の間隔で予防接種をしていた方が安全ということもあり得るかもしれません。
そこについては、全くわかりません。ただ薬ができない限り、また、重症化リスクが高い人については予防接種はまだしばらく必要なのかもしれません。
 
あまり科学的データに基づいた内容ではありませんが、現状、当院ではこのような説明になっています。

コロナ感染症の後遺症 その3

コロナウイルス感染症後の後遺症で来院される方が増えています。一番多い症状は「咳・痰がつづく」というものが多いですが、そのほかに「喉の痛みが続く」という人もいらっしゃいます。また割と若い方で「頭痛が続く」「倦怠感が強い」という方がいます。若い人ほど、倦怠感が多いような印象を受けます。
咳・痰が続くという人の場合、、最長で3-4ヶ月続いていた方がいますが、その後改善しています。喉の痛みはもう少し短い期間で改善している傾向があります。
一方、頭痛・倦怠感・疲労感は、人によっては長く続いている印象があります。当院では全く動けないという患者さんは来ていませんが、具合が悪くなると動けない、いいときは少しは動けるけどという方が複数いました。
これから述べる症例は、たまたまうまく改善した症例であり、エビデンスは全くありません。そのため、全員にこれをやったらうまくいくというわけでもありません。もし可能なら、試してみる価値はあるかも程度の内容になります。
 

①体調のいい時はなるべく体を動かす
 

 疲労感や倦怠感が1日の中でも変動する患者さんにおいて割と有効に働く印象があります。ただ無理をしにない程度に動くということになります。無理をしてまで動いて効果があるのかどうかはわかりません。まずは少し疲れる程度まで歩くというのが改善の一歩担っている印象はあります。

 
②漢方薬等を使う
 
これもたまたまなのか、自然回復の経過にたまたま合致しただけなのか、正直わかりません。ただ漢方薬を使い、最初のすごい悪い状態が少し改善傾向になった場合、それがきっかけになるケースがあります。悪い状態から少しいい状態になることで気分的にも改善が得られるのかもしれません。
 
実はこの程度しかないのですが、傾向としては、良くなるような感じを受け始めると少しずつ改善していくような印象があります。ただ先ほども述べたように、寝たきりに近い状態の方を見ていません。そのため、重度の倦怠感、頭痛、疲労感の方にこれが通用するのかはわかりません。
 
倦怠感・疲労感・頭痛で困っている場合、まずはコロナを診断治療していただいた主治医に相談してみることをお勧めします。

むずむず足症候群(レストレスレッグス症候群)

少し前から夜足がムズムズして眠られないという訴えの患者さんがきています。本来、寒くなると減るのですが、今年はまだ出ています。
これは夜、布団やベッドに入って少しすると足がムズムズして足の置きどころがないような感じになり、眠られなかったり、寝ていても目が覚めたりします。睡眠の質が非常に低下する病気です。重症化すると昼間でもムズムズしたり、場合によっては、足だけではなく体全体がそのように感じてしまうこともあります。
調査では人口の2-4%程度というデータもあります。また、女性が1.5倍ほど多いと言われています。当院でも女性の患者さんが多いです。
 
年齢的には中年以降に多くなっています。当院では60-70歳代が一番多くいます。
 
原因としては、特発性といって原因がはっきりしないものが多くあります。そのほか二次性としては貧血、糖尿病、リウマチ、パーキンソン病、妊娠などがあります。
 
どうしてムズムズするかは脳の神経の異常が関係していると言われています。その中のドパミンが非常に関係が深いと言われています。そのドパミンを作る際に必要なのが鉄のため、貧血になると出やすいではないかと言われています。また、ドパミン等が関係する神経疾患についても同様に原因となり得ると考えられます。
 
また、遺伝もあると言われています。
 
治療としは貧血がある場合は、鉄の補充を行います。ただ、当院で見る限り、鉄が足りない症例は実は多くはありません。
ただ、どちらかというと、コーヒーやお茶を多飲する人が多く見られ、コーヒーをやめる、お茶とやめるだけでも、改善する人はいます。また、アルコールが悪さをするケースも見られます。そのため、症状がある場合は、まずはコーヒー、お茶、アルコール、タバコをやめてもらう事になります。そのほか、エナジードリンクもダメになります。
 
それらをしても改善しない場合は、内服薬の投与になります。
 
夜足がムズムズして眠られない、体がムズムズして眠られないという場合、まずはコーヒーやアルコール、タバコをやめてもらい、それでも改善しない場合は、一度、受診して、検査をすることをお勧めします。場合によっては、内服薬を処方する場合もあります。
 

コロナワクチン4回目とオミクロン対応ワクチンについて

コロナワクチン4回目も当院では終盤に差し掛かっています。そんな折、オミクロン対応のワクチンが出ることになり、患者さんから今のワクチンを待って、オミクロン対応ワクチンの方をした方がいいのか?という質問を受けます。
正直に言えばわかりませんとしか言えません。ただ、オミクロン対応ワクチンを打っても基本的には問題ないと考えていますが、副作用が前と同じなのかどうかはわかりません。なぜなら今までのワクチンはイスラエル等で多く使用され、副作用情報もある程度集まっていたワクチンになりますが、オミクロン対応ワクチンについては、そこまでのデータがありません。そのため、「本当に大丈夫なのか?」と聞かれた際には「大丈夫だと思います」としか答えられません。
また、現状のワクチンを4回接種してもオミクロンに全く効果がないわけではありません。そう考えると、個人的にはオミクロン対応ワクチンを待つよりは現状のワクチンをまずは接種して、その後、様子を見て接種可能になり次第、オミクロン対応ワクチンを接種するという方法もあり得ると考えています。
ただ基本的に認可されているワクチンですので、副反応を必要以上に怖がる必要はないと考えます。

「朝の熱中症について

今回も最近の治療というよりはお願いというレベルのお話になります。今年は梅雨明けも早く、暑い日が続いています。今日7月15日は大雨もあり、涼しいですが、それまではかなり暑い日が続きました。しもまち地区は海が近いこともあり、夜は涼しい風が吹くため、夜は窓を開けて寝ているという方も少なくないと思います。先日までの暑さでは、日中に建物自体が熱せられて熱を蓄え、風が吹いて体感気温は下がっても、建物の中に熱を放出してしまい実際の気温は下がらないケースもあるようです。
実際、朝起きてから具合が悪いと来院されるケースが散見されています。また、中には発熱して来院されてくるケースもあります。例年であれば、「熱中症ですね」といって点滴をしてあげられるのですが、今年はコロナが多くなってきていて、コロナと熱中症の見分けが正直つきません。そのため、患者さんから「コロナは大丈夫です」と言われても、「そうですか」というわけにはいきません。あくまで感染防止を最重要に考えて対応せざるを得ません。当院はリスクのある患者さんを別室で長く点滴ができる構造ではありません。そのため、コロナの検査をして、帰宅してもらわざるを得ず、あとは帰って水分をいっぱい摂取して休んでくださいという指示しかできません。一部の医療機関を除き、多くの医療機関で同様の対応ではないかと思います。そして僕自身、どこの医療機関であればコロナかもしれない患者さんに対応し、点滴までしてくれるかはわかりません。
そのため、今年の夏は、朝起きて活動するまでエアコンをつけ、26度〜27度、寒くてダメという声も聞きますので、高くても28度程度に設定し、寝てから起きて活動するまでつけ続けていただけると、朝起きた時点での熱中症は回避できる可能性が高いと考えています。
実際、当院の上にある老人ホームさんは全室エアコンが付いていて、介護士や看護師が温度調整をしています。そこの患者さんたちを診察して10年以上経ちますが、今まで朝起きて熱中症や脱水というケースはありません。平均年齢90歳を超える施設でもエアコンさえつけ、その中にいれば安全ということができます。
お年寄りで「エアコンは体に悪い」と考えている方が少なくありませんが、少なくとも、現在の日本における夏の暑さを考えると、エアコンの中にいないことの方が体に悪いと考えて間違い無いと思います。
コロナの兼ね合いもありますので、今年の夏は朝起きるまでは確実にエアコンを切らずにつけたまま寝てください。

親の認知症について

最近の治療という内容では今回はありません。
当院でも一人暮らしをしている高齢者の認知症が増えています。もしくは夫婦二人で暮らしていて、二人とも認知症が入ってきているというケースも見られています。お子さんが遠方に住んでいる場合もありますし、近くに住んでいる場合もあります。もちろん、お子さんがいらっしゃらないケースもあります。
当院かかりつけの患者さんでも、診察室の会話はほとんど認知症を感じないということがあります。実際、奥さんや旦那さんに言われて、検査をして気がつくというケースも存在します。その場その場の会話は全く問題ないというケースが多いのです。そして博学だったり、知的レベルが高い方の場合、本当にわからないケースがあります。実際、毎月ちゃんと薬がなくなる日に来院され、毎日ちゃんと薬は飲めていると話し、その場その場の会話はしっかりとしていて、認知症らしさは全く感じなかった人でも、実は薬がまったく飲めておらず、家に大量に薬があったというケースもありました。
80歳以上の親が一人で暮らしている場合、時々顔を見に行ったり、電話をしても、気がつかないケースは多分多いと思います。また、何か変かな?と思っても、昔からそういう感じはあったし・・・というケースも多いと思います。
親を見ていてもし「ちょっと変かな?」と思ったら、主治医に伝えてもらえると助かると思います。おかしいかも・・・と家族が感じれば、その後、認知症の簡易検査も可能です。
親の住んでいるところにいって、時々薬を見せてもらって「いつまでの薬が残っているの?」というチェクだけでも認知症の疑いを発見できる場合があります。もし2週間後の診察なのに2ヶ月も3ヶ月も余っていれば、認知症が始まっている可能性もあります。そういう場合も、可能なら、一緒についてきてもらって相談してもらえると非常に助かります。
親が80歳を超えたら、一度「認知症かも」という目で親の生活をチェックしてもらえると早期発見につながると思います。

コロナワクチン3回目の副反応 その3

コロナワクチン3回目がほぼ終了しています。途中よりファイザー製ワクチンが入手できなくなり、モデルナ製を使用しています。いずれも2回目まではファイザーを使っていました。
今回、当院にてファイザー・ファイザー・モデルナという組み合わせで予防接種を受けた患者さんの副反応少し調査しました。 
結果、38度以上の発熱が出た患者さんはいなくはありませんが、多くはありませんでした。概ね1割に満たない程度だと思います。多いのは、接種部位の疼痛と軽度〜中等度の倦怠感という感じでした。1割程度の患者さんは、全く何も症状がなかったという人もいます。
そして、これは3回ともファイザー製を接種した人たちと比べ大きな差はありませんでした。ただ接種した患者さんはファイザー製はより高齢者が多く、モデルナ製は若い人が多かったこともあり、高齢者にモデルナ製ワクチンを使った場合、また違った結果が出た可能性は否定はできません。
しかし現状、若い人であっても、大きな差は出ていません。
また、心筋炎についても胸痛を主訴に来院された患者さんが他院接種をしてきた人も含め数人きましたが、いずれも心筋炎を疑う所見はありませんでした。

コロナ感染症の後遺症その2

当院もコロナのPCR検査をしているため、感染し自宅療養解除後も具合が悪いという方が来院されるケースがあります。
ただ後遺症を訴えるケースは必ずしも多くはありません。実際、コロナに感染してもほとんど症状もなかったという患者さんもいますし、ちょっと熱がでて風邪症状があったけど、2-3日で改善したという方もいらっしゃいます。一方で、自宅療養を終えたけど、倦怠感が続く、咳が止まらない、なんとなく具合が悪い等の訴えで来院される方もいらっしゃいます。
他のウイルス感染後に倦怠感が続くというケースはありますし、咳が続くというケースもありますので、必ずしもコロナワクチンに特有というわけではないのかもしれません。
何れにせよ、上記のうような症状が長く続く場合は、一度相談いただけたらと思います。
あとは精神的な落ち込みを自覚される方もいらっしゃいます。心療内科等への相談も効果的かもしれません。内科で改善できない場合は、心療内科等へ紹介することも可能です。一人で落ち込まず、かかりつけに相談ください。

コロナワクチン3回目の副反応 その2

当院も3回目のワクチンを開始しています。3回目の予防接種は今の所ファイザーのみですが、副反応はやはり「局所の痛み」「発熱」「全身倦怠感」がメインのようです。発熱に伴う頭痛などもありますが、概ね、2回目と大きな差はありません。ただ接種当日ではなく、翌日、翌々日に発熱があるケースもあるようです。しかしながら、今のところ、把握できる範囲では、解熱鎮痛剤等で対応ができていますし、3日程度でほぼ皆さん、通常通りの生活ができています。高齢者や超高齢者の方も通常通り接種はできていますし、特段変わったことはありません。
 
今の所3回目の接種後に胸痛を訴えている人はいませんが、ファイザーであることが影響しているのかどうかはわかりません。また3回目の実施人数がまだ多くないことも影響しているかもしれません。また、2回目の接種後に不整脈等の訴えがありますが、基本、ワクチンで不整脈が惹起される可能性は低いと考えています。もし惹起されるとすれば、それは心筋炎等が影響しないと説明は難しいと考えています。ワクチン接種後に不整脈がでたとすれば、それは偶然、ワクチン接種時期と不整脈が重なった、もしくは「ストレス」で元々あった不整脈が顕在化したと考えるべきかなと思います。もちろん、心筋炎等が引き起こされれば不整脈が出る可能性はありますので、もしワクチン接種後に不整脈が出る場合は、一度循環器内科専門医を受診することをお勧めしています。
 
当院でもかかりつけの方で、数人の患者さんで「2回目接種後に皮疹が全身に出た」という方がいます。そのような場合は、接種を見合わせることも説明をしています。皮疹については完全否定ができないということもあります。どうしても接種を希望する場合は、皮膚科の医師に確認をしてもらったほうがいいと考えています。もし皮疹が出た場合は、スマホ等で写真を撮っておくと、医師の診断がより受けやすいと考えます。
 
当院に相談に来る患者さんには、基本3回目のワクチンはお勧めをしています。ただ、今後新潟市はファイザーワクチンがほとんど手に入らなくなるため、モデルなに切り替わります。切り替わったのち、副作用がどうなるかはまだ経験していないので、今後、さらに情報があれば、また報告したいと考えています。

コロナウイルス(オミクロン株)の特徴

コロナウイルスが新潟市内も蔓延しています。オミクロン株の特徴としてデルタ株とは違うところを少し述べてみたいと思います。
ニュースでも出ていると思いますが、症状は圧倒的に軽いようです。ただ若い人の感染者が圧倒的に多いため、今後、持病のある高齢者が感染した場合、本当に軽症で終わるのかどうかはわかりません。
また、クラスターの発生が多い印象があります。職場、飲食店、学校、家庭等、今までより感染力が強くなったことに伴い、集団感染が増えているように感じます。ただし、家庭内でも一人感染したら全員がなっているのか?と言われると必ずしもそうとも限らないです。デルタ株では5人家族で一人感染し、家庭内感染でもう一人感染者が出ていたものが、もう二人出ているという感じです。
感染力が強くなったことで、昼食や喫煙所などでの接触で感染が増えている印象があります。そしてマスクが十分にできない職場や学校でも増えている印象があります。
あと、感染から発症までの期間も短い印象があります。以前はデルタ株の時は4-5日経過してから症状が出ていた印象がありますが、今は1-2日で症状が出ている人もいます。発熱に関しては感染後2~3日で出る人が多い印象です。
もしコロナ感染者と接触をしてしまい、心配な場合、まずは3日間は自宅で経過をみてもらった方がいいと思います。その上で、その間に症状があればそのまま医療機関でPCRを受けて確定診断をしてもらう方がいいと思いますし、無症状であれば無料のPCRセンター等でPCRを受け、陰性を確認した方が安全だと考えます。新潟の無料PCRセンターもありますが、若干混んで時間がかかるようです。もし費用がかかっても早く知りたいという場合は、当院でPCRも可能です。

コロナワクチン3回目の副反応

当院でもスタッフの3回目のワクチンを開始し、来月からは患者さんの3回目のワクチン接種を開始します。それに伴い、3回目のワクチンの副作用についてわかる範囲で述べてみたいと思います。
データ上は、2回目と3回目はあまり大きな変化はないようです。リンパ節腫脹ならびに疼痛は2回目からも見られた患者さんはいますし、それについても大きな発生率に変化はないようです。ただ、3回目の副反応が1,2回目より強いという報告もあるようです。実際、僕自身も接種していますが、腕の痛みは3回目が一番痛い感じがしますが、鎮痛剤でコントロールできる程度の痛みになっています。
また厚生労働省の専門家部会では、2回目から9ヶ月後に接種をした医療従事者では、37.5度以上の発熱があった人は40%と報告されています。そのため、3回目接種時に発熱を伴う可能性は40%程度はあると思いますが、いずれも解熱剤で対応可能です。
現状、3回目の副反応に対して過剰に反応する必要はないと考えています。オミクロン株は軽症者が多いのは事実のようですが、一方で、高齢者でかつ持病のある人について、日本ではまだデータが不足していると考えます。現状、リスクベネフィットを考えると、高齢者の持病のある方は接種をした方が安全であろうと考えます。

食事をとると動悸がする

時々、食事をとると動悸がする、不整脈が出るという方がいます。実際、当院にも食事をとると不整脈がでるといって来院され、実際に食事をすると発作性上室性頻拍が認められた患者さんがいます。そして冷たい水を飲むと止まることがあると言っていました。
不整脈が出る原因としては、食道を食べ物が通る際の物理的刺激の可能性もありますし、自律神経の問題で起こる可能性もあります。
発作性上室性頻拍の患者さんでは、抗不整脈等を用いて治療をして発作が一切出なくなっています。しかし、場合によってはアブレーション等を病院でしてもらうこともあり得ます。
もし食事を取った際に、動悸・不整脈を自覚する場合、相談いただけたらと思います。

コロナワクチン3回目

ニュースでもコロナワクチン3回目が話題に出る日がありますが、患者さんからも3回目についての相談を受けます。最初は「おかむら内科下町クリニックでも3回目をやりますか?」という相談ですが、当院でコロナワクチン接種をした患者さんについては、当院で責任を持って3回目の接種を行います。そのため、3回目を違うところで接種する必要はありません。
あと3回目必要ですか?という質問も受けますが、こればかりは正直、なんとも言えないと思います。ただ、欧米でまたコロナの流行があること、ファイザーが出しているデータ上ですが、ファイザー製ワクチンを3回目接種すると中和抗体が高齢者で11倍以上に上がることが示されています。またイスラエルのデータですが、3回目の接種をした場合、接種していない人との比較では11.3倍感染予防効果があり、約20倍重症化を防いだとのデータもあります。
これらを勘案すると、個人的には高齢者はやはり3回目の接種をした方がいいと判断します。
そして、ファイザー製ですが、副反応は2回目と3回目では大きな差はありません。ただ2回目に強い副反応が出た人はやはり次も出る可能性はあると考えられます。若い人はどうなんでしょうか?という質問を受けたり、2回目の副反応が強かったので、3回目受けなくてもいいですよね?という質問をもらうこともありますが、そこに関してはデータ上、なんとも言えません。ただ、今後、海外が旅行者、ビジネスマン、留学生などの受け入れが始まった場合は、ワクチン接種済み証明書を要求されると考えられますので、もし自分がそれらに該当すると考えられる場合は、3回目の接種も通常通り受けておいた方が安全かもしれません。

apple watch等による不整脈検出

最近になり、アップルウォッチやその他ウェアラブル端末にて様々な情報が得られるようになっています。中にはそれで異常があり来院されるケースもあります。その情報により診断が確定するケースも存在します。発作性心房細動などはもっとも診断に有効な手段となりえます。発作が出ていない時は診断ができないからです。そのほか酸素飽和度(SpO2)は夜間つけて寝てもらい、記録できるデバイスでは夜間のSPO2の低下が認められ、睡眠時無呼吸が疑われるケースもあります。もしそれらのデバイスをお持ちで、何かしら心配される事象がある場合(不整脈、夜間のSPO2の低下等)、遠慮なく相談ください。時々、こういう端末は信用できないですよね?という方もいらっしゃいますが、記録次第だと思っています。何かしらの異常がある場合、不安がある場合は遠慮なく診察に来てください。その際、記録も一緒に見せていただけたらと思います。

コロナワクチン接種後の胸痛とその原因

コロナワクチン接種後に胸痛で来院される患者さんがいますということは以前書きましたが、その後もやはり来られています。ただ、現時点では心電図、心臓超音波検査にて、心筋炎、心外膜炎と診断した人は一人もいません。一人だけ心電図は一応正常範囲内ですが、胸痛があると言われると、絶対に大丈夫とは言えずに採血を追加した人がいましたが、その方も異常はありませんでした。
ただ、そのように伝えると「痛い原因はなんですかね?」と質問されます。実はこれが一番難しく、正直、原因はわかりませんとしか答えようがないことがあります。ただ可能性としては、胃の痛みを脳が心臓が痛いと誤認している可能性はあると思います。ワクチンによるストレスにより痛みが出ている可能性はあり得ると思います。ただし、それであれば、当院受診後も痛みが続いても良さそうなものですが、今のところ、再診をしている人はいません。診察終わりに、「もし痛みが続くようなら、再度受診してください」と伝えていますが、誰も今の所は再診はありません。多くの方が診察終了後に「大丈夫。なんともないですよって言われたら安心しました」といって帰って行かれています。
そのことからすると、精神的なものから痛みがきている可能性も否定はできないと考えます。精神的なものとして「うつ病」が挙げられますが、うつ病でも体の痛みを訴えることがありますが、まだ確定した原因はわかっていません。セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン等の神経伝達物質の減少や働きの低下で出るのではないか?と言われています。もしかしたらこの辺りが関係している可能性はありますが、これのみで説明できるかはわかりません。心電図、心臓超音波では判断できないレベルでの変化が起きていて、それが2-3日で治るレベルのものであった場合、検査では異常がないと言われ、その後帰って安心したら自然に治癒している等可能性も否定はできません。
そのため、コロナワクチン後に起こる胸痛の原因はこれです!と言って断言することはできませんが、一方で、心外膜炎や心筋炎といったものを否定することは重要であると考えます。

コロナワクチンと内服薬の関係

こういう内服薬を飲んでいますが、ワクチンは可能でしょうか?という質問を受ける場合があります。ノルバスク等の降圧剤やクレストール等のコレステロールの薬は大勢飲んでいますので、当然、同様の質問が増えます。
結論から言うと、現時点で、この薬を飲んでいるからワクチンは受けられないということはないと考えています。少なくとも、一般に処方されている降圧剤は当院でも多く使っていますが、ワクチン接種ができないことはなく、また、接種後にアナフィラキシーショックなどの大きな副反応が出たことはありません。高脂血症の薬も同様ですし、他の薬についても同様です。つまり、内服している薬を見て、ワクチン接種ができませんという返事をしたことはありません。
また、質問が多いのがデパス(エチゾラム)ですが、安定剤を飲んでいるから接種ができないケースもありませんし、ワクチン接種後に強い副反応が出たケースもありません。
内服薬によるワクチン接種の制限は現時点ではほぼないと考えています。もし気になる場合は、担当医に相談してください。基本は大丈夫だと思います。

心臓の持病があってもコロナワクチン接種は可能か?

 当院ではHPを自己管理しているため、当院のHPを見にこられた方の検索キーワードを確認できるのですが、その中で一番多いのは、コロナワクチン後の心臓の不調系のキーワードですが、次に多いのが、心臓に持病(心筋梗塞・不整脈等)があってもワクチンは可能か?ということでした。
このことについて述べたいと思います。
まず、不整脈がある方で、ワクチン接種ができないということはまずないと考えています。これは抗凝固療法をしている(ワーファリン等の血をサラサラにする薬)方であっても、全く問題なく接種は可能です。当院では、心房細動、心室性期外収縮、心房性期外収縮、発作性上室頻拍、持続性心室頻拍、心室細動後(除細動器植え込み済み)等、様々な患者さんがいますが、個人的にワクチン接種ができない理由はないと考えていますので、聞かれた場合は全員に接種可能ですと答えています。そしてほぼ全員に接種をしましたが、今のところ問題が起きたことはありません。そして、接種後に不整脈の症状が悪化した人もいません。
なぜ接種をしているかといえば、重症な不整脈があるほど、コロナに罹患した際のリスクが高いと考えているからです。特に心筋症がベースにある致死性不整脈(持続性心室頻拍、心室細動等)を持つ人ほど、接種をした方がいいと考えています。
不整脈があるから、心臓に持病があるから、接種後の心外膜炎・心筋炎になりやすいというデータは今の所ありません。そして、罹患して重症肺炎になった場合に、不整脈が頻発するような状況の方がはるかにリスクが高いと考えますので、接種を勧めていました。
また、心筋梗塞後で心機能が低下している人、弁膜症がある人、心筋症がある人なども当院にはいますが、全員に接種を勧めていました。その理由は先ほど述べた通り、コロナに罹患して重症化した場合によりリスクが高いと考えるからです。ワクチン接種後の心外膜炎、心筋炎で死亡例はありませんので、ある程度、管理は可能であろうと考えていますが、コロナに罹患して重症化した場合には、心機能が低下しているということは、肺炎のみならず、心不全も併発しやすい状況になり、体外循環もより大変なVAECMOが必要になります。そのため、死亡リスクも上がると考えています。
そのような理由から、不整脈があったり、心臓自体の機能が低下している場合は重症化を防ぐという点において、積極的に接種を勧めています。

胸の痛みについて

 ワクチン接種後に胸痛、胸部の違和感等を訴えてこられる患者さんが増えていますが、ワクチン接種をしていなくても、胸痛、胸部の違和感にて来院される患者さんも増えています。
通常、春になると胸痛、胸部の違和感を訴えて来院される患者さんは増える印象があるのですが、今年は秋にも同じ傾向が見られています。
明らかに痛いというよりは違和感〜痛みの間くらいの方が多いです。中には本当に狭心症の方もいらっしゃるので、精査は必要になりますが、痛みがでる状況、時間帯、痛み方等から専門医であればある程度、狭心症、心筋梗塞、心外膜炎等の除外が可能です。
 
当院も心臓が専門ですので、同様の訴えで来られる方はいますが、本当に心臓の病気が原因というケースは必ずしも多くはありません。胸痛の訴えが出る疾患はいくつかあります。
若い痩せた男性の場合は、「気胸」の可能性の方が高いかもしれません。 肺に穴が開く病気です。胸部X線にてある程度診断が可能です。当院でも2-3年に1人程度は「胸痛」を主訴に来院されます。気胸の場合は、病院に入院をお願いすることが多くなります。
 
他には食道・胃の疾患の方もいらっしゃいます。心臓が痛い!と訴え、他院で調べてもらったけど、心臓はどこも悪くないと言われたけど、痛いのは胸だ!といって来院されるケースもあり、確かにどれを調べても異常はないというケースでは食道・胃の疾患が原因というケースは多くあります。実際、当院では、胸が痛いと言ってきたケースで異常が全く見つからない場合、胃薬を試すケースもあります。そして、それにより胸痛が消失するケースは少なくありません。ストレスが多かったり辛いものが好きだったりするケースで、胃酸が多く出すぎているケースがあります。
 
ただ、僕が試しに胃薬を試しましょうというと、「痛いのは胸なんです!」って訴えられる患者さんがいるのは事実なのですが、急性心筋梗塞という心臓にある冠動脈という心臓に酸素や栄養を送っている血管がつまり、心臓の筋肉に酸素が届かず心臓に痛みが出ているケースであっても、胸が痛いと言わずに、「左腕が痛いです」「左の歯が痛いです」「左の肩・首が痛いです」等の訴えで来院される場合もあり、心臓の血管が詰まって痛いのは確実に心臓だけど、でも、脳が痛みを感じているのは「左手」ということもあります。これらを考えると、胸が痛いと思っていても、実は胃が痛いということもあり得るということです。
 
そして同意をいただいて胃薬を飲むと、7割くらいの患者さんで改善が得られる印象があります。ただ1回飲んだだけでは改善があまりわからず、2週間くらい内服をしてもらい評価することが多いです。3日くらいではあまり効果がないと言って再度来院されるケースがありますが、2週間程度使ってもらうと「やっぱり違います」となることが多いため、2週間程度は使用をしてもらいます。
 
となると残りの3割くらいは何が原因なのか?ということになります。
あとは大動脈の疾患であったり、肺の疾患であることはありますが、通常、高血圧、高脂血症、あとはタバコ等の原因となり得る何か別の疾患が並存します。あと高齢者では肺炎、肺がんによる胸痛で来院されるケースもありました。
 
一方で、若い人のケースでは、心臓は一切異常はなく、肺の疾患もなく、持病もなく、痛みの原因となり得るものはないというケースでは、胃薬で軽快するケースが多いように感じています。ただそれでも改善しないというケースは存在しますが、通常、一つの疾患では説明できないような症状を訴えるケースがそれに該当します。
その場合、もっと全身的な疾患を考えるケースもあります。その中で多いのは自律神経失調症といわれるものが挙げられます。個人的には、胸が痛いと感じたら、まずは循環器内科で診察を受け、そこで「異常はない」と言われたら、まずは一安心をしていただき、その上で、もし近くに総合診療科があれば、受診することをお勧めしています。場合によっては、精神科(心療内科)への受診を勧めることもありますが、他の内科的疾患の除外等も含め、総合診療科での診察を勧めて紹介をしています。
時々、自分はそんな病気じゃないといわれる方もいらっしゃいますが、診断はリスクの高い疾患ならびに可能性の高い疾患から除外をしていくのが通常の治療になるので、胸が痛い、苦しいことに固執せずに心臓が悪くなくても心臓が痛いと感じることはあるのかと考え、心臓の病気が除外された時点で、総合診療科等の受診も検討した方がいいと考えています。 

コロナワクチン接種後の動悸(不整脈)について

先日、コロナワクチン接種後の胸痛について述べましたが、ワクチン接種後の動悸(不整脈)を主訴に受診されるケースもあります。ワクチンを接種した後に動悸を自覚するという感じで来院されるケース、また、実際に自分で脈をとると脈が飛ぶというケースもあります。接種翌日〜数日後に症状がでて来院するという方が多いです。
 
動悸感として来院されるケースでは、不整脈が出ているケースは多くはありません。どちらかというと洞頻脈(単純に脈が速い)というケースが多い印象を持っています。全員がそうというわけではありませんが、診察時にも動悸がしますといって脈を取っても不整脈が出ていないケースは多いです。
この場合、まずは心電図をチェックします。前回述べた、心外膜炎や心筋炎を疑う所見があるかどうかを評価するためです。通常、胸痛を伴うケースが多いのですが、胸痛をほぼ伴わずに、不整脈がメインの心筋炎もあり得るためです。また、心電図に異常がないから、絶対に大丈夫とは言えないため、その後、心エコーにて評価をするケースが多いです。
その上で、何もない場合であれば、あまり心配をすることはないと判断します。
今の所、動悸感で来院されるケースでは、脈拍以外に心臓に異常があったケースはありませんが、脈拍数が120-130回/分くらいの患者さんも存在はしているため、動悸感がとても辛い場合はβブロッカーを内服してもらい、経過を見ると楽になるケースがあります。
また甲状腺機能亢進症を疑うケースでは、甲状腺機能を採血にて評価するケースもあります。
 
一方、脈が飛ぶ等の不整脈の場合、考えられることとしては、もともと不整脈があったが、ワクチン接種により悪化したケース、もしくはもともとあったけど、気にならなかった(あまり気にならなかった)が、ニュース等で情報を得た結果、脈が飛ぶことが気になり始めたというケースと、もともと不整脈がなかったのに接種後に発生したケースです。
 
いずれのケースでもまずは心電図を行い、異常がないかどうかを評価します。その上で心エコーをして評価をします。不整脈が実際にあるケースでも、不整脈は出ているけど、さほど重篤な不整脈ではなく、かつ、心エコーで異常がない場合、経過を見ましょうというケースが多くなります。特にもともと不整脈があったというケースでは、あまり心配ないケースが多い印象です。また、ワクチン接種後に初めて脈が飛ぶというケースでも、大きな問題があるケースは今の所ありません。脈が飛ぶという不整脈の場合、基本、危ない不整脈の可能性は高くはなく、また心エコーで異常がない場合はほぼ、無治療でも予後は変わらないというデータがあるからです。
場合によっては、こちらのβブロッカーを内服してもらう場合はあります。
 
今の所、当院に来院される患者さんで危ない不整脈が出たり、エコーで心筋炎を疑うようなケースは認められていません。
ただし心エコーは大きな異常はないけど、不整脈はしっかりと出ているというケースがあれば、場合によっては、採血により心筋炎を否定すること、また、ホルター心電図で24時間の不整脈をチェックする場合もあります。これらの検査をするかどうかは、様々な結果を勘案して決定します。得られる結果から緊急度を判断し、採血等をして翌日再診をしてもらうケースもあります。
 
ただし、ワクチン接種後としては非常にレアケースではありますが、心筋炎や心外膜炎を疑う場合は全く違います。それらを疑った場合はすぐに、より大きな病院へ検査依頼をすることになります。場合によっては、即入院となるケースもあります。例えば心室性期外収縮が多発したり、さらに危ない不整脈が出ている場合で、心筋炎が疑われるケースでは、ICU(CCU)を持つ入院管理ができる病院へ依頼することになる可能性が高いです。
 
これらの判断は循環器専門医を持つDrであれば、判断は可能だと思います。
ワクチン接種後に動悸を自覚する、脈が飛ぶのを自覚する場合は、かかりつけ医を受診するか、循環器専門医を受診ください。動悸後に意識がなくなるなどが一回でもあれば、すぐに循環器専門医を受診し検査を受けることをお勧めします。

コロナワクチン接種後の胸痛について

コロナワクチンの副作用のところでの述べましたが、最近、コロナワクチン接種後に胸痛を自覚されて来院される方が増えています。当初若い人が多かった印象ですが、最近は年齢問わず、幅広い年齢層の方が来院されています。胸痛の人もいますが、心筋梗塞のときのような左側の顎や腕の痛みという形で来院される方もいます。
ワクチン接種後、2−5日くらいして胸痛を自覚されて来院される方が多い印象です。
当院では、ワクチン接種後の胸痛で来院された際には、心電図、心エコー(心臓超音波検査)でチェックをします。そして異常がある場合は、さらい採血等にて評価をします。今の所、心外膜炎、心筋炎を疑う患者さんはいませんが、ワクチン接種後に胸痛、胸部違和感等ある場合は主治医に相談されるか、専門医を受診し心臓を評価してもらうこととお勧めします。

コロナ感染症の後遺症について

当院にも時々、コロナ感染症に罹患後の後遺症について相談を受けるケースがあります。全身倦怠感の持続、味覚嗅覚がまだおかしい、強くはないけど頭痛が取れない、等があります。味覚嗅覚障害等はまだなぜ起こるのかはっきりとした結論は出ていないようですし、そのほかの症状についても、これで治りますという治療方法は確立されていません。そのため無治療で経過観察のケースもありまし、漢方薬や鎮痛剤等を使いながら経過を見るケースもあります。無治療でも時間の経過とともに改善する傾向にあるため、漢方薬が効いているのかどうかを判断することは難しいですが、当院に受診された方はある程度日常生活に支障をきたさない程度には改善が得られているようです。
もしコロナ感染症に罹患し、後遺症が出ていて心配な場合は、かかりつけ医に相談することをお勧めします。患者さんの中には、症状が改善や治癒までの一般的な期間(2-4週間)がわかるだけで安心される方もいらっしゃいます。
 
コロナ感染後の後遺症はデータ上はかなり多くあります。まずはかかりつけ医や主治医に相談してください。当院ではまだいませんが、味覚嗅覚が完全にない場合は、耳鼻科へ紹介することになるかと思います。

心室性期外収縮について

検診等で心室性期外収縮を指摘され来院される患者さんがいらっしゃいます。その際、薬は飲まなくてもいいですか?という質問を受けることが度々あります。これは人によって変わりますという説明をしていますが、例えば若い人で、心臓超音波検査にて心臓に異常がない場合、治療は不要なケースが多くなります。心室性期外収縮が出ていて、心臓に異常がない場合は、予後は良いとされているためです。ただし、1日10万回、心臓が拍動しますが、そのうち2万発、3万発となってくると、ちょっと注意をすることはあります。というのは、今現在心臓の機能が保たれていても、今後悪化する可能性があるからです。ただし、この状態でも、全く症状がなく、心臓の機能が問題がない場合、経過観察とするケースもあります。ただし、同じ形の心室性期外収縮が同じタイミングで出ているケースではということになります。様々な形の心室性期外収縮(心室性期外収縮を起こす場所が複数ある)の場合は、薬も検討するケースもあります。
判断はホルター心電図等で評価をして判断します。そのため、一概に、1日に1万回以上、心室性期外収縮が出ているから薬を使用しますという数でのみ判断にはなりません。
また、自覚症状の強さも薬を使うかどうかの判断になるケースもあります。心室性期外収縮の数自体は少ないけど、まとまって出ているととても辛い、仕事ができないくらい辛いというケースもあります。その場合は、薬を使うケースもあります。このように症状があれば、心室性期外収縮の数が少なくても薬を使う場合もあります。
 
ちなみに、心筋梗塞をしている、心筋症があるなどの器質的心疾患がある場合は、判断が変わります。大まかに言って、10発に1発程度(1日1万発程度)の不整脈が認められている場合は、治療を考慮し始めます。もちろん、症状がある場合は、これ以下でも治療を検討します。
 
あとは、心機能が低下している症例では、治療を行います。この場合は、放置しておくとさらに心機能が低下してしまい、その後、心不全を発症してしまうためです。
 
このように心室性期外収縮と数という括りだけで内服開始の判断はできません。様々な要素を加味して判断しています。
 
もし自分は治療がいらないのか?と思うことがあれば、循環器専門医を受診してください。

コロナワクチンの副作用について2

前回もコロナワクチンの副作用について述べましあが、接種も高齢者の2回目が終盤になってきています。そんな中、ワクチン接種後の診察で、ワクチンの副作用の有無について聞いていますが調べる限り、内服薬や疾患で副作用に傾向があるようには見えません。
あえて言えば、接種前から心配が強かった人ほど、副作用が出ているという印象はあります。プラセボ効果の部分もあるのかもしれません。ただ必ずしも全員がそうなるわけでもありませんし、最初から心配していなかった人でも熱が出る人はいます。
 
前回も述べましたが、多いのは発熱です。高齢者においては、10%程度だと思います。
 
あと他にあるのは、帯状疱疹の再発、頸部〜腋窩のリンパ節腫脹が複数いました。
耳下腺の腫脹もいました。帯状疱疹は抗ウイルス薬で治療し、全例軽快していますし、リンパ節主張や耳下腺腫脹も解熱鎮痛剤で数日で軽快しています。
今の所、長く続く副作用は認められていません。

コロナワクチンの副作用について

当院にてコロナワクチン接種を行なっていますが、副作用と思われるものがいくつか見られています。一番多いのは接種部位の痛みです。これは半数以上に見られています。多くが1回目は1日程度、2回目は3日程度続くことが多いようです。しかし、いずれも自然に改善しています。また痛み止めを飲めば日常生活に支障をきたすことはないようです。
次に多いのは発熱・頭痛です。これも65歳以上という限定はされますが、10〜20%程度に見られています。しかし、こちらもいずれも解熱剤で改善が得られています。入院を要するような状態の人は一人もいません。
そのほか、見られているのは、関節痛、腹痛、嘔気、下痢などが見られています。これらも2 〜3日で自然軽快しているようです。
 
また、接種後に胸痛を自覚される方もいらっしゃいます。当院に来られた患者さんは他院や病院で接種を受けた40歳前後程度の男女が来られています。男性の方が若干多い感じはします。ただし、心電図、エコー、採血をしても明らかな異常は認められていません。当院受診の患者さんにおいては、検査でも心外膜炎や心筋炎は否定的であると考えられますが、ニュースで心外膜炎や心筋炎の副作用が報告されています。稀な副作用であるとは書いてありますが、ゼロではないようです。接種後に胸痛を自覚された場合は、循環器専門医を受診し、心電図、エコー、採血等で評価をしてもらうことをお勧めします。

コロナワクチンについて

患者さんからワクチンは海外製しかないので、国産がでたら接種しますと言われることがあります。当院でも数人の患者さんがこのようなことをおっしゃっています。それはそれでいいと思いますが、ただ、少なくとも国産ワクチンは安全で海外製が危ないというデータはありません。というか、海外製の方がデータが豊富な分だけ、起こり得るリスクについては、対処がしやすいと考えています。
 
国産ワクチンを見てみると、ウイルスベクターワクチンはアイロムグループ子会社が製作しています。これは海外でも作られていて、J&Jなどのワクチンに該当します。違うのは使っているウイルスです。ただし、これもスパイクタンパクの遺伝子を組み込んだワクチンになります。なので、海外製(J&J)等と同じ部類に入りますので、国産は安全、海外は危険が成立するかどうかはわかりません。手法は一緒です。
 
次にmRNAワクチンになります。
これは現在主流で使われているワクチンになります。mRNAを体に入れて、細胞に取り込まれ、そこから液性免疫が誘導されます。また細胞性免疫も誘導されるとされています。
これはファイザー製・モデルナ製が日本で接種されています。日本では第一三共が作っていますが、結局は同じ手法なので、日本製は安全で海外製が危険という理屈は成り立たないように思います。
 
組換えタンパク質ワクチンというものもあります。これはウイルスの構成成分を昆虫細胞や植物、哺乳動物などから作りますが、アメリカのノババックス、中国のメーカー、日本では、塩野義製薬が開発をしています。これもやはり、同じ手法なので、海外が危険で日本製は安全という理屈が成り立つのかは不明です。
 
そのほか、他にも子宮頸がんワクチンにも使われている手法で作られるワクチンもあり、田辺三菱製薬の子会社が開発中です。
 
また、不活化ワクチンも開発をしていて、中国、インドの企業を中心に開発がされ、明治ホールディーング傘下の会社が開発を進めています。
 
あえて言えば、最後の不活化ワクチンはインフルエンザワクチン等でも使われている手法であり、安全性は一番高いのかもしれません。そのため、海外製が心配で・・・となると、不活化ワクチンが出るまで待つほかないと思われます。
個人的にはどのワクチンも将来の安全性を担保できているものはありません。そんな中で、不活化ワクチンは今までの実績を考えると、安全性は高いのかもしれませんが、欠点はウイルスを培養する必要があるため、かなり大変であり、大量に出回るにはかなり時間がかかるかもしれません。
また、当院でそれらを扱えるのかどうかもわかりませんので、現時点で、不活化ワクチンが出たら接種をしてくださいと言われても、お受けできるかどうかはわかりません。

コロナワクチン接種について

患者さんから「心臓が悪いけど、ワクチン打っても大丈夫でしょうか?」「ワクチン打って死んだ人が85人とか出ていますが大丈夫でしょうか?」という質問を受けます。
最初の質問については、「心臓が悪いからこそ、接種した方が良い」と説明しています。特に当院の場合、心臓疾患が多いことから、接種を勧めています。基本的に心臓疾患があり、重症化して人工呼吸器、ECMO等を使用した場合は、何も心臓疾患がない場合に比べてリスクは高くなるだろうと思います。
 
一方、今ニュースにもなっていますが、ワクチン接種後死亡が約90人ほど報告されています。データを見る限り、割と高齢者が多いことは言えます。確かに20歳代〜50歳代もいますが、80歳以上が約半数を占め、最高齢は102歳になっています。高齢者への接種が始まっており、数が増えたものと考えます。ちなみに接種後ではありますが、老衰と死因がなされている症例もあります。因果関係はないとされています。
今出ている症例を見る限り、因果関係が証明されたものはありません。
しかし、患者さんに「死んだり、副作用は大丈夫ですか?」と聞かれると、「疼痛、発熱、だるさ、頭痛等は起こりますが、基本内服でコントロールできるレベルと考えます。しかし死亡については絶対に大丈夫とは言えませんが、基本的には大丈夫だと考えています」と答えています。
その理由として、突然死自体が決して少なくないからです。日本では年間約8万人が心臓突然死でなくなっているというデータがあります。1日約200人に相当します。
また、脳卒中による死亡は、年間13万人程度というデータがあります。1日320人以上に相当します。そのうち、脳梗塞が半分を占めますが、脳出血、くも膜下出血で約半分を占めますので、単純に考えると160人程度が1日発生しています。
 
これらを考えると、ワクチンとの因果関係を証明することは難しいと考えられます。しかし、20〜30歳代で4人、40歳代も5人います。その人たちが一切ワクチンが関係ないかと言われると僕はわかりませんとしか答えられません。そのため、絶対に大丈夫とは言えないけど、基本的には大丈夫だと考えますという説明になります。
 
僕自身も接種しています。これは基本的には大丈夫と考えているからです。そして、風邪をひいた患者さんの診察もするので、感染リスク>>>>ワクチンリスクと考えて接種をしています。
 
あと一点、特に心臓疾患のある患者さんが多い当院では、βブロッカーを内服している患者さんはなるべく当院にて接種を勧めています。βブロッカーを内服している場合、アナフィラキシーショックのリスクが高いというデータがあり、また、アドレナリン製剤が効きにくくなります。特に当院の場合、βブロッカーを最大容量まで導入している患者さんも少なくないため、アナフィラキシーショックが起こった場合、βブロッカーを最大量内服していることを理解した上で、対応ができるため、なるべく当院での接種を勧めています。アナフィラキシーショックが起こった場合、アドレナリンが効きにくく、通常量のアドレナリン製剤では足りないと言われています。通常量の3-5倍程度必要というデータもありますので、注意が必要だと考えています。
メインテート、テノーミン、セロケン、インデラル、アーチスト等を飲んでいる患者さんでは、循環器内科かかりつけの場合は、かかりつけ医での接種が可能なら、少し待ってもかかりつけ医で接種を受けることをお勧めしています(大規模センターにもアドレナリン製剤は用意されていますので、基本的な対応は可能だろうと思います)。βブロッカーを内服していない場合は、大規模センターでも問題ないと考えます

CTについて

患者さんから「知り合いが癌になって心配だから全身のCTを撮ってもらいたい。病院に紹介してほしい」という依頼がありました。確かに、CTにてある程度評価はできるかもしれませんが、特に何も症状がなく、心配だからという理由でCTを受ける際、一番の問題は「被爆」です。CTは被爆するため、簡単に「じゃあ紹介しますね」ということにはなりません。一般論ということになりますが、胸部Xpを1回受けた場合、人間が1年間に浴びる自然放射線量(2.4mSv)の1/40程度と言われています。つまり約1週間分の被曝量となります。この程度の場合であれば、年に1回、胸部のX線検査を受けてもリスクがすごく上がるということはあまりないと考えられます。
一方、患者さんから依頼のあったCTについては全く違う数値が出てきます。年間2.4mSvの被曝量と先に述べましたが、CTは約7.0mSvです。最近のCTは様々な機構を持っているため、極力、被ばく量は少なくはなるように調整しますが、それでも年間被曝量の3年分を一回のCTで被曝することになります。果たして、何も症状がないけど、心配だという理由で7.0mSvの被曝を許容するかどうかということが問題になります。
医療者の被曝量は1年間50mSvかつ5年間100mSvという基準があるので、病気がある場合のCTは診断・治療評価をしっかりすることによるメリットが被曝のリスクを上回ると考えますが、一方で、症状がなく、血液データにも何も出ていないのに「心配だ」という理由でのCTはほぼ害しかないと考えています。ただ正直、病院も何もないのに心配という患者さんにCTを行うことはほぼないと思いますが、CTは被曝リスクが付きまとうため、心配だからCTというのはお勧めできないという結論になります。
何か病気を疑ってCTを施行するのは意味がありますが、ルーチーンのようなCTは正直、害の方が大きいと思います。癌術後や化学療法・放射線治療後の場合はメリットが上回ると考えますが、そういう疾患がないのにCTをというのは個人的にはやめたほうがいいと考えており、どうしても心配なら、まずは健康診断で採血等を受けて、異常があるかどうかを判断したのち、さらに必要な場合には、CTを検討するという方法をお勧めしています。
あと、CTより超音波の方がわかるケースもありますので、何が何でもCTをというのはお勧めできません。

安いコロナPCR検査について

最近、コロナのPCR検査について民間PCRセンターとして2000~3000円で検査をしてくれるところが増えています。これについて時々、質問を受けるので、個人的な見解を述べたいと思います。
この検査方法自体は悪いことではないと思っています。ただ、20検体、30検体を1度に検査をすることになりますので、感度は落ちると言われています。昔、献血された血液の中のウイルスを調べる際、この方法を用いて検査が行われました。当時は500検体をまとめていました。ただし、500人分を使うと1人あたりが希釈されるため、感度が落ちます。その後、50検体、20検体、そして現在は1検体ごとに検査がなされています。20検体でもウイルスのすり抜ける事があったことが理由です。
コロナの検査でも同様のことが言えると思います。ただし、先にも述べた通り、効率を考えれば悪い方法ではありません。例えば、流行後の次の波をとらえる場合などはいい方法だと思います。
一方で、飲み会に参加、感染者との接触歴がある場合などで、検体の希釈がなされる検査は避けたほうがいいと個人的には考えています。それは、検査センターがどの程度の希釈がなされているかがわからないからです。10検体なのか20検体なのか50検体なのか、100検体なのか・・。その辺りの情報について民間PCRセンターは公表していません。そのため、どこの民間PCRセンターなら大丈夫とか、そういうことはこちらではわかりません。
どの検査を選ぶかは個人の判断になると思いますが、より確実な検査となれば、費用負担は大きくなりますが感度がより良い、1検体ずつの検査を選択した方が良いと思います。
ここからはまた個人的な考え方になりますが、一般の方がなんとなく心配で検査を受けるなら、民間PCRセンターでもいいかもしれませんが、会社における検査や社会的に検査結果を担保する診断書が必要な方であれば、病院やクリニックにおけるPCR検査を受けることをお勧めします。

糖尿病の悪化

今年は1月2月と寒く、運動ができなかった患者さんが大勢いたためか、2月の採血で糖尿病が悪化した患者さんが7割程度いました。この方達に共通しているのは、動く量は減ったが食べる量は同じだった・もしくは増えたという人たちです。薬はみなさん、きちんと飲んでいますが、運動量の低下により糖尿病が悪化しています。
新潟のあの大雪の中、外に出て運動することはリスクが高いのでお勧めできませんし、しない方がいいと思っています。
糖尿病の悪化がなかった方の多くは、家の中でできるだけ体を動かし、スクワットをしたり、筋トレをしていました。また、食事にも気をつけていました。この先、暖かくなるので、皆さん、また動くと思うので、心配はあまりしていませんが寒さがぶり返したり、寒くなったりする日が続くと、外に出て歩くことが億劫になると思います。
そのため、外に出ない日は、スクワットをする等、家の中で運動をしてください。あとは、間食はしないようにしてください。一度大幅に悪化した糖尿病は元に戻すのも大変です。
なるべく悪化させないように、外を歩けない日は家の中でスクワットをする。下記にNHKが以前放送したスロースクワットの方法をリンクしておきます。高齢者でもできる方法も記載されています。ぜひ試してみてください。

デパスの飲み方について

時々、デパスの飲み方を聞かれることがあります。不安になったら飲んだらいいのか?定時で飲んだ方がいいのか?定時に飲んで、さらに不安になったら追加で飲んでいいのか?様々な相談を受けます。
当院の方法が正しいかどうかはわかりませんが、当院の方法としては以下のようにすることが多くなります。
 
まずは、最初の段階では、不安が強い時だけ飲んでください。という処方の仕方をします。そして10回分程度処方します。これで1ヶ月以上持つのであれば(週に2回程度内服)、今の飲み方を継続してもらいます。ただし多くは出さないことが多いです。理由としては、手元にデパスがあるとついつい飲んでしまうことが多いからです。実際、以前、10回分処方した時は1ヶ月以上持ったたため、次に30回分処方したら、1ヶ月ちょっとで全てを使い切ったケースがあり、理由を聞くと、手元にあったので、ちょっと不安があったら飲んでましたとのことでした。つまり、安易に薬を飲んでしまう傾向が強くなると考えられます。そのため、受診する面倒臭さ、手間というハードルを設けることにより、内服する回数をなるべく増やさないということを考え、10回で1ヶ月持つなら、10回分しか出さないことにしています。
 
ただ、その後、徐々に回数が増えていき、10回分で2週間持つか持たないかになった場合、飲み方を聞いて対応を変えます。一つは1日に2回飲んだけど、飲まない日もあった。すごく悪い日だけ多く飲んで、そのほかの日は飲まなくても済んだという場合は、同じ出し方をする場合もあります。場合によっては、漢方薬の併用をしてもらうケースもあります。デパスを飲んだ状態で、ちょっと不安があり、漢方薬を飲むとなんとかなるというケースも少なくありません。ただケースによっては、もう少し長く効く長時間型を使う場合もあります。そこは飲む頻度、次に飲むまでの時間等により選択が変わり、本人の希望等も考え、調整をします。
 
そして連日飲まないとダメだというケースではデパス0.5mg1錠でなんとかなっている場合では、デパスを連日1回で内服をしてもらうケースもあります。ただし、デパスを1日1錠内服し、そのほかに不安時に使うケースでは、デパスの短時間作用型の悪い面が出てしまっている(効果が切れて追加で飲んでいる)ような場合は、デパスを中止し、長時間型を使う場合もあります。
 
結局、ケースバイケースにはなってしまうのですが、連日、複数回のデパスが必要になった時点で、長時間型1錠に切り替えた方が将来的に薬を減量・中止しやすいと考えています。
 
デパス依存症になったケースでは、何が何でもデパスが必要!となるケースが多く、特に高齢者で多く見られます。
 
当院では上記のように状態により変化をさせています。ただ患者さんの状態により、また主治医の判断により変化はすると思いますので、デパスを内服していてどう内服したらいいんだろう?と思う場合は、まずは処方している主治医とよく相談してください。患者さんのことを一番よく知っているのは主治医ですので、まずは主治医の判断を仰ぐのがいいと思います。

デパスが効かない!!!

時々この言葉を聞くことがあります。特にホームページを見て初診で来られた患者さんで耳にします。
その際、なんとなく「そうだろうな」と思うことがあります。それは、何に対して、どのような目的でデパスが出されているか正直わからないケースがあるからです。中には「副作用もないからとりあえずこれ飲んでおけばいい」と言われて飲んでいるというケースさえありました。
原因がはっきりわからないからデパスという、実際、20年前はそんな感じだったのかもしれません。以前の書きましたが、動悸があり、命に関わらないからデパスという時代もありました。なので、原因がはっきりわからないからデパスということも20年前ならば許容されたのかもしれません。しかし、現在ではなかなか許容されないと思われます。
ちょっと話が逸れましたが、「デパスが効かない!」と言っても、そもそも患者さん自身も何に効いていないのかわからないけど、当初は飲むと「なんとなく良かった」けど、その「なんとなく良くなる感じが得られない」だから効かないというケースさえあります。
「デパスが効かない」と感じたら、患者さんたちにしてもらいたいことは、デパスが「何に」効果がないのかを明確にすることです。不安に対してなのか、痛みに対してなのか、動悸に対してなのか、頭痛に対してなのか。そもそもデパスはなんで飲んで、飲んだらどうなって楽になったのか?そういうところをもう一度考えてみるチャンスとも言えるかもしれません。
また、効かないなら、そもそも飲んでいる意味がないとも言えます。医師の立場だと、他の薬なら「効果がないならやめましょう」というと受け入れてもらえますが、デパスで同じことも言っても「やめると不安だから嫌だ」となるのが、デパスの怖いところなのです。
でも、効かないと思ったら、まずはやめるチャンスと考える考え方もあると思います。その上で、他の薬の変更してもらう、そもそもの疾患をしっかりと見てもらい、そちらの病状を改善してもらうことを考えたほうがいいと僕は思っています。
デパスが効かないと感じた人は、実はデパスから離脱するチャンスかもしれません。
効かないのであれば、他の薬に変更したりそもそもの症状に対して、別のアプローチをしてもらうチャンスと考えて主治医とよく相談してください。
あまり参考になる内容ではないかもしれませんが、考え方です。デパスをやめたいと思っていて、そして効果がない場合は、チャンスと思って主治医によく相談してください。

心不全パンデミック

心不全患者さんが増え続けています。減る気配はありません。20年間で1.7倍(20万人から34万人)に増加しています。特に冬場は心不全の増悪を来たしやすい時期です。
心不全の大きな症状として、1)息切れ 2)むくみ 3)だるさ です。主訴として最も多いのは息切れです。もっとも自覚しやすく、苦しさを伴うため、病院に来るケースが多くなります。特に50歳代、60歳代だど、それまで何も制限なく動けていたのに、動くと息切れがするとのことで来院されるケースが増えます。そのほか、高齢になると「むくみ」の主訴が増えます。「最近、足のむくみが・・」といってくる高齢女性が特に冬場は増えます。顕著に出るのは、足、その後、顔のむくみ、手のむくみなどで気がつくケースが多いです。あとは「体がだるい(疲れる)」と言って来院され、心不全というケースもあります。高齢者の場合、食欲低下で家族が気がつくケースもあります。また、夜寝ていて苦しくなり病院に搬送される、もしくは朝まで我慢して、クリニックに来院され、そのまま病院へ紹介されるというケースもあります。
 
心不全の原因は様々あります。弁膜症、不整脈、高血圧症、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)等あります。それまで全く元気で、スポーツをしていたのに、ある日突然、動いていると苦しい感じを自覚し来院されるケースもあります。
 
最近も高齢者で朝起きたら具合が悪い、どこが悪いというよりは、新潟弁?で、「なんぎ」といって来院され、そのまま入院となるケースがありました。自覚症状は様々ですので、おかしいと思ったら、かかりつけ医に相談してみるといいと思います。もし、それでも改善がない場合、むくみ、息切れ等があるようでしたら、循環器専門医への受診も検討ください。心不全は軽症であれば、外来にて利尿剤等の投与により改善が得られるケースもあります。また、原因によっては、外来にて心不全の原因の治療をしつつ、心不全の治療も並行して行うことが可能なこともありますが、ある一定のレベルを超えると、外来での治療は難しくなります。年末年始になりますので、我慢せずに、何か具合が悪い、なんぎという場合は、心不全も疑い、検査をすることをお勧めいたします。

夜間多尿と睡眠時無呼吸症候群

最近、寒くなり夜間、おしっこで起きる回数が増えているという患者さんが来られます。ただおしっこで起きるけど、尿量はしっかりと出るという患者さんが少なくありません。つまり、夜間頻尿だけど、多尿でもあるということです。そして日中、おしっこの回数が少なく、ほとんど行かないという人もいます。泌尿器科で診てもらったら「夜間多尿」と言われたと言われ、内科で精密検査をしてもらってと言われてくるケースもあります。
精査をした結果内臓に異常が認められないケースでは、睡眠時無呼吸症候群を疑います。男性、女性いずれにもいます。そして、太っていない人でも見られます。また、いびきもほとんどないというケースもあります。夫婦で一緒に寝ているけど、いびきは指摘されないという場合も少なくありません。
実際、当院でも夜間多尿を主訴に来院される患者さんがいて、一通り検査をしたが異常はなく、いびきもかかず体型的にも太っていないけど、睡眠時無呼吸症候群の検査をすると、一晩に4-5回、呼吸が止まり、血中酸素濃度(SpO2)が70%台まで低下しているケースもありました。SpO2は90%を下回ると異常と言えます。
検査中におしっこに起きた時間とSpO2が下がった時間は一致し、つまり、呼吸が止まりそしておしっこに起きていることがわかります。夜間1-2時間おきにSpO2が低下しているため、交感神経の興奮は起こり、結果、本来おしっこを作らない夜間いおしっこを作り、昼間に作らない状態になってしまいます。
治療として、CPAPという鼻から空気を送り込んで、無呼吸にならないようにする装置を使ってもらうと、2-3日で夜間の排尿回数が1-2回に減るケースもあります。特に女性の場合、初日から夜間1回程度しか起きなくて済んだというケースもあります。
もし夜間頻尿があり、かつ尿量がしっかりと出る場合、夜間の呼吸停止の可能性もあります。心当たりがあれば、一度、睡眠時無呼吸検査をお勧めします。

コロナPCR検査について

 当院では自費にてコロナのPCR検査を実施しています。その理由は、感染者と接触していても保健所から濃厚接触者として認定されなかった、関東圏から高齢の両親に会うために施設に行こうとしたら施設側からPCRを求められた、もしくは早く面会したいならPCRが必要と言われた、里帰り出産で必要等、様々な理由から希望される方がいらっしゃいます。現時点で当院にて検査した人は全て陰性です。陽性患者は一人も出ていません。基本全員、コロナを積極的には疑わない人です。
中には、コロナと診断された方と、発症2~7日前に接触歴があった方もいますが陰性でした(保健所からは濃厚接触者とはみなされていません)。約2ヶ月でなんとなくコロナ感染はこういう感じかな?という程度の印象がもてるようになってきています
 
マスクをして日常生活でちょっと話をする程度ではまず感染のリスクは高くないと思われます。また、家族内で発症しても、同居していない状態かつ発症前に食事を1-2回した程度では感染は成立はしにくいのではないかと考えられます。
 
また、これは当院のケースではありませんが、感染が成立した人たちを見ていると、やはり飲食店でお酒等を共にしたケースやスポーツの場で多く見られている印象があります。近い距離で長時間、大声で話をするような場所ではやはり感染が成立しやすいのだろうと思います。
現状、保健所から濃厚接触者と判断されないケースでは、それほど心配をしなくてもいいのではないかと考えています。コロナ発症後の人との接触がない場合は、必要以上に怖がる必要はないと考えられます。
ただどうしても会社から検査を受けるように言われた、施設から面会のためには絶対にいると言われた等、お困りのことがありましたら、メールにて連絡をいただければ対応いたします。

温度感覚の低下

高齢になると気温・温度に対して鈍感になります。50歳以下では0.5度の温度差を認識できると言われていますが、65歳以上だと1-5度の温度差がないと認識できないというデータもあります。また高齢者では気温28度では「普通」、送風をすると「涼しい」と答え、気温32度の部屋で「暖かい」、送風をすると「やや涼しい」というデータがあります。
つまり、32度でもやや涼しいと感じてしまう状態が生まれます。これにより夜中に熱中症になる可能性があります。
当院では高齢の患者さんに夏場は28度くらいにエアコンを設定して寝てくださいと説明していますが、「寒い」とか「自分の家は涼しい」ということをいいますが、実際には32度で風が少しあると「涼しい」と感じてしまいます。32度で湿度70%の場合、熱中症指数は「危険」に達します。29度でも湿度が70%あれば、「厳重警戒」に該当します。
つまり、高齢者の方がちょっと風があって「涼しい」と感じていても、実際には「厳重警戒」であったり「危険」である可能性があり、その中に夜中ずっと寝ているという可能性があります。
なので、エアコン28度に設定すれば、湿度は50%程度以下まで下がりますので、リスクを避けられます。
 
あと、「昔は暑がりだった」という方が、年をとって「夏があまり暑くない」とか、妻や夫から見て「最近あまり暑がらない」と思うことがあるようでしたら、それはすでに老化に伴う温度感覚の低下が起こっている可能性が高いと考えていいと思います。その時点で既に本人が温度管理をすることは難しいと考え、エアコンを積極的に使用してください。

早朝の脱水・熱中症

8月に入って梅雨明けもして暑い日が多くなっています。
最近、朝起きたら具合が悪いという患者さんが増えています。話を聞くと、ほぼ全員「エアコンは寝るときに切っている」もしくは「エアコン嫌いだから使わない」と言っています。
そして「夜窓を開けているとそんなに暑くないから」とも言います。
しかし、実際には脱水になっています。その症状として「朝から体がだるい」「朝から頭痛がしている」等々あります。中には「気持ちが悪い、食べられない」と言ってくる患者さんもいます。そして、ほぼ全員が70歳以上の患者さんです。
 
このようになる原因は色々ありますが、以下に挙げられます。
1)暑さに鈍感になる。
これは加齢とともに暑さに鈍感になります。「夜はそんなに暑くはない」という言葉、これは肌感覚としては間違い無いと思いますが、実際には暑いです!先日、70歳代後半の高齢者の自宅に訪問診療した際、入った瞬間にものすごく蒸し暑かったのですが、ご本人は全然「暑くないしちょうどいいくらいだ」と言っていました。しかし、室内にあった温度計は33度で湿度は78%でした。この値、暑さ指数だと最高レベルの「危険」に該当します。
つまり、本人はちょうどいいと言っても実際には「危険レベル」にずっといるわけです。これは熱中症のリスクが当然高まります。
2)加齢とともに体の中の水分量が減る。
夜間、暑い中で寝ていて発汗するため、体の中から水分が減ります。成人男性で約60%が水ですが、高齢男性では50-55%まで低下します。ちなみに子供は60-70%です。
加齢とともに体の中の水分量も減りますので、暑さにより発汗した場合、より早期に熱中症、脱水症になります。
 
それ以外にも色々とありますが、この二つが大きく関与します。
まずはこれからの2週間はエアコンを1日つけ続けてもいいと思います。寒ければ布団をかけてもいいでうので、26-28度の間にエアコンを設定してつけ続けましょう。28度でエアコンを設定し、湿度50%程度にまで下げれば暑さ指数はかなり改善します。
 
高齢者の「暑くない」は感覚の鈍った状態での判断です。ちゃんとエアコンを使って管理しましょう。70歳以上の方で、特に健康に自信のある方は、自分の感覚を過信する傾向にあります。自分が3歳の時に見た70歳は決して若くはなかったはずです。その年齢を過ぎているという自覚を持たないと、脳梗塞等、取り返しのつかない状態で朝発見される可能性もあります。十分に注意をしてください。

夏場の心不全

夏場、心不全で来られる患者さんがいます。心不全は冬になりやすいのですが(冬の方が血圧が上がることが多いことなどが原因です)、かといって夏場でも心不全がいないわけではありません。
ただ夏の心不全では大きく分けて二つのタイプがいます。
一つは塩分と水分を取りすぎるタイプです。マスコミでも盛んに「塩分も摂取しないと脱水は改善しない!」といっていますが、普通、家の中にいる高齢者が夏だからといって塩分を多く取る必要はほぼないと言っていいのですが、それでもマスコミの言葉を信じて塩分を多く取り、水分も多くとった結果、心不全をきたすケースです。
もう一つは、高齢者になると喉の渇きを自覚しにくくなり、結果、脱水になって心不全になるケースです。脱水なのに心不全というのはちょっと納得いかないかもしれませんが、脱水になると当然心拍数は上がります。特に心房細動などの不整脈を持っている患者さんではより頻脈の傾向が見られます。そして、脱水が続いているのに水分をあまりとらない状態になると心拍数が100を超え、それが1日〜数日続くと、元々の心臓の機能によっては心不全を引き起こします。これは心臓は筋肉でできていますが、通常の倍近い速さで心臓が拍動をし続けると筋肉が疲労し、動けなくなり、心臓の機能が低下し、頻脈性心不全になります。そして、頻脈性心不全の場合、多くのケースで腎不全も合併しています。脱水になっているので、腎臓にもダメージが及びます。
脱水による頻脈性の心不全は、入院治療をしても改善に難渋するケースがあります。そのため、水分・塩分摂取が多いことによって引き起こされる心不全よりより重篤になるケースが多いとも言えます。
心臓が悪い場合や心不全の既往がある場合、塩分は控え目が必要ですが、水分はある程度摂取することが必要になります。
心不全の診断を受けている場合、主治医とよく相談して夏場の水分量を設定してください。
時々、「自分は心不全だからなるべく水を飲まないようにしている」という高齢者がいますが、それは間違いです。必要な水分量というものがあります。
主治医とよく相談して水分摂取量を決め、その量は毎日しっかりと摂取してください。

コロナストレスと不整脈

コロナによる自粛は一段落していますが、みなさんまだ、警戒をしてコロナ以前のような生活はできていません。自宅にいる時間が長かったり、感染予防、感染リスクの軽減のために外出を控えるなどの対策をしていますが、ストレスが溜まっている患者さんも少なくないようです。実際、5月連休明けくらいから「動悸」を主訴に来院する患者さんが増えています。6月に入っても来られています。
毎日不整脈が出ている患者さんでは、ホルター心電図(24時間心電図)を施行して、実際の不整脈を捕まえることもありますが、週に1-2回しか出ないようなケースもあり、必ずしも検査をするわけではありません。状況、症状、脈拍数、不整の有無などを確認して不整脈を類推して対応するケースもあります。
一昔前は、デパス等の抗不安薬を処方するケースが多かったですが、今はほとんどしていません。不整脈の出るタイミング、時間帯、状況等を勘案して、薬を決定しています。特にストレスによる不整脈を疑う場合は、交感神経の興奮による不整脈を抑える薬を短期間内服してもらうケースがあります。短期間の内服にて不整脈が出なくなったり、出にくくなるケースもあります。2週間くらいの内服でその後内服しなくてもよくなるケースもあります。
どうもストレスで動悸が・・・という患者さんがいましたら、主治医と相談してください。短期間の内服で済むケースもあると思います。

秘と不整脈

時々、便秘が悪化すると不整脈が出てしまいますという方がいらっしゃいます。
 
この事象を自律神経から考えると以下のように推察されます。
ストレスがかかると便秘や下痢を引き起こしやすくなりますが、基本、ストレスがかかると「交感神経」が優位になります。しかし、腸の蠕動を司るのは、「副交感神経」になりますので、腸の蠕動運動は低下します。結果、便秘になります。下痢になる人もいるのですが、基本的には便秘に傾くと言えます。
 
交感神経が働くと、心臓はどうなるのか?というと、「心拍数が増える」「心臓の収縮力がアップする」「末梢血管が収縮し、血圧が上がる」ということが起こります。
 
そのため、不整脈が出やすい環境になりやすいとも言えます。副交感神経優位の時に出やすい不整脈もありますので、必ずしも全員に言えることではありません。
しかし、不整脈は交感神経優位時に出やすい不整脈の方が多いため、交感神経優位=便秘=不整脈というのは、体の仕組み上は説明がつく事象になります。
 
便秘と不整脈を感じる患者さんでは、まずはリラックスをすること、副交感神経優位になるような生活をすることをお勧めします。よくいわれている副交感神経優位となるような生活は、「ぬるめのお風呂に入る」「軽い運動」「音楽(ただしハードロックはダメかもしれません)」などが言われています。
 
これらの生活を心がけてください。そして、もしそれでも改善が得られない場合は、かかりつけ医などに相談すると何かしらの対応をしてくれると思います。

コロナによる自粛で持病の悪化

コロナ感染症に伴う自粛要請があり、特にスポーツジムに通われていた方の場合、運動する場がなくなっています。4月半ば過ぎに受診された患者さんの中には、血圧上昇、高脂血症の悪化、糖尿病の悪化が見られています。もしくはそれまで順調に来ていた数値が下げ止まるケースも見られます。また、心不全患者さんでは、心不全の悪化も見られています。
みなさんがしっかりと自粛をした結果とも言えますが、一方で、自宅にいる時間が長くなり、運動量の減少、おやつ等の摂取の増加があるのかもしれません。
新潟の現状であれば、人混みを避けて、マスクをして散歩をするのであれば、感染リスクはそれほど高くはなく、帰ってきてから、手洗い、うがい、そしてできたら顔も洗っておけば感染リスクはそこまで高くはないと考えます。
これから少しずつ天気も良くなってくると思います。屋外を少し歩くなどして、運動量を減らし過ぎないようにお勧めします。
 
また、心不全がある患者さんでは、息切れ、浮腫、倦怠感等が悪化した場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。最近は、病院のコロナ感染症対策から、入院先が決定するまでに時間を要する場合があります。軽度であれば、外来内服治療で対応が可能ですが、ある一定のレベルを超えると入院にならざるを得ません。具合が悪いな、おかしいなと思ったら、早めに受診してください。もし、クリニックおける感染が不安である場合、電話をして混み具合を確認するなどのことも可能ですし、かかりつけの場合であれば、電話にて対応が可能なケースもあると考えます。
 
悪化している場合は、まずは主治医に相談してください。

健康診断結果がきたら

年度末になり健康診断結果を放置して、会社から早く診察受けてこい!と言われて来院される患者さんが増えています。
多くの患者さんが、「高血圧」「高脂血症」「心電図異常」のどれか、もしくは複数で来院されます。多分、あまり症状がないからであろうと思います。
症状がないことと、この先も大丈夫であることはイコールではありません。
早めに受診して評価をしてもらった方がいいと考えます。
特に、両親が脳梗塞、心筋梗塞、脳出血などがある場合は、症状がなくても早い段階から降圧剤や高脂血症の薬を飲んで発症を予防した方がいいケースがあります。
 
脳出血、脳梗塞、心筋梗塞になれば、絶対に内服をしなければなりません。
病気になる前に飲むで、大きな合併症なく生活するか、大きな合併症が出てしまってから内服を開始するかでは、ADLは大きく違います。
 
主治医の意見をよく聞いて、判断されることをお勧めします。

デパスの副作用について

最近、デパスを内服している患者さんがHPを見て、受診されるケースがあります。その際、様々なことを聞かれますが、そのうち副作用についても質問されるケースが増えています。
 
まとめると以下のようなものになります
 
<重大な副作用>
 
依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがある。連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により,痙攣発作,せん妄,振戦,不眠,不安,幻覚,妄想等の離脱症状があらわれることがある。
 
呼吸抑制,炭酸ガスナルコーシス(いずれも頻度不明)
呼吸抑制があらわれることがある.また,呼吸機能が高度に低下している患者に投与した場合,炭酸ガスナルコーシスを起こすことがある。
 
 
悪性症候群(頻度不明)
デパスの投与,又は抗精神病薬等との併用,あるいはデパスの急激な減量・中止により悪性症候群があらわれることがある.発熱,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗,白血球の増加,血清CK(CPK)の上昇等があらわれる場合がある
 
 
肝機能障害,黄疸(いずれも頻度不明)
肝機能障害(AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,Al-P,ビリルビン上昇等),黄疸があらわれることがある。
 
そのほかの副作用
(比較的頻度が高いもの)
眠気、ふらつき、めまい、歩行失調(上手に歩けない)、頭痛、頭重感、言語障害、口渇、悪心、嘔気、発疹、倦怠感、脱力感
 
(さほど頻度は高くないもの)
不眠、酩酊感、興奮、焦燥、振戦、眼症状、呼吸困難感、動悸、立ちくらみ、食欲不振、胃部不快感、嘔吐、下痢、蕁麻疹、易疲労感、発汗、排尿障害、浮腫、鼻閉

これらがあります。
副作用を見ると、多分、これらの症状があり、デパスを処方されたケースもあると思います。特に、ふらつき、めまい、動悸、頭痛などは処方されているケースが見られます。
飲んでも症状が変わらないケースでは、主治医とよく相談して薬を減らしながら飲まなくてもいい状態に持っていくことも検討してください。

デパスと心臓

時々、デパスを飲むと心臓に悪いですか?という質問を受けます。
正直、なかなか答えることは難しいのですが、循環器の副作用として「動悸」「立ちくらみ」とうものがあります。「動悸」というのは、不整脈の時に感じることがありますが、不整脈じゃなくても「動悸」と自覚することがあります。実際に、24時間心電図(ホルター心電図)を施行すると何もない、洞調律の時にも「動悸」を自覚されている患者さんは少なくありません。なので、動悸=不整脈とは限らず、本当に不整脈を惹起しているのかどうかは不明です。
また立ちくらみというのも血圧が下がることにより立ちくらみを自覚することがありますが、もともとデパスの副作用で「ふらつき」「歩行失調」等が0.1~5%未満の頻度であり、立ちくらみが0.1%未満であることを考えると、本当の立ちくらみなのか、ふらつきなのかの判断は難しいと考えます。
 
現状、デパスが心臓に明らかに悪影響を与えているというデータはあまりないように思いますが、飲みすぎないほうがいいことは間違い無いと考えます。
 
ただ突然デパスをやめると当然ですが、離脱症状が出てしまう可能性があります。もし動悸等で薬を内服していて、デパスをやめたい場合は、主治医とよく相談してください。不整脈が出ているのであれば、それを抑える薬に切り替えてもらうことは可能だとも追います。
主治医が心臓が専門ではない等で、なかなか取り合ってもらえないようであれば、循環器専門医を調べて、近くの循環器専門医に相談してください。

夜間のおしっこの回数が増えた

寒くなってきて、夜間のおしっこの回数が増えたという患者さんが多くなってきています。
薬を飲んでもあまり効果がないケースもあります。そんな中、1月6日の西日本新聞(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/573411/)にて、室温を2.5度あげると頻尿4割減という記事がありました。産業医大や北九州私立大が色々と調べたもののようです。
これらの記事を見ると、冬季、寝る際にも部屋のエアコンを19-20度くらいに設定して寝ると、夜間頻尿が改善される可能性があると考えられます。
薬を飲んでも改善されない場合、一度、エアコンを20度にして寝て見るという方法はありかもしれません。

若い時は低血圧だったのに、血圧が高くなった

寒くなってきて、血圧が上がったと言って来院される患者さんがいらっしゃいます。特に女性の方で、昔は100mmHgくらいしかなかったのに・・・と言って来られるケースもあります。しかし、家の血圧は150-160mmHg、、診察実はさらに高い・・というケースもあります。
そしてすぐに内服治療をしたほうがいいですか?という質問をよく受けます。ケースバイケースになりますが、診察時に高血圧の家族歴、生活習慣、ストレス、その他、様々な質問をさせてもらい、また、場合によっては、採血をしてその他の合併症を確認してから、内服治療をするかどうか検討しています。
若い時は低血圧だった患者さんに質問する際、両親が高血圧であったかどうかを質問しています。特に女性の場合、母親が高血圧であった場合、いつ頃から内服治療をしているのかという質問をします。正確な年齢はわからないケースが多いのですが、大体の発症年齢はわかるケースがあります。
僕の印象ということになりますが、女性の場合、若い時低血圧で、50歳を過ぎて血圧が上がってきたケースで、かつ母親が高血圧の場合、だいたい母親と同じような年齢で高血圧を発症するケースが多いように感じています。つまり母親が50歳くらいから血圧の薬を飲んでいた場合、患者さんも同じくらいから血圧が上がり始める、母親が70歳からなら、同様に70歳くらいから上がり始める。また、父親も高血圧の場合、発症する年齢はもう少し早い印象があります。
そして、その場合、薬を開始するケースが多くなります。もちろん、内服をせずに、生活習慣の改善を見るケースもありますが、それで改善が得られるケースは多くはないと思います。
もし、昔は低血圧だったのに、歳をとって血圧が高くなってきたという患者さんがいましたら、両親が高血圧の治療を受けているかどうか、もしくは、高血圧と指摘されたことがあるかどうか、そして、治療開始年齢、もしくは指摘された年齢をあらかじめ聞いておくといいと思います。もう両親が死んでしまってわからない・・というケースでは、死因が重要になるケースもあります。脳出血などの高血圧が原因となり得る疾患の場合は、高血圧があった可能性が高いと思います。また、兄弟姉妹がいる場合は、兄弟姉妹に血圧のことを聞いてみるといいと思います。特に兄、姉がいるケースでは、聞いてみると、実はもう薬を飲んでいるよというケースが多いと思います。
そして、クリニックを受診すると、今後の方針も立てやすいかと思います。
 
当院では遺伝的要素が大きいと判断した場合、冬場は血圧の薬を飲んでもらうケースが多いと思います。そして、1剤で血圧のコントロールができている場合、暖かくなってから、減量・休薬するケースはあります。ただ、冬場2剤以上でしか血圧がコントロールできない場合、減薬はできても休薬ができたケースはほとんどありません。

不整脈とデパス

僕がまだ医師になりたての頃、リスクのない不整脈に伴う自覚症状に対して、デパスを使っていました。つまり、確認された不整脈は絶対に命に関わらないため薬を飲む必要はないけど、自覚症状が辛いなら、その症状を緩和させるためにデパスを使いましょうということです。実際、デパス内服にて不整脈に伴う自覚症状が軽くなる症例が少なくないことは事実です。ただし、基本、不整脈の治療にはなりません(一部、ストレスとかが原因で不整脈がでているのであれば、減らす効果はあるかもしれません)。
そして、一時的にデパスを使用し、不整脈が減ったり、症状がなくなったら一度中止をしてみるということをしていました。
 
ただ、当院ではということになりますが、最近はそのようなことをしていません。その理由は、高齢者では、デパスをやめられなくなる傾向が強いという印象があります。若い人では、あまりそういう印象を受けませんが、それでもいないわけではありません。そのため、なるべくデパスは使わず、どうしても辛い症状があるのであれば、それは不整脈自体を止める、減らすということを考えます。
 
不整脈の薬を使うと、症状がなくなった場合、「やめていいですか?」と聞かれるケースが多く、デパスだと「安心だから飲み続けてもいいですか?」と聞かれるケースが多い印象があります。デパスの持つ抗不安作用が強く出て、心地よく感じるのかもしれません。
 
ただし、重篤な副作用は薬によっては不整脈を止める薬の方が強いかもしれません。そこは不整脈を止めるメリット(症状をなくす)と薬の副作用のリスクを勘案して選択することになります。
 
もしデパスを飲み始めた理由が不整脈という患者さんがいて、デパスをやめたいという希望がある場合、一度主治医と相談することをお勧めします。特に高齢者で、認知症、ふらつきがある場合は、主治医と相談してください。

血圧が高くないのに降圧剤が処方されている

時々、他院からこられる患者さんで、このように言われるケースがあります。特に大きな病院で忙しい外来で主治医に聞けないので、言われるがままに内服をしているというケースがあります。
実は降圧剤といっても、様々な種類があります。そのため、血圧を下げる効果もあるが「不整脈を抑える作用」もあるという薬もあります。また、腎臓を保護する作用のある降圧剤もあります。そのため、薬の説明書を見ると最初に「血圧を下げる効果があります」と書いてあることが多いですが、実際には、その次、もしくはその次に別の作用が書いてある薬があります。
循環器でよく使われる薬の中にメインテートという薬がありますが、それの説明書には以下のようにあります。

  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)
  • 狭心症
  • 心室性期外収縮
  • 次の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬又はアンジオテンシンII受容体拮抗薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者
    • 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全
  • 頻脈性心房細動

 このように高血圧が最初に来ますが、実際には、狭心症、心室性期外収縮(不整脈)、慢性心不全、心房細動(不整脈)と多岐にわたる効果があります。そのため、高血圧が目的ではなく、他の目的で使われるケースも多くあります。
 
もし自分が飲んでいる薬に疑問があるようでしたら、主治医に相談してください。当院でもメインテートを処方する際、半分以上は高血圧以外の目的で処方しています。

リハビリやマッサージについて

高齢者のリハビリやマッサージについて相談を受けるケースがあります。特に寝たきりに近い状態や寝たきりの患者さんのリハビリやマッサージについても相談を受けることがあります。ケアマネ、訪問看護、施設の職員等から、助言を受けるケースもあると思います。ただ、正直、何のためにリハビリやマッサージをするのか?ということをしっかりと理解して助言をしているケースが多いとは言えません。
何のためにリハビリをするのか?といえば、「機能の保持、改善のため」です。
寝たきりで拘縮のある患者さんにリハビリをしたら、治りますか?と言われたら、治りません。特に拘縮が進行する疾患の患者さんでは、週1回、リハビリをしたら拘縮が良くなるというデータはありません。週2回、1回20分のマッサージで良くなるというデータもありません。
そして、何より、患者さん自身がマッサージやリハビリで痛みを感じる可能性のある場合、治りもしないリハビリ、マッサージで得られるのは苦痛だけになります。
残念ながら、適切な助言がされているケースは多いとは言えず、また、患者さん家族に誤解を与えるような助言がなされているケースも多く見られます。
また、訪問マッサージについて言えば、動ける通院できる人は対象にはなっていません。また、マッサージについても神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症 しか適応にはなっていません。それも「慢性病であって医師による適当な治療手 段のないもの」という注釈まで付いています。
つまり、ほとんどの通院できている患者さんは適応にはなりません。
様々な人から、いろいろなサービスが勧められることがあると思いますが、まずは主治医と相談してください。本当に適応があるのかどうかすら理解せずに、マッサージなどを勧める人もいます。
また、疾患によっては、必ずしも良いことをしているとは限らないことも認識する必要があると思います。

降圧剤について

降圧剤についての質問も度々きますので、少し書きたいと思います。
降圧剤というものは、主に血圧を下げる目的で使われますが、中には心臓や腎臓を保護する目的で使われる場合もあります。そのため、時々、他院から薬をもらっている患者さんが、風邪などで受診された際に、「血圧は高くないのに、降圧剤が処方されているんだけど・・・」と質問されるケースがあります。
降圧剤にも数種類あり、それぞれ降圧させる方法が違います。そのため、使い分けをしています。1)Ca拮抗薬(ノルバスク/アムロジピン、ニフェジピン等)、2)ACE阻害薬(レニベース/エナラプリル等)、3)ARB(ブロプレス、ミカルディス、ディオバン等)、4)利尿剤(ラシックス、アルダクトン等)、5)αブロッカー(カルデナリン等)、6)βブロッカー(メインテート、アーチスト等)が挙げられます。
1) Ca拮抗薬は血管の拡張により血圧を下げる作用があります。しかし、血管を広げることから、顔の火照り、むくみ、頭痛、便秘などの副作用が起こる場合があります。
2)ACE阻害薬はアンギオテンシンIIという物質が作られるのを防ぎます。アンギオテンシンIIは血管を収縮させたり血液量を増やしたりするため、血圧が上がるため、それらを防ぎます。ただし、空咳や喉の違和感を訴える副作用を有します。
3)ARBは「アンギオテンシンIIが受容体へくっついて血圧が上がり、血液量を増やす」という作用を阻害し、アンギオテンシンIIが受容体へくっつくのを防ぎます。軽い動悸、めまいなどを訴える方もいますが、ほとんど自覚症状として副作用を訴えるケースは稀です。
4)利尿剤は腎臓からNaと水分を排出する作用を持ちます。そのため、尿量が増えたり、高齢者などでは脱水、低Na血症、痛風などを起こす場合もあります。
5)αブロッカーは、血圧を上げ神経の働きを抑えて、血管を広げて血圧を下げます。副作用としては、立ちくらみ、めまいなどの症状が出るケースもありますが、あまり多くはありません。
6)βブロッカーはαブロッカーと同じ、血圧を上げる神経の働きを抑え、また、心臓の収縮力を落としたり、血管の収縮を抑え、血圧を下げます。副作用としては、心不全患者では量が多いと心不全の悪化をきたす可能性があること、また、かなりの確率で心拍数が減少します。
 
以上のように、様々な降圧剤があり、それぞれに副作用が認められ、また、それぞれに得意とする降圧方法があります。そのため、人により、降圧剤の使い方は違います。当院では、生活習慣や血圧が上がる時間帯、また、塩分摂取量等、様々な情報を聞いて、患者さん一人一人にもっとも適切であろう薬を選択しています。そのため、同じ高血圧でも患者さんによっては全然違う種類の降圧剤が処方されます。また、当院は循環器内科(心臓が専門)のため、心臓に合併症を持つ患者さんも多く、2-3種類もしくはそれ以上の薬を組み合わせて使っているケースも多々あります。
また、副作用が出てしまい使えないと言って他院かかりつけの患者さんが来院されるケースもありますが、その際も、よく相談をして、薬を種類を変えたり、量を変えたりしながら、経過を見るケースがあります。多くのケースでは、変更により飲み続けられることが多くなります。
 
また、降圧剤の飲み始めに副作用を感じやすいこともあります。例えば、Ca拮抗薬では、頭痛や頭が重たいということを訴えられるケースがあります。
血管拡張に伴う症状であろうと考えられ、拍動性の頭痛がある場合は、ほぼ使うことは不可能であり、中止し他の薬に変更をしたりします。頭が少し重たいくらいの場合は数日使ってもらうと症状が消失するケースが多いため、継続してもらうことが多くなります。
また、便秘が強い場合などは、Ca拮抗薬を使うと、さらに悪化するケースがあるため、注意を要します。
このように、持病と副作用、それと薬によってもたらされるメリット全てを勘案した上で、治療を行います。
 
降圧剤について不安や困ったことなどがあれば、薬手帳を持って受診していただければ、対応できると思います。

デパスの代わりに漢方薬を希望

前回、デパスの代わり、もしくは増やす代わりに漢方薬をと記載したところ、一体何を使うのか?という質問がありました。当院で変わりに出すのは、「加味帰脾湯」という漢方を使っています。クラシエさんが出している漢方薬になります。正直、効果については個人差があります。市販もされているようです。試してみたいという方は、合併症等が問題なければ試してみてもいいと思います。もしくは、医療機関にて相談いただければと思います。ただし、カンゾウが入っていますので、特に利尿剤等を飲んでいる患者さんについては、主治医とよく相談をしてください

デパスは増やしたくないけど、でも辛いという場合

デパスは増やしたくないけど、でも辛い・・・というケースが少なくありません。実は、漢方薬でも、似たような効能があるものがあります。デパスの量がある程度入っていて、これ以上は・・・という時に使用するケースもありますが、デパスをやめたいというケースでも、漢方薬で対応するケースもあります。プラセボ効果という可能性も否定はできませんが、ある程度効果はあるように見受けられます。もし、デパスはやめたい、減らしたい、でもこれでまた具合が悪くなったり、眠られなくなったりするのは怖い・・・という場合、相談いただければ、漢方薬を試してみるという方法もあります。
希望される方はご相談ください。

デパスの効きが弱くなってきた場合

最近、デパスの使用を減らすようにしていますが、とは言っても、やはりデパスを以前から使用している患者さんでは、なかなかやめるのが難しいという現実があります。そして、さらに以前から使っている患者さんから「最近、デパスがあまり効かない・・・」と言われるケースもあります。そんなときは、まずは「デパスが効かないということはどういうことか?」というところから始まります。不安が強くなるのか、身体的症状が出るのか、はたまたなんとなくそう感じるのか、それらを詳細に聞いてから、次の手を考えます。基本的に、デパスが薬をんでから効くまでが割と早いと言われているため、飲むと即効性があるように感じまた、抗不安作用が強いため患者さんは「効果」を実感しやすいということがあると思いますが、半減期が割と短いため(大体6時間程度)のため、結果、薬が切れていく感じもまた実感してしまうのだろうと思います。
そのため、症状が出てしまう時間帯を聞いて、もし、半減期を超えて症状が出てしまう、不安が強くなってしまう場合は、同じベンゾジアゼピン系でもう少し半減期の長いタイプの薬を使うことがあります。デパスをやめて、半減期の長い薬をある程度毎日飲んでもらうことになります。そして、半減期の長い薬を徐々に減らしていくという方法をとることになります。ただ、立ち上がりが遅い薬だと、即効性を感じにくいため、「新しい薬は効かない」ということを言うケースも少なくありませんが、少し我慢して飲んでもらい、血中濃度が安定してくると、割と問題なくいけるケースもあります。
デパスが効きにくいとおじいちゃんやおばあちゃんが訴える場合、主治医と相談して、デパスをやめて、もう少し半減期の長い薬を選択してもらうという方法もありかもしれません。ただ、患者さんの状況によっては、半減期が長いのはかえってふらつき等で危険があると判断される場合もありますので、主治医とよく相談してください。

中学生のむくみ

時々、中学生や高校生くらいのお子さんで、「むくみがある」といって来られるケースがあります。さほど強くはないのですが、むくみがあるケースが見られます。当院では大抵、女性です。そのため、最も考えるのが、「貧血」です。生理が始まり、貧血になっているなどのケースで、むくみ(浮腫)をきたすケースが見られます。そのため、鉄剤の投与にて、貧血の改善が得られると、むくみが改善するケースがあります。全員ではありませんが、中学生や高校生の女の子で、むくみがある場合、貧血の検査を一度してみることをお勧めしています。

高齢者・超高齢者に対する利尿剤について

当院では、高齢者・超高齢者に対して、利尿剤を使用しているケースが多くあります。
ただし、利尿剤の使用については、相当気を使います。利尿剤といっても様々な種類の利尿剤があり、それらをいかに使い分け、かつ、組み合わせるか・・というところが最も難しいところであろうと思います。
まずは、何のために利尿剤を使用するのかというところが最も重要なポイントであり、そのためにどの利尿剤を用いるのかが重要です。
なんのために利尿剤を使うのかという点について言えば、様々な理由が挙げられますが、多くは「浮腫み」を取るため、もしくは「心不全の治療・予防」になるのであろうと思います。浮腫みも心不全予防も場合によっては同じ目的となるケースもあります。
当院では、大学やその他の病院に心不全にて入院をされ、退院後のフォローとして紹介されてくるケースが多いため、利尿剤の利用においては、9割以上が「心不全管理」を目的として処方をしています。 
 ただ、1割未満の方であ、心臓によらない浮腫に対たいして使用しているケースもあります。
 
他院にて治療を受けたけど、よくならないというケースです。
前回も書いていますが、Ca拮抗薬等によるものではあまり利尿剤の効きはよくないので、薬を見直すことをしますが、それ以外でも利尿剤の選択により変わるケースもあります。
 
ただ浮腫みを取るために利尿剤を使用すると、多くの場合、腎機能の悪化を伴います。クレアチニンという数値が上がります。そのため、この値をなるべく上げすぎないようにしながら、かつ、浮腫も改善させるという相反したことをしなければなりません。その際、どの程度まで浮腫を減らせば良いのかという点も重要になります。そもそも何のために浮腫を減らすのか?というところも問題になります。当院では、多少の浮腫であれば、経過を見ることがあります。浮腫んでいても生活に支障もなく、自覚症状もなければ、経過を見ることがあるのです。時々、ちょっとでも浮腫があると気になる患者さんもいらっしゃいますが、褥瘡や皮疹等のトラブルにならない程度なら、大丈夫と説明をして理解してもらう場合もあります。
 
心不全の場合は心臓の保護作用の強い薬をメインに使いますが、これも腎機能との兼ね合いが重要になります。心不全は完璧だけど、腎不全は物凄く悪いですではどうしようもありません。特に心不全の場合、血液中のナトリウム濃度や、カリウム濃度、そしてクレアチニン、NT-proBNPなどの値を勘案しながら、調整が必要です。当院でも数種類の利尿剤を使って対応するケースもあります。
 
高齢者・超高齢者への利尿剤については、経験も必要ですし、病態を理解して使う必要があります。もし心不全などがあり、利尿剤を飲んでも改善があまり得られない等があれば、一度、循環器専門医を受診してみることも検討ください。病院でもいいですし、循環器専門医を持つクリニックでもいいと思います。

利尿剤が効かない!!

当院にて利尿剤を増やしてもなかなか効果がないという患者さんが何名かいました。他院かかりつけだけど、よくならないと言ってこられた患者さんもいます。
 
1例目の患者さんでは、当院かかりつけでしたが、高血圧があり、他にも様々な薬が入っており、その中にCa拮抗薬という薬が入っていて、それがむくみの原因でした。Ca拮抗薬を減量したところ、むくみは改善しました。その患者さんは血圧管理があまり良くなく、途中からノルバスク(アムロジピン)が10mgに増量し、血圧は良好に管理できていましたが、その後徐々にむくみが悪化していました。血圧が良かったことから、利尿剤にて調整をしようとしましたが、むくみは改善が得られず、結果、Ca拮抗薬を半量にして調整をしたところ、浮腫は消失しました。
このケースでは、利尿剤が効かなかった原因はCa拮抗薬という薬が原因でした。
 
2例目は Ca拮抗薬は使っていない患者さんでした。そのため、むくみの原因となり得る薬を使っていないため、何か違う原因があると思われました。基本的には、塩分の取りすぎを考えましたが、ご本人や高齢の家族に食生活を聞くと「そんなにしょっぱいものは食べていない」「お菓子も食べない」「塩分はほとんど取っていない」ということを言われていました。利尿剤を最大量まで増やしても、全く浮腫の改善が得られませんでした。3ヶ月ほど経過を見るも改善がなく、入院をしてもらい病院にて評価し直してもらいました。そうしたところ、入院をお願いした医師から、入院翌日には1kgの体重減少と浮腫の改善が得られましたと連絡がありました。薬は全く同じ薬を継続しましたとのことです。
この場合、ご本人や家族は塩分は取っていないと言いながら、塩分摂取が多かった可能性が高いと考えられます。病院の塩分をしっかりと管理された食事にすることにより浮腫が改善したことになります。
このケースでは、利尿剤の聞かなかった原因は塩分の取りすぎとなります。
 
利尿剤が効かないケースでは、様々な原因があります。問診をして原因を特定する必要があります。それでもダメな場合は、やはり入院してさらに厳格な塩分管理をした上で、評価をする必要があると考えられます。

ベンゾジアゼピンの依存性について2

最近、めまいがすると言って他院かかりつけの患者さんが来院されました。高齢の痩せ型の患者さんでした。そして、話を聞くと、夕方になるとめまいがひどくなるとのことでした。そのため、薬手帳で服薬状況を確認すると、デパス0.5mgが1回1錠で朝昼夕の内服になっていました。さらに話を聞くと、もともといろんな症状があり(不定愁訴)、それに対して、デパスが処方され、徐々に増えていき、3錠に増えたところでめまいが悪化してきたとのことでした。確かに原因のわからない症状に対して(不定愁訴)、デパスが著効するケースがあるため、そのため処方されたものであろうと思われました。
ただ、今回のめまいの原因はデパスの可能性が高く、朝、昼と飲むと、強く効きすぎてしまう判断し、朝晩の2錠にしてもらいました。そうしたところ、めまいがかなり改善し、1ヶ月で1−2回程度まで改善しました。ただ、まだ症状があるため、デパスをさらに減らそうと提案したところ、断固拒否でした。これ以上は絶対に減らせないと。その理由を聞くと「不安だから」でした。つまり、デパスで副作用が出ているけど、デパスを止めるのは不安でやめられないとのことでした。不定愁訴の面は、心配いらない、もしでたら、また違う薬で対応できますと説明しても、断固拒否で、デパスじゃなきゃダメだとの訴えでした。
以前、デパスの依存性について述べましたが、ここまで強いものなのかと改めて感じました。
とりあえず、この患者さんも半年以上かけて徐々に減らしていくしかないと思っています。
もし、デパスを多く飲んでいる患者さんで、めまいがある場合などは、主治医としっかりと相談して、対応をしてもらうことが望ましいと思います。

ベンゾジアゼピンの依存性について

昨日、抗不安薬と認知症様症状について書きましたが、昨日の夜「不眠」の研究会に参加した際、ベンゾジアゼピンの依存性ということについて説明があり、依存性については、ヘロイン、コカインなどの薬物と危険ドラッグの依存性の間に位置しているという説明がありました。つまりそのくらい依存性が高い薬ということになります。その中でも、非常に使われているのが「デパス」です。そして、専門の先生方からしても、薬を減らしたり、中止することが難しく、1年くらいの期間をかけて、徐々に減らすようにするとの説明がありました。やはりデパスによる転倒、認知症の発症等々、様々な副作用があるため、なるべくベンゾジアゼピン系の薬は使わない方向にするとのことでした。
現在、デパスを多く飲んでいる患者さんやその家族の方で、「減らしたい」「やめたい」と思っている患者さん・家族の方がいましたら、相談いただければ、半年〜1年くらいの時間をかけて徐々に減らす方向で考えたいと思います。

抗不安薬と認知症様症状

ここ1年くらいの間に、、認知症かもしれないと新患で息子さんや娘さんが親を連れてくるケースがあります。ご本人はそんなことはないという感じだったり、もしくは、なんかおかしい感じがするということもありますが、いずれにせよ、家族が認知症を疑って連れてくるケースです。当院では、その際、違うクリニックや病院から処方されている薬を確認させていただくのですが、少なくないケースで、抗不安薬が処方されています。エチゾラム(デパス)などがそれに該当します。最近、立て続けに他院かかりつけの患者さんが来られ、薬手帳を確認すると、かなりの量の抗不安薬+睡眠薬が処方されているケースがみられ、ふらつきやぼーっとする等々の症状も出ていました。また、認知症のような、軽い妄想が見られるケースもありました。大抵の場合、患者さんの希望に応じて、薬が増えたケースであろうと思いますが、年齢とともに代謝が落ちますので、薬の副作用が大きく出てしまうケースがあります。
当院では、まずは抗不安薬を少しずつ減量しながら、認知症専門医へ依頼するようにしています。ただ、認知症専門医の受診までに時間があると、抗不安薬を減らしただけで、家族から見るととても認知症様症状が改善するというケースが少なくありません。ご本人にもよく説明すると、エチゾラムの減量に同意してもらえるケースが多くあります。
そのため、親が認知症かも・・・と疑った場合、まずは薬の内容を確認し、主治医とよく相談することをお勧めします。ご本人一人だと、伝えきれなかったりしますが、家族が付き添ってあげて、その上で、薬の相談をしてもらうと、より主治医が理解しやすくなります。ただ、改善しても、一度は認知症専門医にて診断をしてもらうことも重要ですので、薬の減量ならびに専門医の診断をうけることをお勧めします。

夏場の塩分摂取について

最近、気温が高くなってきて、脱水に注意と言っているので、麦茶に塩を入れて飲み始めました!というかかりつけの患者さんが何人かいました。ただ、話を聞くと、家の中で過ごすことが多く、外にはあまり出ないとのこと。なので、麦茶に塩を入れて飲むのはやめましょうと伝えると、「「テレビでは、塩分を取れ!」って言っていました」と言われました。
確かに、屋外作業をする人など、汗をダラダラとかくような人であれば、塩分を余分に取ることは否定しませんが、ある程度歳をとって、家の中で、過ごすことがほとんどで、たまに買い物に行く程度であれば、麦茶に塩を入れて飲む必要はないと思います。普段の塩分摂取で十分に足りると考えられます。
もし、自分は塩分はプラスして摂取した方がいいのかわからない!と言う人がいましたら、主治医に相談してみるといいと思います。心不全と言われている人や利尿剤を飲んでいる人はなおさらです。テレビの言うことを鵜呑みにせず、まずは主治医に相談ください。相談してからでも、今なら遅くはありません。

「予防接種について

最近、大学や専門学校に入学が決まった方が、大学等から、予防接種を受けていなければ受けてくださいという手紙を持参されてくる場合があります。母子手帳で全て予防接種がなされている場合は問題ありませんが、もし母子手帳で予防接種がなされていない場合、予防接種を行うか、もしくは抗体価を調べる必要がある場合があります。
 
日本脳炎、三種混合、MRワクチン等々、様々なワクチンがあり、また、接種するタイミングもありますので、もし、そのような手紙を送付され、予防接種が必要という場合は、早めにご相談ください。
 
特に「医学系」「看護・介護系」「幼児教育系」では、病院・介護施設や保育園等にて実習があるため、抗体がない場合に立て続けに予防接種が必要になる場合もあります。
あと、留学を予定している場合も、予防接種がなされていない場合、抗体価を調べたり、また抗体がない場合は、予防接種をする必要があります。海外は特にワクチン接種には厳しいので、留学を予定している方で、母子手帳で予防接種が確認できない場合は、早めに予防接種をすることをお勧めします。
 
母子手帳等がない場合で、予防接種をした方がいいかどうかわからない場合などは、相談してください。

風邪と咳

最近、インフルエンザや風邪が流行っています。それらに共通して「咳」があります。そして、受診の際に「咳がでて困る」という話をされる方が多く、咳止めが欲しいというケースが多々あります。また、咳止めを出しても止まらないから、もっと強い咳止めが欲しいと訴えるケースもあります。
強い咳止めでコデインというものがありますが、これは咳を抑制してくれますが、これは副作用もありますので、小児、高齢者に使用する際は注意が必要です。
 
また、一昨年、アメリカのとある論文では「風邪の咳に効く薬はない」というデータが提示されていました。咳で眠れない場合、唯一効果があるのが、「はちみつ」でした。蜂蜜を舐めて寝るというのはアリなのですが、1歳未満ではリスクがあるので、使用不可能です。
 結局は自分の免疫力で治ることになりますので、安静にして水分を多くとる(これにより気道粘液を洗い流すのに有効)ことで早く改善が得られる可能性があるため、風邪で咳が出ている場合は、仕事や学校を休んで、水分をしっかりととって体を休めることがもっとも効果が認められると考えられています。
 
ただ、当院でも、一応、咳止めと言われる薬を出しますが、風邪の急性期の場合に、コデインを出すことはあまりありません。風邪は治ったけど、乾いた咳だけが続くような、慢性咳嗽となった場合に出すケースはあります。
 
咳がひどい場合は、仕事を休み、ゆっくり休息を取ることをまずは検討ください。

夜間頻尿と睡眠時無呼吸症候群

 最近、寒くなってきて夜間頻尿の訴えが増えています。
一回の尿量がしっかりとでる場合の夜間頻尿と、一回の尿量が少ない夜間頻尿の2種類があります。正直、尿量がしっかりと出てしまう、膀胱がいっぱいになって尿意を催しトイレに行くタイプの夜間頻尿は改善が難しいという印象を持っています。ただし、夜間そういう状況になる多くの方が、夜間尿の回数が多くて眠られないため、昼寝をしているケースが多く、昼寝の際は、そこまで頻尿ではないというケースが多いことがわかります。そのため、なるべく昼寝をしないこと、そして18時くらいには食事を終え、その後は水分を基本は取らないようにし遅めに寝てもらうようにしています。ただ、それでも改善が確実に得られるというわけではありません。
 
一方で、一回あたりの尿量が少ないが頻尿というケースがあります。男性なら、前立腺肥大の可能性を疑いますし、女性であれば、過活動膀胱などを疑うケースもあります。ただ、いずれの薬でもあまり効果がないケースもあり、実は睡眠障害であったというケースもあります。この場合、睡眠薬等を用いると、4時間くらい寝ていられるため、夜中1-2回程度の排尿回数で落ち着く場合もあります。また、最近、医学系の雑誌や講演会等で、実は夜間頻尿と睡眠時無呼吸症候群の関係が指摘されています。睡眠時無呼吸症候群も睡眠障害を引き起こす原因の一つであると言われています。そのため、もし、夜間頻尿が悪化している場合等は、睡眠障害を疑い、必要に応じて睡眠時無呼吸症候群の精査も検討されます。
 
ただ、いずれの場合も、前立腺、膀胱に異常がないことは、泌尿器科での診察でチェックをしてもらう方が安全だと考えています。

チョコレートが糖尿病に効く?

以前、テレビやインターネットの記事で、「糖尿病に期待できる食べ物」と題して、チョコレートが挙げられていたようです。僕自身はテレビ番組は見ていませんが、そのようなテレビ放送がなされたようです。そして、実際、そのようにチョコレートを食べてきた患者さんが複数いました。というより、ある時期、複数の患者さんのHbA1cの値が急激に悪化したため、「どうしたの?何か食べましたか?甘いものとか・・・。」と聞いたところ、「以前、テレビで糖尿病にはチョコレートがいいと言っていたので、いっぱい食べました」とのことでした。みんな同じテレビを見て、チョコレートを食べたようでした。
そのため、僕もちょっと調べてみたところ、ダークチョコレートがインスリン抵抗性を改善するという記事を見つけました。また、カカオ豆が食物繊維が豊富で、糖質の吸収を穏やかにする等の論文もあるようです。しかし、多くの患者さんが食べたのは「普通のチョコレート」です。ダークチョコではありませんでした。
また、ダークチョコレートといっても、カロリーが相当ありますので本当にどの程度、効果があるのかは不明です。また、ダークチョコレートの定義も曖昧なようです。明治さんのHPをみると、カカオマス40%以上のチョコレートでカカオマス、ココアバター、砂糖、レシチンや香料で作られたチョコレートで、乳原料が少量入ってもダークチョコレートとよばれると記載されています。また、他のものでは、カカオマス40-60%で乳原料が含まれないとm書いてあったり、カカオマス70%以上と書いてあるものもあります。つまり、定まった定義はないようです。
とある記事ではカカオマス70%以上のチョコレートを1日25gまでなら大丈夫と言う記事もあるようです。これも本当かどうか検証がなされてはいないようです。しかし、それでも25gとありますので、実際のカロリーは150kcal程度までと言うことになるのだと思います。
 
そのテレビを見てチョコレートを食べた患者さん全員が大幅に悪化していることを考えると、テレビの構成も患者さんたちが理解できるような構成にはなっていなかったようです。
糖尿病患者さんで、これを食べたら糖尿病にいいというテレビを見た場合、まずは主治医に相談ください。間違っても、自己判断でいいと言われるものを大量に食べるのはやめてください。
今回のテレビを見た患者さんの糖尿病の悪化を見る限り、糖尿病にチョコレートがいいと言う言葉は間違いだと思います。というか、間違いです。
 
もしかしたら、カカオマス85%以上のチョコレートであれば、砂糖の量が極端に減りますので、多少食べてもさほど影響はないのかもしれませんが、そもそもほぼ甘くないので、チョコレートを食べたいという欲求を満たせるチョコレートではないようにも思います。

若い時から血圧が高い、コレステロールが高いから大丈夫?

最近、健康診断後の方がいらっしゃいます。その際、高血圧、高脂血症を指摘され精密検査を要するということで来院されます。その際、色々と問診をさせてもらいますが、少なくないからから、「若い時から高いんですよ」という言葉を聞きます。これは高血圧、高コレステロール血症、いずれの時も聞く言葉です。多分、患者さんたちの意図としては、「若い時から高いから、今に始まった事ではないから大丈夫。今まで高くて何も起きなかったんだから、治療なんてしなくてもこれからも大丈夫でしょう」ということを言いたいのだろうと思います。
確かに、30歳の時から、高血圧があり、高脂血症があり、60歳まで同じできたけどなんともなかったというのは事実だと思います。ただ、だからと言って、これからも大丈夫であるという保証はありません。それどころか、30歳から60歳まで高かったんだから、すでに血管はボロボロになっている可能性がある、動脈硬化が大きく進んでいる可能性があると判断する方が妥当であろうと思います。
例え話になりますが、下水管があります。30年間使い続けた下水管があり、そこを流れる汚水のなかに、下水管を詰まらせる成分が多く含まれる場合と、成分が少なかった場合を考えます。当然ですが、詰まらせる成分が多い方が、下水管壁に付着し、大きくなり、下水管の中は細くなっている可能性が高いと言えます。これを血管に例えると、悪玉コレステロールが血管を詰まらせる成分の一つであるため、悪玉コレステロールが30歳から高かった人は60歳の時点ですでに細くなっている可能性が高いということが言えると思います。そのため、悪玉コレステロールが30年間高かった人と、60歳になって初めて高くなった人、どちらが危ないでしょうか?と考えれば、60歳になって初めて、コレステロールが高いと指摘された人の方が安全と言えます。また、その上、血圧が高いということは、下水管の内側からの圧力が高いということですから、当然、下水管の痛み方も血圧が高い方が早くなります。
 
このように若い時から、コレステロールが高い、血圧が高いから大丈夫という発想は危険です。若い時から高かったのなら、そろそろしっかりと治療をしないと、血管が詰まる可能性が高くなると言えると思います。そして、この場合の血管が詰まるとは、「脳梗塞」「心筋梗塞」などを指します。また、場合によっては、下肢の動脈閉塞をきたす場合もあります。
 
若い時から、血圧が高い、コレステロールが高いという人は、ある一定の年齢になったら、早めに治療を開始する方が将来のリスクを減らせ減らせとると考えた方がいいと思います。

点滴について

今年の夏は暑くて、食欲がなくて・・・といって点滴を希望される患者さんが多かった印象があります。また、点滴をすると元気になるから点滴をしてほしいという希望をおっしゃる高齢者の方も見られました。ただし、実は点滴もリスクのある治療であるということをあまり理解されずに希望されている患者さんが多かった気がします。特に高齢者の方では、リスクが高いと考えています。
というのも、一般的に体重の1/13が血液であると言われています。これは体重が40kgのおばあちゃんの場合、その1/13が血液になります。体内には、約3L程度血液があるということになります。そして、一般的に点滴は500mlです。投与する時間は2時間程度です。つまり、もともと3Lの血液を2時間で3.5Lに薄めることになります。約20%程度の量を2時間で増加させることにつながります。もちろん、その間に尿として処理される部分もありますので、単純に20%にはなりません。しかし、少なくない量の水分が一気に補充されます。
明らかに脱水がある場合、これは受診時点で水分が足りないので、仮に500ml点滴をしても、あまり問題になることはないと思います(心不全などの場合は除きます)。体調不良で、食事が食べられないし、水分摂取もできない場合などが該当しますし、炎天下の中で汗だくで動いて、水分が取れず脱水症になった場合なども該当します。そういう患者さんであれば、ある程度安全に点滴は可能であろうと思います。しかし、水分がしっかりと取れている患者さんの場合、すでに水分が十分足りているにもかかわらず、さらに水分を投与することになり、結果、「心不全」を引き起こす場合があります。そのため、「安易」な点滴は避けるべきであろうと考えています。
実際、ある田舎の病院に勤務していた時、夏になると開業医の先生から何度か「点滴後にちょっと具合が悪い感じがするので診てもらえないか」という連絡がありました。そして、診察をすると、点滴による心不全ということがありました。話を聞くと、患者さんは「点滴をすると元気になる感じがするから、点滴をしてもらった」と言っていました。つまり、脱水がないのに点滴をしてもらい、逆に心不全になってしまっているということです。またその際、心機能などは一切調べていませんでした。重度の弁膜症のある患者さんにも、それらを考慮されずに点滴がなされていたケースもありました。
点滴も必要な人には非常に即効性のある治療になりますが、不要な人に投与をした場合は、心不全を悪化させかねない危険な治療になります。
点滴をすれば元気になるというのは、「脱水」などがあるケースに限られ、水分が十分取れているケースで外来の点滴で元気になるというのはあまりありません。
安易な点滴希望は避けた方が無難だと思います。まずは、経口で水分をしっかりと取ることが安全になります。どうしても経口で水分が取れない場合は、主治医の先生とよく相談して点滴をすることを決定してください。また、心臓が悪い患者さんでは、心臓の評価をしたのちに点滴をすることが望ましいと考えます。
 
当院では水分がしっかりと取れている患者さんについては、点滴をしてほしいという希望があってもお断りをする場合があります。それは安全を考慮しての判断になります。「元気になる気がする」というおまじない的、気分的な安心のために心不全になったら意味がありません。その時の状況をしっかりと聞いて判断することになります。

夏場の降圧剤・利尿剤

今年は梅雨がほとんど感じられないまま、夏に突入した感じですが、最近、高血圧で薬を飲んでいるんだけど、血圧が低くなってといって来院される患者さんが増えています。血圧は冬場より、夏場のほうが下がる傾向がありますので、冬に調整した薬の量を夏も飲んでいると、下がりすぎる場合があり得ます。もちろん、あまり変化のない方もいますが、特に高齢者などでは、夏場下がりすぎる場合があります。降圧剤として、また、むくみとりや心不全の治療として利尿剤などを飲んでいる場合も同様です。高齢者の場合、立ちくらみの悪化等で最悪の場合、意識がなくなってしまい転倒するリスクもあります。降圧剤や利尿剤を飲んでいて、どうも最近血圧が低い、立ちくらみが悪化しているなどがありましたら、主治医に相談してください。時々、当院初診で来院され、「降圧剤は3ヶ月分もらっているので、次に主治医のところに受診するのは9月半ばです」という患者さんもいますが、これだと夏場の血圧の変動が起こる時期にチェックが入らずに、結果、下がりすぎてしまう可能性も否定はできません。もし、症状が強い場合は、予約がまだ先であっても、途中で主治医の診察を受けて薬を調整してもらうことも検討ください。

風邪について

最近、気温差もあり、風邪患者さんが少なくありません。冬場に比べれば少ないですが、この時期としては、それなりに患者さんが受診されています。高熱が出る患者さんもいますが、だらだらと咳や痰が続いていて、体がだるくてという患者さんも少なくありません。また、なかなか治らないと言って受診される方がいらっしゃいます。
ただ、なかなか治らない患者さんに共通しているのが、「休めない」という点です。それが職場であったり、学校(特に部活)であったりします。「どうしても仕事が休めずに仕事に行って、夜まで働いている。自分が休むと仕事が回らない」という方もいらっしゃいますし、「来週の日曜日に大会があるからどうしても部活が休めない」という中学生も来ます。ただ、いずれの場合も、「薬はあくまでもサポートであり、風邪を治す基本は自分の免疫です」と説明をさせていただいています。抗生剤を飲んだから、治るわけではないということです。風邪の際の細菌感染時の抗生剤は、あくまでサポートにはなるケースもありますが、基本治すのは自分の免疫です。免疫力が低下した状態では、風邪はなかなか治りません。風邪をひいているのに、寝不足になりながら仕事をしたり、風邪をひいているのに毎日走り込みをしていたら、やはり風邪は治りません。風邪をひいた際には、しっかりと休養をとることが最も早く治る方法であると考えられます。当院を受診された方にお願いしているのは、仕事や部活も大事なのはわかりますが、だらだら長くつらいおもいをするなら、2-3日しっかりと休養をして休んで、それから働いた方が効率的ですので、休んでくださいということをお伝えしています。ストレスも免疫に影響を与えますので、具合が悪いのに、頑張りすぎるとストレスは溜まりますから、なおさら風邪は治りません。
風邪をひいたら、まずはしっかりと休養をとることをお勧めします。受診をしていただき、状況により抗生剤等を処方させていただきます。

アニサキスについて

最近、釣りをしている方の家族が、家族が釣って来た魚を刺身で食べて、夜になったら胃痛が始まったと言って、 来院されるケースが増えています。今年特に多くなてている印象があります。当院が海に近いところにあり、釣りをされる方が大勢いらっしゃるということも無関係ではないと思いますが、胃痛の原因がアニサキスであることが少なくありません。
胃痛の程度も冷や汗をかいて我慢できなくてこられるケースもあれば、 まあ、痛いけど、我慢できるくらいという方もいらっしゃいます。しかしいずれのケースでも、周期的に痛みが襲ってくるという点では一致しています。
 
症状がある場合は、早めに受診し相談ください。基本的には、胃カメラを行い、虫体を確認し、除去することが治療になります。治療自体は、3割負担で1万円を少し超える程度の金額になります。
 
なお、予防としては、生食を避けること、あるいは加熱後に食べる(60℃で1分以上)ことが確実な予防法です。または、-20℃で24時間凍らせるとアニサキスは感染性を失うと言われています。あとは、これ以外では、新鮮なうちに魚介類の内臓を摘出することも感染予防にはなると言われています。内臓に寄生する虫体が魚が死んだ後、筋肉に移行することもあります。なお、醤油、わさび、酢で締める程度では、虫体は死なないと言われています。十分に注意をしてください。

利尿剤について

利尿剤についての質問を受けることが多々あります。その一つは「飲み続けても大丈夫でしょうか?」というものです。そして、もう一つは「利尿剤を飲んだのに全然、むくみが取れない(効かない)んですけど」というものです。
 
まず一つ目の「飲み続けてもいいんでしょうか?」という質問に対しては、「必要なら飲み続ける必要がありますし、必要ない状態になればやめることも可能です」と説明をしています。利尿剤自体、様々な理由で飲んでもらうことがあります。心不全があるから、むくみがひどくなるから等が挙げられます。
心不全の原因として心筋梗塞や拡張型心筋症で心機能が非常に低下している場合、薬を減量・中止するリスクが大きくなると判断されるケースにおいては、症状が安定していても、内服を続けてもらうことが多いと言えると思います。絶対ではありませんが、飲み続けてもらうことが多くあります。一方で、軽度心不全がベースにあるけど、なんらかの理由(風邪等)により、一時的に悪化した場合などは、利尿剤を強く(増量)し対応しますが、改善が得られた時点で中止をすることもあります。
また、 本当は飲み続けて欲しいけど、利尿剤による副作用が出た場合などは、減量・中止する場合もあります。腎機能の悪化や電解質異常などが該当します。
そのため、飲み続けてもいいか?というよりは「副作用のリスクを押してまで飲まなければならないのか?」ということに対する回答になります。理由もなく飲むということは絶対にありませんが、元々持っている持病とそれに伴うリスクと薬の持っている副作用の兼ね合いによって飲み続けざるを得ないということになります。
細かいところは主治医にしっかりと聞くことが望ましいと思います。通常は、診察、心臓の超音波検査、心電図、採血などをして心不全や腎不全の状態を確認して継続、減量、中止を判断することになります。
 
もう一つの「利尿剤を飲んだのに全然、むくみが取れない(効かない)んですけど」については、むくみには原因があります。心不全、腎不全、塩分の取りすぎ等々が挙げられます。
当院では心不全患者さんの割合が多い為、心臓が悪い為に浮腫むケースが多いのですが、特に高齢者で多いのは、塩分の制限ができていない場合に起こりやすいと考えています。もともと毎食味噌汁と漬物を食べているようなケースでは、利尿剤を飲んでも効果が得られないケースが多々あります。尿から水分と塩分排出をすることにより、体内の塩分を減らし、むくみを取りますが、薬が排出できる塩分以上に塩分を取れば(塩分が多いと水分も多く取るので)、当然ですがむくみは改善しません。そのため、多くのケースでは、味噌汁、漬物禁止(もしくは減量)等の指示+利尿剤ということになります。
塩分摂取を全く控えずに利尿剤だけで改善というのは、特に高齢者では効果が得られないケースがあると考えています。もし、利尿剤を飲んでむくみが全然取れない場合は、日頃の塩分摂取を減らしてください。それでもむくみが改善しないケースでは、むしろ別の原因(深部静脈血栓症、リンパ浮腫)も考えられてきますので、主治医とよく相談してください。

または、このようなものです。

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冬場の高血圧症

今年は雪も多く、寒い日が多くなっています。そのためか、1月の中頃から、血圧が急に上がって来たといって来院される患者さんがいます。実際に、受診された時の血圧は160〜180mmHg前後になっています。
健康診断等では、今までこんなに高くなったことはないという患者さんが大半です。そのため、心配になり来院されているのだと思います。
寒くなると、末梢血管が収縮して体温を逃しにくくするため、血圧が上がる傾向になります。生理的反応であり、異常なことではありませんが、その血圧の上昇の程度が大きければ、治療を要するかどうか検討が必要になります。
受診の際に、受診する数日前から、朝晩の血圧をつけて持って来ていただけると、治療方針が決め易くなり非常に助かります。内服する薬やそのタイミングを見つけやすくなるからです。
また、冬場、血圧が上がることは心配だけど、薬を飲み続けるのは嫌だといって、受診しない患者さんもいますが、統計を取ると、冬場の脳出血は10月〜3月までが多く、4月〜9月まで少ないというデータもあります。6,7,8月と11,12,1月を比較すると、冬場の方が1.5倍くらい発症数が増えているというデータもあります。その一人にならないためには、まずは薬で対応することが望ましいと考えています。
全員ではありませんが、夏場は薬をやめられる患者さんも存在します。冬場のみ血圧の薬を飲むという患者さんもいますので、安全を考え、冬場の血圧だけが高い場合も、まずは医療機関を受診し、相談していただければと思います。自分の血圧は冬場だけしか高くないから大丈夫と考えずに、高い時期だけは下げておこうかと考えて行動していただければと思います。

認知症と水分摂取と心不全について

先日のテレビ番組で水分を1500ml摂取すると、認知症は寄り付かないというニュアンスのテレビをやっていました。真実のほどは僕には肯定も否定もできる材料はありません。そのため、水分摂取と認知症についてのコメントは避けますが、もしこれが効果があると考えたご家族がいた場合、すぐに実践するのではなく、まずは主治医に相談してください。身長体重にもよりますし、また、持病で心臓や腎臓が悪い場合、病状を悪化させる可能性が否定できません。病状悪化により、入院した場合、もともと認知症がある場合は、入院により大幅に認知症を進行させてしまう可能性もあり、水を飲ませたことにより帰って悪くしてしまったということになりかねません。
テレビ番組ですので、細かい患者さんの持病についてまで、コメントはありません。水分を取ること自体を否定はしませんが、テレビが毎回100%正しいわけではありません。そのため、まずは主治医に自分や家族の病状から、水分をもうちょっと増やして飲んでもいいかどうか、確認してから行ってください。
 その方がはるかに安全です。

抗生剤の適正使用について

抗生剤の使用が多く、最近になり、国が積極的に抗生剤の適正使用についてアナウンスをしています。実際、抗生剤の使用量が多く、耐性菌(抗生剤が効かなくなった菌)が増えているのは事実で、これは世界的に問題になっています。
当院でも、風邪で受診された患者さんの中に「抗生剤をください」と言われる患者さんがいますが、抗生剤は「細菌感染」に対してのみ有効であり、ウイルスに対しては無効です。そして、ウイルス感染の患者さんに抗生剤をだすことは、有害ですらあります。そのため、患者さんの症状を見ながら、抗生剤が必要なのか、不要なのか判断することになります。 厚生労働省健康局結核感染症課が出している抗微生物薬適正使用の手引きの中の一部を抜粋すると、
1)感冒に対しては、「抗菌薬投与を行わないことを推奨する」となっています。
 
2)急性副鼻腔炎についても、「・成人では、軽症(※1)の急性鼻副鼻腔炎に対しては、抗菌薬投与を行わない ことを推奨する。・成人では、中等症又は重症(※1)の急性鼻副鼻腔炎に対してのみ、以下の抗 菌薬投与を検討することを推奨する。(成人における基本)アモキシシリン水和物内服 5~7 日間 投与」となっていて、鼻水が少し出る程度では抗生剤は不要ということになっています。
 
3)急性咽頭炎 については、「・迅速抗原検査又は培養検査で A 群β溶血性連鎖球菌(GAS)が検出されてい ない急性咽頭炎に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。・迅速抗原検査又は培養検査で GAS が検出された急性咽頭炎に対して抗菌薬 を投与する場合には、以下の抗菌薬投与を検討することを推奨する。(成人・小児における基本)アモキシシリン水和物内服 10 日間 」となっています。これも簡単には抗生剤は使用しません。
 
4)急性気管支炎 については、「・慢性呼吸器疾患等の基礎疾患や合併症のない成人の急性気管支炎(百日咳 を除く)に対しては、抗菌薬投与を行わないことを推奨する。」となっています。
 
以上のように、抗生剤は簡単には使わない方向になっています。先ほども書きましたが、これは世界的な流れといえ、抗生剤を使用することにより、尿や便から抗生剤が出てしまうため、下水には流れ込みますので、これも耐性菌の原因となり得ると考えられています。もっともこれは人間だけではなく、家畜等にも抗生剤が使われていることも問題ではあります。
 
あと重要なことは、勝手に飲み方を変えないと言うことです。抗生剤については、しっかりと原因菌を殺すということが望まれます。そのため、十分な量の抗生剤を短期間しっかりと内服することが必要です。そのため勝手に飲み方を変えて、だらだらと少量の抗生剤を飲むことは、特定の病気を除き「害」でしかありません。処方された抗生剤は決められた通りにしっかりと飲むことが必要です。
 
ただし、患者さんの持っている病気、バックグラウンドによっては、抗生剤を出すこともあり、抗生剤をだすから間違っていると言うことではありません。慢性閉塞性肺疾患を持っていたり、他の疾患、癌を持っていたり、また、HIVなどがある場合は、必ずしもこの限りではありません。しかし、普通の元気な患者さんでは、上記のような抗生剤の使用が過剰にならないようにする必要はあると考えています。

減塩について

最近のテレビにて減塩についてやっていました。しかし、その番組内での発言については、かなりいい加減なものが多いと言えます。その一つに減塩は意味がないというものです。しかし、実際には、1日分の塩分量を6.35g未満に減塩した心臓病患者としなかった心臓病患者では、減塩した方が死亡率が高かったというデータなのですが、さらにその中では、心臓病患者の重症度についても言及されているのです。元論文では心臓病といっても「NYHA分類II/III」という条件があります。これはどういうものかというと、
 
NYHA II:心疾患があり、身体活動が軽度に制約されるもの;安静時または軽労作時には障害がないが、日常労作のうち、比較的強い労作(例えば、階段上昇、坂道歩行など)によって、上記の愁訴が発言するもの。
NYHA III:心疾患があり、身体活動が著しく制約されるもの;
安静時には愁訴はないが、比較的軽い日常労作でも、上記の主訴が出現するもの。
 
という分類です。つまり、普通の一般の高血圧患者さんには該当しない状態を指しています。この条件をもってして、減塩は意味がないという結論を導きだすのは無理があります。また、塩分量6.35gという数字です。極端な減塩はホームページの中でも述べていますが、心不全患者さんでは利尿剤が入っていることが多いため、低Na血症のリスクを増やしますので、あまりいいとは思えませんが、一般の高血圧患者さんが減塩をしても問題にはなりません。まして、日本人で6.35g/日以下の減塩はほぼ不可能です。つまり、6.35gまでの減塩がそもそもできないくらいの減塩であるにも関わらず、それを元に減塩は意味がないという結論に結びつけるのは無理があるのです。
 
テレビという公共放送が発言する内容としては非常にお粗末と言えると考えます。
仮にこれで減塩をやめて、脳出血等を起こしても、テレビは責任をとってはくれません。間違ったテレビの情報に惑わされずに、主治医と話をして、治療方針は決めてください。

睡眠時無呼吸2

最近、睡眠時無呼吸症候群の検査にて重症と判定される患者さんが増えています。特になかなか高血圧が治らない、糖尿病がよくならないという場合は、睡眠時無呼吸症候群により、それらの病状が悪化しているケースがあります。特に朝の血圧が高く、朝起きると頭痛がするという場合などは、注意が必要です。
当院で検査をされた患者さんには以下のような検査結果をお渡ししております。これによりCPAPを導入するかどうかを検討することになります。

2017-18年インフルエンザについて

2017-18年度、インフルエンザは始まっています。東京では、すでに学級閉鎖が発生しています。また、新潟でもインフルエンザ感染が始まっています。流行する勢いではありませんが、単発的に出てきています。現在、南半球ではインフルエンザが流行している地区がありますので、そこを訪れた人たちからの感染の可能性もあります。
沖縄などでは7月でもインフルエンザは発生していますので、高熱等が続く場合は、9月であっても医療機関における検査も検討ください。
 
なお、今年度は10月末くらいからインフルエンザワクチン接種を検討しております。

熱中症:気温と湿度の関係

新潟市内も最近は暑い日も続き、また湿度も上がってきています。そんな中、軽度熱中症と考えられる患者さんも受診されています。気温が30度にも満たないので熱中症は大丈夫だろうと考えていると、決してそんなことはありません。熱中症は気温と相対湿度によって影響されます。湿度が高ければ低い気温でも熱中症のリスクは上がります。が高くて湿度が高ければ熱中症のリスクは当然が上がりますし、気温が低くて湿度も低ければ、熱中症のリスクは下がります。しかし、気温が30℃にとどかなくても、湿度が高い場合は、リスクが高くなります。
 
初期症状は、めまい、立ちくらみなどがあります。その後、頭痛、体のだるさなどが出る場合があります。そして、筋肉痙攣、嘔気、嘔吐などに移行します。そして、さらに悪化すれば、意識障害等に発展し、最悪死亡する場合があります。
外仕事の多い人では、水分摂取を職場の管理者が強く求めるため、水分はしっかりと取っている場合が多いですが、空調のない室内で作業をする場合、直射日光が当たらないため、大丈夫と思っていると、上記表からもわかるように、気温と湿度が同時に上がるため、注意が必要です。外の場合は風があるため、実は汗が気化しやすいというメリットがある場合もありますが、室内の場合は、風がないため、気化しにくくなりますので、よりリスクが高いとも言えます。
空調のないところで作業をされる方達は、めまい、立ちくらみ、頭痛などがで始めたら、すぐにその場から涼しいところに移動し、水分を摂取し、休んでください。無理をすると、非常に危なくなります。
 
また、高齢者の場合も、室内で熱中症になることは少なくありません。
当院でも、高齢者の方には、できる限り1日中、エアコンを28℃でいいので、付けっ放しにしてくださいとお願いをしています。
 
10月くらいまでは熱中症のリスクがありますので、十分注意をして生活をしてください。
 

単純疱疹、帯状疱疹

ここ数日は雨が降っていますが、その前までは非常に暑い日が続きました。そして、暑い日が続いている最中、単純疱疹、帯状疱疹の患者さんが複数、受診されました。患者さんは黒々と日に焼け、健康そうに見えるのですが、単純疱疹、帯状疱疹が来られました。
今までも、免疫力が低下すると発症しやすいというのは説明をして来ましたが、調べてみると、強い紫外線による日焼けによっても、単純疱疹、帯状疱疹になりやすいという記述があります。特に、口唇などのヘルペスは、日焼けが大敵のようです。
 
釣りや趣味で農園などをされている人が多くいらっしゃいますが、紫外線対策をあまりせずに朝から日に焼けて頑張っていると、単純疱疹、帯状疱疹のリスクが高くなる可能性がありますので、紫外線対策をしっかりとして、日焼けに気をつけて生活をしてください。特に70歳前後の男性に多い気がします。体力は年々落ちますので、気持ちは若くても、肉体は老化しますので、くれぐれも過信せず、日焼け対策は十分にしてください。
 
追加
現在、帯状疱疹を繰り返す患者さんへの水痘ワクチン接種をしております。50歳以上で任意接種となりますが、帯状疱疹を繰り返す場合は、帯状疱疹が収まっている時に、ワクチン接種をすることにより、帯状疱疹の回数を減らせるというデータもあります。当院でも、数人行なっていますが、帯状疱疹の再発の回数は減らせているケースが多いです。もし、帯状疱疹を繰り返す場合、水痘ワクチン接種を希望される場合は、ご相談ください。

夏場の利尿剤

最近、非常に暑い日が続いています。そして、利尿剤を内服している患者さんから、夏場の利尿剤について質問を受ける場合があります。
夏場は、汗をかき、脱水に気をつけるように言われ、水分をとるように言われる一方で、利尿剤は飲むということに違和感を感じる患者さん・家族がいらっしゃるということだと思います。
利尿剤を飲む理由にもよりますので、基本は主治医とよく相談をしてもらうことが必要になりますが、私が診察をしている患者さんから質問をされた際は、基本は継続をして飲んでくださいと説明をしています。
その理由としては、当院で利尿剤を飲む患者さんの多くは高齢者であり、日中外に出て、汗をダラダラとかくようなことをしていない患者さんが大半を占めます。そして、利尿剤にてバランスが取れている状態を崩すことの方がリスクが大きいと判断される場合が多いため、結果として、継続をしてもらうケースが増えます。
ただし、脱水傾向にある場合、電解質が異常を来たし始めているケースなどでは、利尿剤を減量・中止する場合もあります。その判断は主治医の考え方、また病態によるため、利尿剤を飲んでいる疾患で、一概に決められるものではありません。利尿剤を飲むと具合が悪い等、気になる場合は、利尿剤を自己中断せずに、早めに主治医に相談をすることをお勧めします。
テレビ番組等で様々な情報が流れますが、多くの場合、元気な人を対象に番組が作られています。もしくは特定の疾患をメインで作られていますが、高齢になると様々な病気を持ち合わせているケースが多いため、テレビ番組の情報が当てはまらないケースが少なくありません。
全身状態を把握している主治医に相談することがもっとも安全な方法だと思いま

睡眠時無呼吸症候群

最近、睡眠時無呼吸症候群を疑う患者さんが増えています。朝の血圧が高血圧の薬を飲んでも良くならないと理由で受診され、問診をすると、睡眠時無呼吸症候群を疑うような夜間のいびきや呼吸停止を家族から指摘されているケースが散見されます。特に、朝起きると頭が痛い、朝の血圧が異常に高い、朝起きると喉がカラカラに乾いていて、疲れが取れないなどの症状が疑う症状と言えると思います。
また、日中の眠気が強く、昼間に車を運転していると強い睡魔に襲われる等ありましたら、遠慮せずにご相談ください。機器を貸し出します。そして、自宅に持って帰ってもらい、夜寝る前に鼻のところの空気の流れを見るチューブをつけ、その後、指先に酸素飽和度を測る機器をつけて寝てもらいます。翌日外して持ってきてもらうだけです。持ってきていただくと、約10-15分程度で結果がでて説明が可能です。
費用は、新患の患者さんで検査のみなら、1割負担の患者さんなら、1,180円、3割負担の患者さんなら、3,540円になります。
 
 
治療方法などは様々なありますが、いびきをおこしにくくする体位を取るようにして寝るという方法もあります。また、CPAPという機器を使ったり、マウスピースを使うなどの方法もあります。体位を変えて寝る方法がもっとも簡単ですので、その日の夜からできる方法になります。詳しくは、結果を見てから、重症度等を判断して説明します。

胸部の違和感(胸痛、動悸、圧迫感)

4月に入ってから、胸部症状を主訴に受診される患者さんが多くなっています。主な症状は、「胸痛」「動悸」「胸部圧迫感」「胸部違和感」です。ただ、すべての患者さんで確定診断ができるわけではありません。診察時に、症状がある場合は、診断までたどり着けるケースもありますが、診察時に症状がない場合は、診断までたどり着けないケースもあります。
 
可能であれば、症状が出ている時に受診をされることをお勧めします。ただ、症状が一瞬である場合や、数分で改善してしまう場合は仕方がありませんので、普通に受診してください。
 
胸痛がある場合、考えられる診断は、「狭心症」「異型狭心症」「心筋梗塞」などが考えられますが、人によっては、「不整脈」でも「胸痛」を自覚する場合があります。なので、胸痛=狭心症という判断にはなりません。あくまで、狭心症は、原因疾患の一候補ということになります。
逆に動悸を訴えてきたケースであっても、実は動悸の原因が狭心症にあった場合もあります。特に異型狭心症では、発作が出るタイミングで不整脈も出てしまう、胸痛もあるが動悸の方を強く感じるというケースもあります。なので、動悸だから狭心症はないということにもなりえません。
 
胸部症状は複雑であり、判断に迷うものも多くあります。症状だけで確定診断を得ることは、個人的にはかなり難しいと考えています。必要な検査をした上で、リスクを判断し、その後、さらに病院レベルの検査を依頼するか、クリニックレベルで治療が可能かを判断します。この判断は、循環器を専門にしているDrの方がはるかに安全です(当たり前ですが)。心臓を疑った場合は、循環器専門医の受診を強くお勧めします。

怒りやすくなったおじいちゃん

最近、おじいちゃんが怒りやすくなったという訴えをきく回数が増えました。僕自身は、おじいちゃんを見ていない場合でも、受診にきたおばあちゃんからそういう訴えを聞くことがありますし、おばあちゃんではなく、娘さん、お嫁さんからもそういうことを聴くこともあります。そして、最近、そういう訴えを聞く回数が増えている印象があります。
 その際、ご家族がいう言葉は、「じいちゃん、ぼけてきたのかしら?」です。確かに、認知症になって怒りやすさ(易怒性)が上がる場合は多々あります。しかし、認知症になる=易怒性が亢進するではないと僕は思っています。認知症になると、怒りたくなる状況(場面)が増えるからだと思っています。
ちょっとわかりにくいと思いますが、なぜ人が怒るのか?と考えた時に、自分の主張が通らない時、自分の考えが理解されない時、自分の考えを否定された時、などなど様々なケースがありますが、いずれも自分自身(もしくは自分の意見が)が否定されたと感じる時に多く見られます。自分の主張がそのまま受け入れられ怒ることはあまりありません。自分の意見が受け入れられ怒る場合は、またちょっとちがった病気を疑いたくなります。
 
以下に僕が見ているおじいちゃんが怒りやすくなったといって、相談にきたケースを提示してみます。
 
ケース1
 
僕が見ている夫婦の場合ですが、おじいちゃんが話をしようとすると、話の途中なのに、おばあちゃんが話をかぶせてきて、おじいちゃんが言いたいことを言う前に、自分が全てを話し、おばあちゃんの意見のはずがおじちゃんの意見になってしまう場合や、そもそもおじいちゃんに話をさせないケースなどがあります。明らかにおじいちゃんが不機嫌になるのがわかります。こういうケースでは、おばあちゃんは「おじいちゃんが話をしてもわかりにくいだろうし、自分が説明したほうが医師にもわかりやすいだろうから、代わりに説明をしてあげるんだ」という感覚だと思います。それについてはこちらもその通りと思うこともありますが、おじいちゃんからすると、「余計な御世話」であり、おじいちゃん自身を否定されたと感じることがあります。そのため、僕は、おばあちゃんの話を遮り、おじいちゃんに最後まで話をしてもらうこともあります。また、おじいちゃんが話をしていると、おばあちゃんが「違うでしょう」といって介入してくるケースもありますが、その際も「まずはおじいちゃんの話を聞いてください」といって、介入しないでもらいます。そうすると、おじいちゃんは自分の意見を最後までいって伝られたことに満足をするケースが見られます。おばあちゃんがいない時におじいちゃんと話をすると「あいつがいると俺が言おうとしていることを遮って、何も話せないんだ!!」って怒っていました。気持ちもわからなくはありません。
つまり、おじいちゃんが怒りたくなる場面をおばあちゃんが作ってしまっていたケースです。そういう場合は、おばあちゃんが変わらないと、おじいちゃんの怒りやすさは変わりません。もちろん、おばあちゃんにも言い分はあって、「話が長い」「同じことを何度も言うからいらいらする」など、理解できることは理解できるのですが、お互いに妥協点を見つけないといつまでたってもおじいちゃんの怒りやすさは変わりません。そのため、おばあちゃんに協力をお願いするケースがあります。
 
ケース2
 
これはおじいちゃんが認知症である場合です。
これもおじいちゃんの意見を言う前におばあちゃんが話をしてしまうケースもありますが、それ以上に多いのが、おじいちゃんが何度も同じことを言うから、イライラしてしまい、おばあちゃんが怒ってしまうケースです。そしておばあちゃんが怒るからおじいちゃんも怒ってしまうのだと思います。
おじいちゃんからすると、認知症もあり、さっき話したことを忘れてしまいます。つまり、おじいちゃんにとっては、その前に何度話しをしていても、1回目の会話ということになります。しかし、おばあちゃんに認知症がないと「その話し何度も聞いたよ!!」ていう思いがあるため、おばあちゃんが「さっき聞いたら、もういいから!」っておじいちゃんの話しを遮ってしまいます。すると、おじいちゃんからすると「話しを聞いてもらえない上に、怒られる」となってしまい、そのまま話しをしなくなるおじいちゃんと、怒りに変わるおじいちゃんがいます。それは元々持っている性格によるのかもしれません。
この場合も、認知症のあるおじいちゃんに改善方法はありません。薬を飲めば多少改善する可能性も否定はしませんが、同じことを繰り返し言うことを0にすることは不可能であると思います。となると、おじいちゃんは変えられないので、周りが変わるしかありません。おじいちゃんが同じことを何度言ってきても「そうだね〜。」と言って聞いてあげる姿勢を周り(おばあちゃん)が持てるかどうかに、おじいちゃんが怒りやすくなるかどうかがかかっているといっても過言ではないかもしれません。
そして、何度もおじいちゃんが同じことを短時間で聞いてきた場合などは、やさしく「さっきも同じ話しを聞いたよ。心配ないから大丈夫だよ」と言ってあげれば、おじいちゃんは基本怒りません。また同じ話しをしてくるとは思いますが、その都度同じ対応をしてあげればおじいちゃんの「怒り」は避けられます。
ただ、この話しをとあるおばあちゃんにしたところ、「そんなことしていたら、こっちがストレスで倒れてしまう!!!」って怒られました(笑)。そうなると、二人で怒り続けるか、おじいちゃんを施設に預けるか、日中は毎日デイサービスに預けるか、薬を強く効かせてわけわからない感じにするかしかありません。
 
そのほかにもいろいろなケースがありますが、上記2つが最も多いケースだと思います。
ただいずれの場合も、おばあちゃんに我慢をしてもらうことは間違いありません。
一方で、おじいちゃんも好きで怒っているわけではありません。その気持ちを理解してあげ、周りがおばあちゃんも含めサポートしてあげ、高齢になってまで毎日怒っていたおじいちゃんではなく、笑顔で楽しそうに過ごしていたおじいちゃんという思い出を持てるようにしてほしいと思います。
 
もちろん、場合によっては、多少薬を使用する場合もあります。それは患者さんそれぞれの環境にもより、ケースバイケースであり、患者さん一人一人の環境まで考えた治療になります。
 
もし、おじいちゃんが怒りやすくなって困っている場合などは、かかりつけ医に相談してみると、家族だけで考えるより、いい解決法であったり、なんらかのちょっとした解決の糸口を見つけることができるかもしれません。

認知症患者さんの熱中症対策

これから暑くなる季節になります。その際、家族の中に認知症患者さんがいる場合、困ることがあります。それは、エアコンは嫌だと言ってスイッチを切る、扇風機の風が嫌いだと言って扇風機もつけない、窓を開けて空気が通るとそれが嫌だと言って窓を閉め切る。外気温が30度を超えていても、窓を閉めきり、扇風機もエアコンもつけずにその部屋にとどまり、その結果、熱中症になる場合があります。実際、病院で救急外来をやっていた時は、夏場、少なくない人数の高齢者が、救急車で運ばれてきました。そして、それはほぼ自宅の自分の部屋で熱中症になっていました。家族は仕事があるから、朝から仕事に行き、夜帰ってきてみると、部屋の電気が消えていて、おばあちゃんの部屋を覗いたら、倒れていて意識もなかったので搬送されてきたという患者さんが、何人もいました。家族に話を聞くと、おばあちゃんがエアコン嫌いで・・・というケースが殆どです。家族は、なんとか熱中症を防ごうとするのに、おばあちゃんが理解できず、かつ、エアコンを消すという作業は上手にできてしまうために、結果、熱中症になってしまっています。
 
実際、当院にも、高齢者と一緒に暮らしているご家族から、「おばあちゃんがエアコン嫌いで、エアコンを切ってしまって暑い中にずっといる」などと相談される場合もあります。そのため、できるアドバイスとしては、「エアコンをつけっぱなしにして、リモコンを隠しておばあちゃんがエアコンをいじられないようにしておくしかないと思います」と説明しています。エアコンの多くは、天井近くから電源をとっていますので、おばあちゃんがなかなか手の届かないところになりますし、リモコンがないと電源が落とせないからです。
 
多くのおばあちゃんは、それが嫌で違う部屋に移ったりしますが、そちらの部屋も対策を立てておけば、問題ありません。なにも25度に設定する必要は全くなく、28~9度で問題ないと思っています。28度設定にしておけば、涼しくなれば、今のエアコンは自動的に休止しますので、そこまで電気代もかからないと思います。
 
おばあちゃんが倒れて、救急車で運んで・・・という手間を考えれば、エアコンの電気代くらいは安いと僕は考えているので、患者さん家族にはそのように説明しています。
 
高齢者を日中、一人にしておく場合は、家のエアコンを全部28度か29度に設定して、暑くなればエアコンが入るようにしておくのも、高齢者の熱中症を防ぐ方法になると思います。
 
ただし、これのみで完璧に熱中症を防げるわけではありません。そのほか水分摂取ができる環境等も整えてあげてください。

胸が痛い

春先から胸が痛い、胸が痛いような違和感があるという患者さんが来られています。他院にて、心電図をとったけど、なんともないと言われたけど、やっぱり痛みが続いているといって来られる患者さんもいらっしゃいました。実際、胸の痛みがあり、24時間心電図(ホルター心電図)をしたところ、原因は不整脈でした。「不整脈=ドキドキする」という認識をお持ちの患者さんもいますが、不整脈でも「胸が痛い」と訴える患者さんはいらっしゃいます。また、話を聞いて胸ではなく、胃の痛みを疑い、胃カメラをしたら、胃潰瘍だったという患者さんもいます。いずれも主訴は「胸が痛い」でした。
 
胸が痛いというと心臓をすぐに思い浮かべたくなりますが、胸に痛みが来る原因は様々です。胸が痛いという言葉は、様々な疾患を疑う自覚症状とも言えます。
 
胸が痛いと感じることがあれば、まずは、緊急性を考え、心臓の重篤な疾患を除外する必要があります。心筋梗塞、狭心症、大動脈解離、不整脈などがあげられます。これらは心電図からわかる場合もありますが、心電図のみではわからない場合もあります。必要に応じて別の検査を追加する必要がある場合もあります。可能であれば、循環器専門医のところでの検査をお勧めをします。循環器専門医は、胸が痛いという症例を多く経験していますので、医師それぞれに診断をする際のポイントのようなものを持っている場合があり、「なんか変」「何か違和感がある」「なにか引っかかる」など、そういう心電図からでははっきりしないけど、「違和感を感じる」というそのちょっとしたところが重要だったりします。なので、まずは循環器専門医の受診をお勧めします。
 
また、何かをきっかけに痛みが出るような場合、例えば心窩部を押すとどうも痛い、違和感が強くなる、空腹時に胸が痛くなる、逆に食べ過ぎると痛くなるなどの場合は、消化器内科の疾患(胃潰瘍、逆流性食道炎)などを疑いますので、そういう場合は消化器内科専門医を受診される方が早く解決できる場合もあります。特に、みぞおちから胸に痛みがあり、かつ最近、便が黒っぽいという場合は、早めに消化器専門医へ受診をした方がいいと思われます。
 
他に胸が痛くなる原因として、肋間神経痛、帯状疱疹、肋骨骨折疑いなどの患者さんもいらっしゃいます。
 
近くに専門医がいないなどの場合は、とりあえずかかりつけ医や近くの診療所を受診されても、よろしいかと思います。
あまり我慢せずに、早めに受診した方がいい場合もありますので、遠慮せずに受診をしてください。

最近、おじいちゃんの元気がない

最近、かかりつけのおじいちゃんが定期受診より早く受診しました。主訴はなんとなくぼーっとして、元気がなく、食欲もない。でも話しかければ、答えはちゃんとしてくれ、変なことも言わない。でも、なんとなく元気がない。寝てばかりいる。とのことでした。この患者さんは当院かかりつけの患者さんでもともと心不全があり、「利尿剤」を使っていました。これは余分な水分を尿として排出するための薬です。正確にはナトリウムを尿の中にいれて排出する薬なのです。むくみや心臓が悪かったりすると処方する薬です。これをもう数年内服していました。また、心不全があるため、塩分をなるべく多く取らないようにも説明しました。
 
診察にて、思い浮かんだんのは、低ナトリウム血症でした。今までも注意をしてきたつもりではいたのですが、年齢を重ね、かつ食事量が落ちてきている場合、摂取するナトリウム量が減ります。摂取量が減っているのに利尿剤のナトリウムを出す力が同じだとすると、血中のナトリウムが減ってしまうということがあるのです。
そして、採血をすると案の定、低ナトリウム血症でした。幸い、家族も早めに連れてきてくれたこともあり、利尿剤をやめて、塩分制限を緩くしたのみで、すぐに回復してくれましたが、改めて高齢者の低ナトリウム血症には注意をしなければと思いました。
 
同じ薬をずっと飲んでいるから、薬の副作用は出ないと考えるのは間違いで、年齢を重ねれば、代謝も持ちますし、食事の摂取量も変わります。
このおじいちゃんには申し訳ないことをしましたが、もっと食事摂取量などを詳しく聴取し、また、具合の悪い時の薬の内服についてももう少し詳しく説明しておけばよかったなと反省しました。
 
もし、おじいちゃん、おばあちゃんなど、高齢者(老人)が最近どうもぼーっとしていて・・・という場合、早めに主治医にご相談ください。薬が変わっていなくても薬の副作用が出ることはありますので、主治医とよく相談することをお勧めします。低ナトリウム血症は採血をすればすぐにわかります。重度の低ナトリウム血症は命に関わることがありますので、注意が必要です。

心電図異常:完全右脚ブロックと完全左脚ブロック

昨年行った健康診断にて、D判定をうけたが、症状もないので放置していたが、会社に医師の診断を受けた診断書を出さないといけないので、書いて欲しいという患者さんが時々受診されます。高脂血症、高血圧、その他、様々な疾患で受診される患者さんがいらっしゃいます。そんな中、心電図異常で受診をされる患者さんが少なからずいます。ほぼ全員自覚症状はありません。そして、完全右脚ブロックという診断にて来院される患者さんと、完全左脚ブロックで来院される患者さんがいます。一見すると「右」と「左」の差でしかありません。しかし、意味合いは大きく違います。
 
最初に右脚ブロックから説明します。心臓のHis束という太い一本の索となって、心室中隔から下方に伸びて、前乳頭筋の基始部にて3本に枝分かれします。これを聞いてもなんのことかさっぱりわからない???という人が普通です。この辺りは、あまり気にされなくて結構です。そして、循環器内科医の場合、右脚ブロックの心電図を見ると、普通すぐに診断がつきます。そして、基本的に「大丈夫」と思います。というのも、他に異常がなければ、病的な意味合いはないと言われているからです。しかし、「基本的に」「他に異常がなければ」という点で、しっかりと問診が必要になりますし、その結果に応じて検査を要する場合があります。時々、高血圧や心筋梗塞などの他の合併症がある場合もあります。そのため当院では右脚ブロックの患者さんでも必要に応じて、検査をする場合があります。ただし、問診等にて全く異常がない場合、心電図にて、右脚ブロックのみの場合など、様々な場合がありますので、一概にどういう検査をします!ということはできません。
 
一方、左脚ブロックについてはどうでしょうか?
これも一応、説明しますが、左脚は、His束から別れて、心室中隔を横切り、左室中隔の心内膜下を左室全体に広がります。やはりこれも何を言っているかさっぱりわからないと思います。
ただし、左脚ブロックの場合、右脚ブロックとは異なり、それがあれば何かしらの病的な心臓を意味するといわれています。狭心症、心筋梗塞、高血圧等々。なので、検査が必須となります。通常は心臓超音波検査にて器質的な疾患がないことを確認します。それでもはっきりと原因がわからない場合があります。その時点ではわからなくても、後々何かしらの症状や所見が出てくる場合もあります。そのため、半年〜1年に一回程度の検査をお勧めすることがあります。また何か、普段と違った自覚症状があれば、受診してもらい、必要に応じて、さらに検査を必要とする場合があります。
心電図異常で自覚症状がないから、そのまま放置という考えはせずに、一度受診し、しっかりと精査を受けることをお勧めします。

「便秘と逆流性食道炎」「便秘と不整脈」

以前、便秘については述べていますので、下段をごらんください(もしくは左の内容から便秘を選択してください)。
最近、便秘の方が増えてきて、便秘と共に様々な症状を感じている方がいらっしゃいます。高度便秘と合併したのは、逆流性食道炎です。正確には、逆流性食道炎がどうしても良くならない、いくら、薬を飲んでも、治らないということで来院されました。話をよく聞くと、その患者さんは非常に強い便秘があり、1週間くらいでないのは当たり前ということでした。診察・検査をしてみると、便が大量にあることがわかり、話を聞く上で、便秘の状況と逆流性食道炎の症状に相関があるようでした。ご本人は全く関係ないと考えていたようですが、話を進めるうちに、そういえば・・・となんとなく、相関があるような気がすると気がつきました。そのため、逆流性食道炎の薬は、そのまま継続してもらい、便秘の改善をメインに治療を開始しました。すると、便秘の解消と共に、逆流性食道炎の症状は改善。全く症状が消失とはいかないまでも、胸焼けの回数は減りました。
あとは、便秘と不整脈を訴える患者さんも来ることがあります。この場合、便秘だから不整脈になっているのか、それとも、不整脈が出るような自律神経機能の異常があるために、結果、便秘も併発をしているのかわからない場合もあります。自律神経機能の異常にて、便秘となる場合があります。
通常、副交感神経の低下が起こると、便秘になると言われています。これは相対的に交感神経が優位になっているとの言えます。そうなると、不整脈が起こりやすい状況になる場合があります。そのため、便秘になると不整脈がでると感じる方がいらっしゃいますが、実は、同時に起こっている可能性もあります。たまたま、副交感神経の活動低下が、結果的に便秘と不整脈を同時に作り出しているということになります。そのため、自律神経系の治療をされると改善する場合がありますが、自律神経系の治療はなかなか難しく、薬を飲んだら、すぐに治りますとはなりません。生活の中のストレスや様々な生活習慣の改善を要する場合もあります。
 
もし、これらの症状で困っている場合は相談ください。

便秘

以前、便秘については述べていますので、下段をごらんください(もしくは左の内容から便秘を選択してください)。
今回は追記となります。便秘にて受診された患者さんの中に、便秘が一度解消されると、そのまま何もせずに様子を見る患者さんがいらっしゃいます。もちろん、一過性の便秘であれば、それで全然問題ないのですが、習慣性便秘であるにもかかわらず、良くなると治療を中止、そして、また、「すごく悪く」なると受診という患者さんがいらっしゃいます。確かに、薬という点では、悪い時に飲んで、良くなったらやめるというのは、理にかなっているともいえますが、実際には、腸内環境、細菌が同じままで、同じ生活をしていれば、ほぼ100%また慢性便秘は再発します。そのため、できることなら、しばらく便秘の薬を継続し、徐々に薬を減量していったほうが、便秘の再発を防げるケースが散見されています。全員ではありませんし、減量したらまた悪化するケースもあります。下剤を使いながら、同時に、乳酸菌などを含む薬を用いて、腸内環境を整えつつ、便秘の薬を減量ということもあります。便秘にて治療を受けている患者さんで、良くなったら通院を中止してしまうとまた、すぐに、もしくはしばらくすると再発する場合、一度、主治医と相談して、腸内環境を整えるようにすることをお勧めします。当院での話になりますが、便秘でこられた患者さんには2週間単位で薬の調整を行い、薬を飲まなくても良くなる場合、約2-3ヶ月ほどかかるケースが多いです。ただし、慢性便秘の場合、結果的に、乳酸菌製剤やマグミットなどの腸内の水分を多くする薬のを内服を継続する場合が多いです。
もし、便秘でお困りの方がいらっしゃれば、ご相談ください。

心の疲労

最近、暑さもありますが、体力的にも疲れ、心も疲れている患者さんをしばしば見かけます。「普段、風邪なんて引かないのに、体がだるくて、そして、どうもやる気が出ない。」という患者さん。でも、話を聞くと、皆さん、頑張って働いている人たちが多いです。なので、体力的な疲れと同時に、心も疲れてきているのかもしれません。土日もなく働いていますという人もいます。早朝から夜まで働いて・・・とか、朝は普通だけど、夜中まで働きづめで・・・という人もいます。そして、眠られないので、睡眠薬が欲しいですという患者さんも増えています。
正直、内科では、心の疲労を回復させることは難しいと感じることが多くあります。睡眠薬については、一般的な薬であれば処方はできますので、通常は2週間分程度処方して様子を見てもらうことになります。眠られると、心の疲労が回復する人も少なくありませんが、全員が回復するわけではありません。なので、改善が得られずに2回目の受診の時に、「ゆっくり休んでくださいね」と伝えると、ほぼ全員が笑います。そして、「それができればいいんですけどね~」と。皆さん、自分をかなり追い詰めて仕事をされているような印象を受けます。日本人の有給休暇取得率は、50%前後と言われています。これは大企業の取得率がいいことが原因で、中小企業であ、40-45%程度と言われています。建設業などの人手不足のところなどでは、40%程度と言われています。使いきれていない有給休暇を上手に使いながら、心の健康も保って欲しいと思います。心の疲労が体の何らかの症状として出てしまうケースも多々有ります。もし、気になることがあれば、かかりつけの医師や主治医に相談してみてください。もしかしたらかかりつけ医や主治医がちょっと嫌な顔をされるケースもあるかもしれません。しかし、かかりつけの医師ですので、何かしらの方向性を示してくれると思います。もしかしたら、心療内科を勧められるかもしれません。しかし、それはそれで一つの改善のための方法ですので、一人で我慢せず、早めにかかりつけ医や主治医に相談してみてください。

高齢者の脱水・熱中症

新潟市内も暑い日が続いています。往診先などで、高齢者が一人で部屋にいるところへお邪魔すると、入った瞬間に「モワッ」とした空気を感じることが少なくありません。体感温度で28-30度くらいの部屋にいることが多いです。長袖を着ているケースもあります。そして、「暑くないの?」ときくと「寒くて」と答える患者さんもいます。今までの経験上、寒いと感じていることは事実だと思いますが、それはあくまで「脳が感じる感覚」の問題であり、実際には、体自体は「暑い」という反応を示していることが多いです。一見すると汗もかいていないし、大丈夫かな?と思うことがありますが、危険な場合もあります。それはもう汗も出ない状態になっているという可能性が否定できないのです。年をとると、寒さには非常に弱くなりますが、暑いことに対してはあまり感じなくなります。その結果、暑い部屋にいても、寒いと感じ、長袖のシャツを着て、じっとしている。そして、暑くないから、水分もとらない。結果、脱水になるというケースが少なくありません。なので、本人が寒いからという言葉をそのまま信じてしまうと、じわじわ脱水が進み、数日かけて脱水になり、朝起きたら具合が悪いというケースもあります。
以前、病院で救急外来をやっていた時、夕方6時頃、80歳代のおばあちゃんが心肺停止にて緊急搬送されてきました。その際、息子さんも一緒でしたが、朝出かける時、母親は部屋にいて、部屋を閉め切っていたので、エアコンをつけて仕事に出たけど、帰ってきたら、母親が部屋で倒れていたため、救急車で搬送したと言っていました。ただ、帰ってきた時、部屋の窓は全部締まり、カーテンも締まり、エアコンも切られていて、ものすごい暑さの部屋だったと言っていました。残念ながら、搬送された時点ですでに心肺停止でしたので、そのまま死亡確認となってしまいました。その際、息子さんは「あんなに暑い部屋に居て、暑いって気がつかないんですか?40度を超えるような部屋ですよ?」と言っていました。40度を超える部屋にいながらも、自ら、エアコンを切って、暑い部屋に居ようとする。そして、よく話を聞くと、実はそれ以前にも同じことはあったようでした。部屋のエアコンをつけると、すぐに切る、じゃあ、エアコンが嫌いなら、と窓を開けると、すぐに締める。それなら扇風機で風をとつけるとすぐに消してしまう。こういうことが、実際に、高齢者ではみられます。認知症があるからという場合もありますが、一見、そんな認知症っぽく見えない場合でも起こります。
高齢者ではこのようにして脱水になり自宅で倒れるケースが決して少なくありません。高齢者がいる場合、本人がちょうどいい温度だからと言って、暑い部屋のままにしておくと、徐々に脱水が始まり、その後、熱中症となり、死に至るケースも稀ではありません。ご家族がこまめに部屋の温度をチェックするか、それができない場合は、エアコンを切れないようにしてあげることが必要です。寒いと感じていますので、エアコンが切れない場合、本人は洋服をきます。なので、寒くて寒くてと言っても、実際にトラブルになるケースは決して多くはありません。なるべく、部屋の温度は下げてあげ、寒いと感じるようなら、着るもので調整をしてもらうことをお勧めします。あとは、脱水になると、汗も出なくなり、体温調整も難しくなる場合もありますので、水分もこまめに取るように高齢者には促してください。多少、水分が多くても、相当程度心臓が悪くなければ、すぐに心不全になるわけではありませんが、脱水はちょっとしたことでなります。心不全があれば、主治医とよく相談して、水分摂取量を決めてもらい、その量までは摂取するようにしましょう。

薬の副作用

最近、よく質問を受けます。それは薬の副作用についてです。当院かかりつけの患者さんの場合もありますし、他院かかりつけで、そちらの先生に話をしたら、「薬の副作用ではない!」と断言されて、納得できずに当院を受診したという患者さんまでいます。
具体的にどのような薬で副作用の訴えが多いのか?というと、1)認知症の薬 2)高脂血症の薬 3)高血圧の薬 4)貧血の薬 5)胃薬の順番でしょうか。まだいくつかあるのですが、とりあえず、私が質問を受けるトップ5について述べてみたいと思います。
まずは、もっとも確率が多い認知症に薬についてです。使用される頻度が多い、アリセプトという薬についてです。この薬でもっとも多いのは、「食欲不振」だと思います。これまでにも食欲不振が原因で中止せざるを得なかった患者さんがいます。飲み始めてすぐに食欲不振がでる場合もありますが、導入する場合、通常1~2週間は3mgという少量から開始し、その後5mgという量まで増量します。そのため、最初はなんともなかったのに、途中から、食欲不振がでる場合もあります。そのため、患者さんや家族があまり気がつかない場合もあります。飲んですぐに食欲不振がでると、「薬じゃないかな?」と疑いますが、飲んで、しばらくしてからでると、薬は関係なく、別の病気じゃないかと考える場合がありますが、実際には、飲んでしばらくしたら副作用がでる患者さんも多くいます。そのため、認知症の薬を飲んでいて、食欲不振がでる場合は、薬の副作用も原因の候補として上がります。そのほかに副作用としては、興奮してしまって、攻撃的になってきた、筋肉がピクピク痙攣するなどの場合もあります。攻撃的になることもやはり薬を増量してから起こる場合があります。また、筋肉の痙攣も同様に、増量後しばらくしてから起こる場合もあります。別の認知症の薬で、「メマリー」という薬もあります。この薬は、どちらかというと、認知症の周辺症状を抑えるために使用されるケースが多いように感じますが、この薬もやはり副作用があります。この薬の場合、傾眠といって眠くて、夜飲んでも日中までずっと寝ているというケース、また、筋肉が痙攣する、食欲がなくなるという場合もあります。アリセプトでは、攻撃的、メマリーでは傾眠という印象がありますが、逆の場合もありますので、注意は必要です。
次に、高脂血症の薬です。これの副作用の多いものとしては、主として「筋肉痛」です。受診時に筋肉が痛い、こわばる、なんか違和感があるなどの訴えをする場合があります。飲んですぐにでる場合もありますが、この薬も飲んでしばらくしたのちに副作用がでる場合もあります。なので、高脂血症の薬を飲んでいて、筋肉痛がある場合は、中止も検討されますので、主治医の先生とよく相談が必要です。また、筋肉は様々な場所にあり、舌の筋肉がしびれるという訴えの場合もありますし、下肢のみ、上腕のみという場合もあります。ただし、これらの場合も、筋肉痛=副作用とは限りませんので、一度休薬などして、薬をやめると、症状も消失するなどの確認が必要です。また、非常に高脂血症が悪い場合などは、勝手に中止せずに、主治医とよく相談の上、薬の中止、減量などを検討ください。
高血圧の薬については、様々なものがあります。ふらつき、頭痛、筋肉に力がないらないなど、多岐に渡ります。血圧の薬も、作用機序が異なった薬が多くありますので、副作用も当然薬によって違います。血圧が下がるため、立ちくらみなどはよく患者さんから聞かれる副作用となります。特に急に立ち上がった時は目の前が真っ白になるなどという訴えになる場合もあります。これは頭に血液がうまくいかなくなったことによる症状です。カルシウム拮抗薬などでよく聞かれる訴えですが、他の、ACE阻害薬、ARB、βブロッカー、利尿剤などでも起こる症状となります。頭痛はカルシウム拮抗薬で聞くことが多くなります。頻度としては決して多いとは思いませんが、高血圧の際に処方される可能性が多いので、どうしても副作用を感じる患者さんは多くなります。通常、頭が重い程度であれば、2-3日で慣れて、症状は感じなくなるケースが多いですが、内服後、すぐに拍動性の強い頭痛がでる場合は、カルシウム拮抗薬は使用できないケースが多いです。また、カルシウム拮抗薬でも、種類により頭痛が起きやすかったり起きにくかったりします。薬内服後に頭痛を生じるケースでは主治医と相談をしてください。また、歯肉腫脹という副作用が起こる場合もあります。どうも最近、歯茎が腫れるなどの場合も、主治医と相談が必要となります。ACE阻害薬では、「空咳」が多く聞かれます。薬を飲んだら、咳がよく出るようになったと感じる場合があります。この薬も空咳が割とよく見られる薬となりますので、空咳がでて辛い場合は主治医と相談が必要になります。βブロッカーでは、「脈がゆっくりで気持ち悪い」という訴えの場合があります。βブロッカーは脈を遅くし、心臓の収縮力も低下させますので、脈がゆっくりになることは、想定の範囲内なのですが、患者さんにとっては「なんとなく気持ちが悪い」という感じになる場合があります。その場合も主治医とよく相談をしてください。利尿剤ではおしっこが出すぎる!と感じる場合がありますが、利尿剤のため、それを狙った薬となりますので、日常生活に支障をきたす場合は、主治医とよく相談してください。
貧血の薬については、圧倒的に「嘔気・嘔吐」です。飲んですぐに気持ちが悪いと感じるケースが多いです。この場合、あまりなれる人は多くないように感じます。そのため、中止し、鉄剤の注射に切り替えて、鉄剤の投与をする場合が多くなります。当院でも、内服ができず、しかし、貧血も強く、鉄剤の注射を週1回~月1回くらいまで、程度に応じて、注射をしている患者さんがいらっしゃいます。いずれも、内服すると嘔吐していまい飲めないという患者さんたちです。そのほかに、便が黒くなるということもあります。これは仕方がない現象ですが、便秘などにならなければ様子を見てもらって問題ありません。
最後に胃薬ですが、胃薬の中でも胃酸を抑える薬では、「便秘」が多くなります。胃酸の量が少なくなるため、どうしても便に含まれる水分が減ってしまい、便秘となります。また、PPIと呼ばれる逆流性食道炎などで使用される薬では、胃酸を強力に抑えるので、便秘になることがあるのですが、それとは別に薬の副作用で、下痢となります。時々、或る日突然、水様性の下痢が続くと言って受診されるケースがあります。話を聞くと、当院からPPIが処方されていたり、また、他院からPPIが処方されているケースもあります。そのため、お腹も痛くないし、特に変わったことがないんだけど、突然下痢が始まり、PPI(タケプロンなど)を飲んでいる場合は、主治医に相談をして、中止もしくは薬の変更を検討してもらってください。また、PPIでは、服用後に強い胃痛を感じる副作用もあります。飲んでしばらくするといいんだけど、飲んだ直後に胃痛がするというケースもあります。そういう場合も主治医とよく相談してください。
以上が、最近、薬の副作用で相談を受けた内容となります。何か気になる点がありましたら、主治医とよく相談してください。

知症

XYZ 小道具株式会社は1971年の創立以来、高品質の小道具を皆様にご提供させていただいています。ゴッサム・シティに所在する

最近、当院の周辺も高齢化が進み、また、夫婦二人世帯も多く、認知症患者さんが大勢受診されます。通常、専門の病院・診療所へ紹介して診てもらうのですが、認知症が進んでから受診されると、専門の病院への受診を拒否されます。家族もなんとか頑張って当院まで連れてきており、さらに頑張って専門の病院や診療所に連れて行くことができないケースもあります。そういう場合は、とりあえず当院で認知症の薬を始めるケースもあります。主に使われるのは、「アリセプト」「メマリー」「レミニール」「メマリー」という薬になります。食欲不振などが強く出る場合もあり、その場合は、貼付剤があり、こちらを使う場合もあります。効果の現れ方は、患者さんにより多様です。飲み始めてすぐ効果がでる人もいますが、効果が出ない人もいます。ただし、「効果」というのは実は、認知症の本質ではなく、認知症に伴う随伴症状の改善を指すことがあります。認知症自体は、「記憶障害と見当識障害」という中核症状があります。つまり、物忘れが強くなったり、自分が今どこにいるのかわからなくなるなどの症状を指します。一方、周辺症状(BPSD)は患者さんによって出たり出なかったりする症状となります。そして、実はこちらの方が家族にとっては問題になるケースが多く、認知症の中核症状で困るというよりは、周辺症状で困るというケースが多くあります。
周辺症状の主なものは、「幻覚」「妄想」「睡眠障害(昼夜逆転)」「意欲の低下」「暴力・暴言」「徘徊」などがあります。認知症の薬により、中核症状は改善する場合がありますが、著名に改善するということは多くはないかもしれません。どちらかというと、中核症状の進行を食い止めるというイメージでしょうか。一方で、周辺症状については、大きく変わる場合もあります。特に幻覚が消える、幻聴が消える、夜眠るようになるということもありますし、意欲の低下が改善する、暴言、暴力が減るという場合もあります。また、これらの症状のうち、認知症の薬だけで改善が得られない場合は、認知症とは別の精神科系の薬を使うことにより、改善する場合もあります。薬が効く場合、飲んだ翌日から改善が見られるケースもありますが、飲んでも全く効果がないというケースもあります。しかし、通常、認知症の薬は、少量から初めて、規定量まで増量する場合が多い為、規定量までは効果がなくても続けてもらうことが多くなります。規定量まで増やしたところで、周辺症状が改善したというケースもあります。これは薬によって異なり、1週間ごとに増量~1ヶ月ごとに増量など様々な薬があります。そのため、処方してもらった薬を飲んだけど、全然効果がないから、薬をやめる!ということはせずに、主治医と相談をして欲しいと思います。
また、一度薬で落ち着くと、専門医への受診を面倒に感じるご家族もいらっしゃいますが、専門医の診断を受けた方がいいケースが多いため、もし患者さんが落ち着き、専門病院や診療所を受診できる場合は、紹介状を書きますので、受診していただければと思います。その後、問題なければ、また当院にて薬を出すことも可能です。
追記
最近、経験した患者さんではアリセプトを飲んでから、食欲不振が強く、半年間で15kg体重が減ってきた患者さんがいました。80歳代の男性です。家族からは、お酒が好きだったのに、お酒も飲めなくなって、どんどん痩せていって。何か原因があると思うので、検査してほしいと言われました。その際、よく体重が減り始めた頃からの話を聞くと、アリセプトを飲み始めた時期と同じであることがわかり、食欲がなくなると同時に、寝たきりのように活動性もなくなったという患者さんでした。そのため、アリセプトを中止し、貼付剤に切り替えたところすぐに食欲が改善し、食事も取れるようになりました。薬1つでこのくらい副作用が出る場合もあります。また、別の患者さんでは、メマリーを内服し、当初は何も副作用がなく、興奮なども改善し、家族も喜んでいまいしたが、内服後半年くらいしてから、ふらつきや傾眠などがでてきたケースもあります。当初、原因がはっきりしませんでしたが、高齢であったため、メマリーの副作用を考え、中止をしたところ、ふらつきや傾眠傾向が消失したケースもあります。若干、周辺症状が出てきたため、再度、少量から開始し、通常量より少ない量にて現在は安定しています。このように、認知症の薬では、副作用が出る場合があり、飲み始めから出るケースや、時間が経過してから出るケースもあります。そのため、ご家族が見ていて、どうも最近、食欲がない、元気がない、寝てばかりいる、ふらついている、ぼーっとしているなど、気になることがあり、認知症の薬を飲んでいる場合は、主治医と相談してみることをお勧めします。ただし、別の原因でも同じようなことは起こりますので、認知症の薬だけが原因とは限りません。デパスなんかでも同じようなことは起こりますので、主治医に相談して方向を決めることをお勧めします。

ストレスと高血圧

最近、4月末になり、新入社員も入ってきて、仕事でかなり疲れている患者さんがいらっしゃいます。中でも高血圧の患者さんのコントロールが若干悪化している印象があります。話を聞くと、「ストレスが多くて・・・」と言っています。最近、患者さんから、「なんでストレスが多いと、なぜ血圧が上がるのでしょうか?」との質問を受けました。そのため、ストレスと高血圧について、ちょっと説明してみようと思います。
ストレスの暴露と高血圧については、昔から研究がなされています。ストレスに繰り返し暴露されると、ストレスのない人に比べ高血圧を発症しやすいことが報告されています。4000人以上の航空管制官と8000人以上のアマチュアパイロットの高血圧について比較検討したデータでは、強い心理的ストレスのかかる航空管制官がアマチュアパイロットにくらべ4倍、高血圧の頻度が高く、1年間の新たな高血圧発症は5.6倍、高血圧発症年齢は、航空管制官は平均41歳、アマチュアパイロットは48歳という報告があります。
なぜストレスがかかると血圧が上がるのか?一つはストレスがかかると、交感神経活動が上昇し、尿中ナトリウム排泄が著明に減少するというデータがあります。これは、体液が貯留することを意味します。つまり、塩分を多く取った状態と同じことが起こり得ます。そして、ストレスがかかると、これも交感神経活動の上昇により心収縮性がアップします。これにより、心拍出量の増加が起こります。また、機能的な血管の収縮、構造的血管肥厚なども起こり、末梢血管抵抗の増加などもみられます。これらによりストレスがかかる=交感神経活動の亢進により血圧が上昇し、高血圧が悪化します。
まとめると、ストレスがかかると、体の中の水分量が増加(血管内の血液量も増加)しているにもかかわらず、心臓の収縮性のアップによりより強く血液を押し出し、また、一方で、血液の入れ物であり血管が収縮するため、血液を送り出しにくくなり、なおさら血圧が上昇するという環境を作り出します。
このようにストレスがかかる状況が長く続くと、高血圧の発症リスクが高くなり、また、もともと高血圧の人はさらに血圧のコントロールが悪くなるということがあります。これらの状況を踏まえた、薬の選択なども必要になりますので、血圧が高い患者さんで、どうも最近、家で測定する血圧が高いな~という人は、ぜひ主治医に相談してみてください。また、今まで血圧が高くなかったのに、最近、血圧が高いな~という患者さんも近くの循環器内科で相談してみてください。状況に応じて、様々な薬を選択することができます。

貧血

年度末に近くなり、健康診断にて異常値を指摘され、その精査のため来院される患者さんが増えています。その中で、特に女性に「貧血」を指摘されている患者さんが多く見られます。通常ヘモグロビン(Hb)値は12-14g/dlという値の中にありますが、それ以下を指摘され来院される患者さんが多くいます。貧血になると、「息切れ」「動悸」「ふらつき」「疲れやすさ」などを訴えることが多くなります。実際、健康診断で貧血を指摘された患者さんに質問をすると「息切れ」を自覚しているケースが多いです。しかし、息切れというのは通常、体を動かしたときにしか感じませんので、皆さん、息切れがしない程度に運動を制限して生活をしているため、あまり息切れを自覚せずに生活をしています。しかし、よく話を聞くと実は息切れを自覚しているケースが多くあります。通常、貧血の治療は「鉄剤」と呼ばれる薬の内服をしてもらいます。朝晩内服で3-4ヶ月ほどしてもらうケースが多いです。治療開始後、食生活などを改善してもらい、鉄分を多く含む食事も摂取してもらいます。そして、一度、鉄剤を中止し、一定期間をおいて、再度検査をして貧血が進んでいないかどうかを評価します。中にはずっと内服が必要となるケースもあります。また、鉄剤が飲めないという患者さんも実は大勢います。嘔気、嘔吐、胃部不快感などがあり、鉄剤を飲むと具合が悪くなるというケースです。その場合は、毎週~2週間に1回ほど、注射による鉄剤の投与をさせてもらいます。毎週通院してもらう方が早く改善します。ただこの場合は、ある程度の量を入れることが必要ですが毎週、もしくは隔週のため、注射を受ける期間は長くなります。しかし、貧血で受診された患者さんで、治療をうけ貧血が改善された患者さんのほとんどは、「とても楽になった」とおっしゃいます。特に、忙しくなってきたときに疲れ方が全然違うと言います。もし、健康診断などで貧血を指摘され、疲れやすいなと感じている患者さんがいましたら、貧血の治療をお勧めします。

ふらつき

最近、様々な相談を受けることが多くなっています。その中でも多くなっている印象がある症状が、「ふらつく」という症状です。当初、頭(脳)が原因ではないかと神経内科などでMRIをしてもらったが異常はないと言われ、その後、当院をHPなどで調べてくださり、「ふらつき」の原因を心臓ではないかと考え受診される患者さんもいらっしゃいます。しかし、調べても心臓もふらつきの原因となりそうな所見がないことが多いです。通常、心臓が原因で「ふらつき」を自覚される場合、不整脈による「徐脈」を疑います。心拍の間が、10秒以上空けば、「失神」となって現れます。意識消失をしてしまいます。しかし、数秒程度の場合、意識は無くならないけど、「ふらつく」という症状になります。まずはこれを調べる必要があり、「心臓超音波検査」「心電図」などを行い、必要応じて、「ホルター心電図(24時間心電図)」を行います。これらにて、原因がわかる場合もあります。原因がわかれば、必要応じて、ペースメーカーの植え込みを病院へ依頼します。
これは以前、の不整脈のところでも 少し述べられていますが、実際に、そういう不整脈があることは実はあまり多くはありません。いないわけではなく、当院でも不整脈が見つかり、ペースメーカーの植え込みを依頼したりしています。しかし、特に高齢者の場合、不整脈が原因ではなく「薬の副作用」としての「ふらつき」が多くなっています。年齢を重ねると、「不眠症」などの症状が出る場合があります。そして、徐々に薬の用量が増えたり、または薬の種類が増えたりします。もちろん、処方する医師も副作用を考えて処方していますでの、薬を飲んですぐに副作用が出れば中止をしたり、用量調整をしてくれます。しかし、内服当初は副作用がない場合も多くあります。そして、その薬を1年、3年、5年と継続されている患者さんも多くいます。そして、年齢を重ねて、ある時、突然、「ふらつき」を自覚する場合があります。当院に受診される「ふらつき」を訴える患者さんの多くは、「睡眠薬」もしくは「安定剤」と呼ばれる薬が処方されていることが多いです。当院にこられ、診察をして、どういうときにめまいが多く発生するか、どういう環境でめまいが発生するか、いつからめまいが発生するか、など様々な質問をさせていただきます。その際、薬による副作用が出る患者さんの多くは、「夜中トイレに目が覚めた時」「朝起きてから、お昼くらいまで」などということが多くなります。つまり、薬の作用が残ってしまっている可能性が高い時間帯となります。このような時間帯に発生する「ふらつき」の場合、薬について詳しく話を聞きます。すると多くの場合、「睡眠薬」「安定剤」と呼ばれる薬があり、これを調整させてもらいます。他院から処方されている場合は、主治医の先生と良く相談してもらっています。
その際、よく患者さんから言われる言葉があります。それは「この薬はずっと前から飲んでいるから違うと思うんですけど・・・」という言葉です。この言葉、確かに間違ってはいませんし、お薬手帳などからももう何年も飲んでいることがわかる場合もあります。なので、患者さんは、薬が原因だとはちょっと理解できないことが多くあります。薬はずっと前から、変わっていません。これは事実です。しかし、一つだけ「変わっていること」があります。それは、患者さん自身が年をとることです。これは厳然とした事実です。患者さん自身が年をとるのです。年齢を重ねても、「気持ち」は若いままという方が多いです。しかし、気持ちが若いことは素晴らしいことだと思いますが、それに乖離して、肉体は老化します。すると、何が起こるかというと、「薬を代謝する能力が落ちる」ということです。そのため、70歳の時にちょうど良かった「睡眠薬」や「安定剤」の量が、75歳になったときにも「適正」かどうかはわかりません。個人差がありますので、75歳になっても問題無い人もいますが、75歳になった時点では「多すぎる」人もいます。その「多すぎる」人にとっては、副作用としての「ふらつき」が出てしまう場合もあります。事実、睡眠薬と呼ばれる薬の注意書きには、以下のようなことが書かれていることが多いです。
高齢者への投与少量から投与を開始するなど慎重に投与すること。[高齢者では運動失調等の副作用が発現しやすい。]
もし、ふらつきを夜中・朝・午前中に自覚し、どうも調子が悪いという人で、睡眠薬・安定剤を内服している人がいましたら、ぜひ主治医とお話をしてみてください。薬を減らすと眠られないかもしれないと不安に感じる人もいるとは思いますが、ふらつきがあると転倒して骨折、寝たきりなどというリスクもあります。主治医の先生と良く相談して、「ふらつき」を自覚しないが、「なんとか眠られる」という薬の量を見つけてください。

高脂血症(高コレステロール血症)

XYZ 小道具株式会社は1971年の創立以来、高品質の小道具を皆様にご提供させていただいています。ゴッサム・シティに所在する健康診断を行うと、「コレステロールが高いです」という指摘を受ける人が多いとおもいます。当院でも「特定健診」を行っていますが、全体の3割以上に高脂血症が認められています。そして、その中の一部の人は、そのまま内服治療となっています。その際、血圧のところでも書きましたが、「この薬、一回飲んだらやめられないんですか?」と聞かれることがあります。個人的感想としては、食事の影響を強く受ける高脂血症のほうが食事習慣の改善によって薬をやめられる人が多い印象があります。しかし、決して全員ではありません。
また、薬の内服以前の問題で、そもそもなぜ高脂血症にて治療が必要なんだろうか?というところを疑問に持つ方もいらっしゃると思います。実際、当院でも、健康診断にて高脂血症が見つかり、薬を勧めると、「本当に飲まないといけないんですか?私なんにも症状がないんですけど」と言われることがあります。
となると、高脂血症に伴うリスクは何があるのか?ということから話をしなければなりません。具体的なリスクは「脳梗塞」「心筋梗塞」に代表される、血管が原因となる病気です。特にLDLコレステロールが高い場合はリスクが高いと言われています。また、当然ですが、「高血圧」「糖尿病」「喫煙」などがあれば、リスクはさらに上がります。そのため、高脂血症があっても、絶対に薬を飲んだほうがいいという患者さんもいれば、まずは生活習慣を変えて、それでもダメなら薬を検討しましょうという患者さんもいますし、もちろん、もう少し様子を見てもいいでしょうという患者さんもいます。その理由は、高脂血症といっても、LDLコレステロールが高いのか、中性脂肪が高いのか、HDLコレステロールが高いのかで多少対応は変わってきますし、合併症があるかどうかでも当然変わってきます。そのため、この値なら絶対に薬を開始しましょうということにはなりません。ただ、LDLコレステロールが200を超えるようであれば、個人的には内服治療をお勧めしています。仮に高血圧、糖尿病などがなかったとしてもです。ただし、薬は飲みたくないという場合などは、まずは1ヶ月間、しっかりと食事・運動管理をしてもらい、1ヶ月後に再検査を行い、改善していれば、内服をせずい定期的にフォローをしていく場合もあります。一番怖いのは、自己判断にて「症状がないから治療はいらないや」と判断することです。様々な条件から、リスクを勘案して薬をお勧めしたり、様子を見たりします。また、患者さんの希望も十分把握した上で治療をしますので、診察をうけると絶対に薬を飲まなければならない!と考えずに、まずは相談していただければと思います。

下肢静脈瘤

これは、「下肢」つまり「足」の表面に静脈の「瘤」つまり「こぶ」ができます。足の表面にボコボコとして静脈が目立つようになる病気です。見た目に静脈がボコボコとなっていても症状のない人もいます。一般的に症状としては「足がだるい」「足が痛い」「足がかゆい」「色素沈着」「潰瘍」「むくみ」「こむら返り」「出血」などがあります。当院にも月に何人か受診されますが、多くの場合、「見た目が悪い」「だるい感じがする」という患者さんが多いです。出血、潰瘍などの重傷例はほとんどいません。原因としては、静脈内にある弁不全、静脈壁の脆弱化、深部静脈血栓症の後遺症などが挙げられます。原因を聞いても、多分、それらを予防することは不可能です。なので、原因によらず、治療をするかどうかが問題となります。ただ、関連因子としては、次のものが挙げられます。「高齢」「立ち仕事」「妊娠・出産」「家族歴」「女性」「肥満」などが挙げられます。これらに当てはまり、かつ足の静脈がボコボコとなっている場合は、下肢静脈瘤の可能性が高いと考えます。また、皆さんが心配なさるのは、「エコノミークラス症候群」になるのではないか?という心配です。エコノミークラス症候群の場合は、表在ではなく深部の静脈に血栓ができるため、表在の静脈の問題である下肢静脈瘤ではほとんど問題はありません。ただし、もともと静脈に問題がある場合もあり、深部静脈に異常があったりする場合もありますので、絶対に安全というわけではありません。その辺りは問診等、必要に応じて、超音波検査にて確認をすることになります。そして、次にある質問は「このまま放置してもいいのか?」という点です。症状が許容範囲内であり、深部静脈血栓症のリスクが高くないと判断された場合は、圧迫のための「ストッキング」を履いてもらって、経過観察となる場合もあります。しかし、症状が強い場合などは治療が必要となります。しかしそれでも改善が得られない場合などは、「ストリッピング手術」「硬化療法」「弁形成術」「レーザー治療」などがありますが、基本は圧迫療法です。
もし、ストッキングではダメな場合は、当院ではそれ以上の治療は不可能となりますので、専門の病院等へ紹介をさせていただいています。足の静脈瘤が気になる場合は、相談ください。

季節と高血圧

最近、血圧が高くなってきたとの訴えで受診される患者さんが増えております。その理由としては寒くなってきたということが挙げられます。昨年まではなんともなかったのに、今年になって突然、血圧が高くなったという方もいらっしゃいます。実際に、ご家庭での血圧も140-150、中には180という方もいます。そして診察室で測定すると、さらに上がっているという患者さんもいらっしゃいます。そのような患者さんとお話をすると、どうしても「薬」の話になります。そうすると多くの患者さんは「血圧の薬は一生、飲み続けなければいけないんですよね?」という質問をされます。そして、多くの場合、「そういう方が多いです」という返事をします。ただし、「全員ではありません」とも付け加えています。
なぜ「全員ではありません」となるのか?それは、血圧が上昇している原因が何か別にある場合もあります。全員が全員、同じ理由で血圧が上がるわけではありません。一時的に上がっている患者さんもいれば、遺伝的に高くなってしまっている患者さんもいます。また、夏場は血圧は下がっているけど、寒くなると上がるという患者さんもいます。しょっぱいものを食べると上がる人もいます。ストレスで上がる人もいます。つまり、「高血圧」ひとつとっても、実は色々なパターンがあります。そのため、薬は一生飲まなければならないということに必ずしもなりません。生活習慣を改善することにより薬を減らしたり、やめたりすることができるケースも、多くはありませんが、あります。また、一時、非常に高かった血圧、180-200mmHgという患者さんも薬を使い、確実に下げてコントロールをして、しばらくすると、薬を減量しても上がらないという患者さんもいます。まったく飲まなくていいとはなりませんが、かなり薬を減らせるケースもあります。受診したら、薬を出されるから受診しない!ではなく、一度受診して「相談」してみるという気持ちで受診されることをお勧めします。無理やり薬を出すことはありません。

動悸・不整脈

5月頃から、脈の不整、動悸、胸部違和感を自覚され受診される患者さんが多くいらっしゃいます。高齢者若年者、男性女性問わず来院されております。お話を聞くと、4月頃から職場環境が変わり、忙しくなった患者さんや、そもそも新しい職場に移った患者さん、その他、家庭環境が変わった患者さんなど、様々な環境の変化のあった患者さんがいらっしゃいます。そして、8月に入り、暑くなって来て再び動悸・胸部違和感・胸部不快感の患者さんが増えています。不整脈は、ストレスがかかると、出やすくなることがあります。実は僕も・・・。時々不整脈が出ます。そして、それはストレスが強いときほど出る傾向があるようです。ただ、いつも出るわけではありませんが、一発不整脈が出ると非常に不快です。しかし90%近い人は実は、一日のうちに1発以上、何らかの不整脈が出ています。統計を取ったわけではありませんが、今まで相当数の24時間心電図を判読して来て、そのうち、一日1発も不整脈が出ていない人のほうが圧倒的に少ないのです。一日10万回以上、心臓は鼓動をしているわけで、そのうち1発も出ていない人の方がやはり少ないのです。しかし、動悸を自覚される患者さんはさほど多くはありません。つまり、感じていないと言う事になります。しかし、感じる方は非常に強く感じます(僕もその1人です)。なので、もし、動悸がして辛いと言う場合は、相談してみるほうが良いです。不整脈の中でも、危ない不整脈~全く危なくない不整脈まで様々です。そして、治療が必要な不整脈~治療が不要な不整脈(ただし症状が強ければ治療する場合もあります)まで様々です。しかし、症状と危険度は一致しませんので、動悸の症状が軽いから大丈夫ということには必ずしもなりません。動悸を感じている場合は、受診し、24時間心電図(ホルター心電図)などで、しっかりと確定診断を受けた後、方針を決める事をお勧めします。その結果を持って,薬を検討します。不整脈の種類がわかっていないのに薬を内服する事はリスクを伴いますので、しっかりとした診断をもって、薬を開始される事をお勧めします。特に抗不整脈薬は副作用もあり、薬剤生QT延長症候群となり、命に関わる事もあり得ます。その場合は薬の中止が必須となります。不整脈の薬に関しては、専門の知識を持つ病院・クリニックでの治療をお勧めします。

便秘

最近、便秘の患者さんが大勢来ています。若年~高齢者まで様々な年齢層の患者さんが受診されています。そのため、私自身も便秘について、また便秘の治療について、調べてみました。すると、便秘と言っても様々なタイプがあり、そのタイプを見極め、いかに適切な薬を選択するかということが重要か、またそれがどれほど難しいかと言う事もわかってきました。その一つの理由は、食生活、運動、生活のリズムは患者さん毎に全く違うと言う事です。「野菜は嫌いなので食べません」「お肉は嫌いなので食べません」「運動は嫌いなのでしません」などなど。確かに、食の好みは人それぞれです。運動好きの人もいれば、運動嫌いの人もいます。そうなると、どこまで「便秘に良いと考えられる生活スタイル」を受け入れてもらえるか?と言う事が重要になります。便秘の解消のために生活面の改善が必須の場合、それをしない限り、完全に便秘を解消する事は難しいかもしれません。しかし、「生活スタイルを変えないから、あきらめて」と言ってしまえば、医者はいらなくなってしまいます。そこで、どこまで便秘に良い生活スタイルを受けいれてもらえるかを相談した上で、便秘解消に到達しない分を薬で補助する事になります。もちろん、生活スタイルは絶対に変えられない!!!という患者さんには、お薬で症状を改善させられるかどうかを考えますが、効果が不十分と言う事もあり得ます。言い方を変えると、生活スタイルを変えると、それプラスちょっとの薬で便秘の改善が得らる場合があります。そのため、問診をした上で、生活スタイルを聞き、ベストと考えられる生活と治療方法を考えたいと思います。ちなみに、当院に来られていた患者さんでは、便秘にて薬を使用した後、リズムが良くなり、その後薬をほとんど飲まなくても排便コントロールがついたという患者さんもいらっしゃいます。何かのきっかけで良くなると、その後薬なしでも便秘にならないという患者さんもいらっしゃいます。便秘で悩んでいる方はご相談ください。ただし、必要があれば大腸内視鏡を勧める場合もあります。当院では大腸内視鏡が不可能であるため、他院にお願いする場合もあります。あらかじめご了承ください。

 

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